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第1章・異世界転移と異世界転生
呪いの毒①
しおりを挟む家に戻った私は、ユーリにリカバーを試してみた事、そうしたら頭の中に、めちゃくちゃにもつれた糸のような物のイメージが広がった事、そしてそのもつれた糸のような物が呪いの正体で、解毒を邪魔しているのではないかという事を、アルバトスさんに伝えた。
アルバトスさんは驚いたようだったが、暫し黙り込んで考えた後、
「そうなのかもしれません」
と呟くように言った。
「オリエさん、その糸のような物を、何とかできそうですか?」
「わかりません。でも、その糸のような物を切るか解くかしたら、呪いは解けるような気がするんです。私、試してみようと思います」
私がそう言うと、アルバトスさんは頷いた。
私は再びユーリの手を握り、目を閉じて、リカバーと唱える。
すると、頭の中に再びひどくもつれた糸のようなイメージが広がった。
「この糸を、切るか、解く……」
私はこの糸のような物へと近づきたいと願った。
すると私の体はもつれた糸のようなもののすぐそばまで移動して、手を伸ばせば触れる事ができた。
目の前に、糸のような物の端の部分が、垂れ下がっていたのだ。
糸の太さは、三ミリから四ミリくらい。
今後、もう面倒なので、糸のような物は、糸って言う。
「これ、多分、切らない方がいいような気がする……」
もしも切ってしまったら、ユーリの体に何かが起こってしまうかもしれない。
だから、解くしかないんだって、私はそう思った。
目の前に垂れ下がった糸の端から少しずつ解いていけば、いずれ全て解く事ができるだろう。
ものすごく根気が必要な作業だけど、何とかなるような気がした。
だって、私の趣味の一つに編み物があるんだけど、もつれた糸は切らずに解くのが私のポリシーなのだ。
でも、もつれた糸の結び目は固く、上手く解く事ができない。
固い結び目の解き方って、糸をくいくい引っ張っていたら、少しずつ緩んでくるものなんだけど、これはすごく長期戦になりそうだ。
でも、絶対に解いてやる!
「よし、やるか」
覚悟を決めた私は、糸の端を手にし、引っ張った。
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