異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

文字の大きさ
348 / 370
第4章:ゴブリン・スタンピード

VSゴブリンジェネラル

しおりを挟む


 武器をしまったユリウスは、ぐっと拳を握りしめる。
 ユリウス……もしかして素手でゴブリンジェネラルと戦うつもりなの?
 レイリーさんに良い武器を貰ったはずなのに、ユリウスは使うつもりはないみたいだ。一体、どうして?

「ユリウス、やっぱり私も手伝う?」

 断られるだろうと思ったけれど、念のため聞いてみると、 ユリウスの答えは「大丈夫だ」で、予想通り断ってきた。

「早く終わらせて、帰ろう! だから、そこで待ってて!」

「う、うん、わかった!」

 早く終わらせて家に帰りたいのは確かなことなんだけど、きっと簡単なことじゃないよね。
 ユリウスは私を心配させないために、明るく言ってくれたんだろうな。

「じゃあ、始めるか」

 ユリウスがそう言うと、グオォォォッ! とゴブリンジェネラルが吠えた。
 まるで、生意気なことを言うなとでも言っているみたいだ。
 そしてゴブリンジェネラルは持っている大斧を振り上げ、ユリウスめがけて振り下ろす。
 ユリウスはゴブリンジェネラルの動きを読んでいたんだろう、後ろにジャンプして逃れた。
 大斧はユリウスが居た地面を深く割り、瓦礫が舞う。
 すごい一撃……あれが当たれば、間違いなく即死だ。

「ガアァァァッ! グオォォォッ!」

 ゴブリンジェネラルはユリウスの倍以上の巨体であるというのに、動きが速かった。
 地面を割った大斧を持ち上げると同時に、再びユリウスへと振り下ろす。
 ユリウスはまたゴブリンジェネラルの攻撃を上手く避けたけれど、ゴブリンジェネラルのスピードに少し驚いているようだった。

「ユリウス!」

 心配になって声をかけると、ユリウスからはまた大丈夫だと返ってきた。
 ユリウスはゴブリンジェネラルから距離を取ると、ファイヤーボールを放つ。
 ゴブリンジェネラルには魔法攻撃はあまり効かないと思ったんだけど、ユリウスは気づかなかったのかな?
 それとも、何か考えがあるの?
 ユリウスはファイヤーボール……火魔法の後、ゴブリンジェネラルに水魔法、風魔法、雷魔法、氷魔法を次々に撃ち込んだ。
 だけどどの魔法も、ゴブリンジェネラルにとっては、大したダメージにはなっていない。

「グオォォォ! グオォォォー!」

 吠えると同時に、ゴブリンジェネラルは再び大斧を振り上げ、ユリウスへと突進した。
 ユリウスは振り下ろされた大斧を避けると、再び魔法を放つ。
 今度放った魔法は、どの魔法も少し威力が大きいような気がした。
 だけどゴブリンジェネラルは、斧で魔法攻撃を防ぐと、魔法攻撃が途切れると同時斧を振り上げてユリウスを襲う。
 ユリウスもまた攻撃を避けると、隙をついて魔法で攻撃を行う。
 今度の攻撃は、先ほどの魔法攻撃よりももう少し強いものだった。
 まるで、少しずつ強さの調整しているみたいだ。
 そしてユリウスが、私が先ほど上位種のゴブリンに撃ったファイヤーボールの五倍くらいの大きさのファイヤーボールを撃ったところで、それを受けたゴブリンジェネラルはよろめき、膝をついた。
 今までの魔法攻撃も、じわじわ効いていたのかもしれない。
 ゴブリンジェネラルはすぐには立ち上がれないようだった。
 ユリウスはもちろんその隙を見逃さず、ゴブリンジェネラルの頭上へと跳ぶと、ゴブリンジェネラルの頭上から氷魔法のアイスランスを何本も撃ち込む。
 アイスランスは深くゴブリンジェネラルの巨体を深く貫いていて、ゴブリンジェネラルは持っていた重そうな大斧をぼとりと地面に落とす。
 ユリウスはゴブリンジェネラルが落とした大斧を拾い上げると、再びジャンプして自分の何倍もの巨体であるゴブリンジェネラルの左肩に、不思議な緑色の光をまとった大斧を振り下ろした。

「グアァァァァ!」

 ユリウスが振り下ろした不思議な緑色の光をまとった大斧は、ゴブリンジェネラルの左肩からお腹の辺りまでめり込んで砕け散った。
 砕け散った斧は不思議な光を失い、散らばった破片はただの鉄に変わる。
 ゴブリンジェネラルが持っていたときには、ただの鉄の斧っぽかったのに、ユリウスが持つとどうしてあんな不思議な光を放ったのだろう?
 ゴブリンジェネラルは紫色の血を流しながらも立ち上がろうとしたけれど、炎魔法に続き氷魔法、そして左肩から腹の辺りまで受けたダメージに、そのまま立ち上がれずにいた。
 そんなゴブリンジェネラルの前に立ったユリウスは、先ほどの斧のように不思議な緑色の光をまとった右足で、ゴブリンジェネラルの頭を蹴り――ゴブリンジェネラルの後頭部は地面を転がり、頭を失った巨体はそのまま崩れ落ちた。

「オリエちゃん、ぼく、今と同じようなの、見たことあるよ」

 サーチートの言葉に、そうだねと私も頷いた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

処理中です...