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第一章:トマス・コールド
20・西の森の傭兵
しおりを挟む「さて、オウンドーラ王。先ほども言ったが、我々はこれでオウンドーラ王国から撤退させてもらう。あとは、第二砦、第三砦で対処されるがいい」
「ギルベルト・ガンドール! 頼むから、考え直してくれ!」
先程、命が助かった事を僕は喜んだが、王や父さんは真っ青になった。
「断る」
「では、せめて、西の森の砦を守る、フェンリル・エンベリーに、東と西の両方を守ってくれと話をする間だけでも、待ってもらえないか!」
なんだ、やっぱり、次は西の森の傭兵に頼むんじゃないか。
なんだかんだと偉そうなことを言いつつ、結局そうするのなら、最初からさっさとそうしておけばいいのに。
だが、この案は、すぐに却下された。
「申し訳ないですが、そのお話、西の森のフェンリル・エンベリーは、お断りさせていただきます」
と、突然現れた男がオウンドーラ王に言い放ったからだった。
「あ、あの、オウンドーラ王! 西の森のチェスター・パーシー様が!」
男の後ろから、王宮の兵士が報告をする。報告が遅いんだよっ!
西の森の、チェスター・パーシー?
誰なんだよ、こいつは!
でも、オウンドーラ王や父さんがとても嬉しそうだ。
西の森の砦を守っている傭兵なのかもしれない」
「チェスター・パーシー! ちょうど良いところに来た! そなたたち、西の森の第一砦も者たちに、話があったのだ!」
「あぁ、さっきちらっと聞こえちゃいました。東と西の森の両方の砦を守ってほしいっていう話ですよね? それ、お断りします」
「な、何故だ! では、何故フェンリル・エンベリーの右腕であるそなたが、今ここに来ておるのじゃ!」
このチェスター・パーシーという男、西の森のフェンリル・エンベリーの右腕らしい。
チェスターは、にこりと人の好い笑みを浮かべると、淡々ととんでもない事を口にした。
「それはぁ、とうとう契約が切れちゃいましたので、もう更新しない事を、一応お知らせに来たわけです。フェンリル・エンベリー他、西の森の第一砦を守る傭兵は、オウンドーラ王国から手を引かせていただきます」
「何故だ! ギルベルト・ガンドールだけでなく、そなたたち西の森を守る者からも手を引かれたら、我が国はもう本当におしまいではないか!」
「フェンリルに言わせると、そんな事は知らない、自業自得だろ、と言うと思います。多分、ギルベルトさんもそう思われていますよね?」
「あぁ、もちろんだ」
「どうしてだ……どうして、ギルベルトならともかく、フェンリルが辞めると言い出すんだ……」
オウンドーラ王は、頭を抱えていた。
予想もしていなかった出来事だったのだろう。
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