異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第1章・異世界転移と異世界転生

ユリウス・フェルトン②

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 彼がシャワーを浴びて、着替えをしている間、私は朝食の準備をしていた。
 アルバトスさんの家の台所に立つのは、久しぶりだ。
 とりあえず消化の良い物がいいだろうと、また野菜を適当に切って、野菜たっぷりのスープを作る。
 スコーンの生地を作ってオーブンに突っ込み、焼き上がるまでにオムレツとウィンナーを焼いて、盛り付けてテーブルに並べた時、彼が着替えて姿を現した。

「うっ……」

 シンプルな白いシャツを褐色の素肌に纏い、銀色の髪を無造作に束ねた彼を見た瞬間、私は変な声を漏らしてしまった。

「どうかした?」

 と、優しい金色の瞳に見つめられ、私は何でもないと首を横に振り続ける。
 彼は不思議そうな表情で私を見ていたけど、テーブルに並べた朝ごはんを見て、美味しそうだね、と嬉しそうに笑った。
 眩しい笑顔に、私は思わず彼から目をそらす。

 ちょっともう、私、どうしたらいい?
 この人、めちゃくちゃカッコいいんだけど!

 そりゃね、ユーリ……ユリアナの時もね、ものすごーくカッコ良かったよ?
 男装の麗人みたいだったし、王女様だけど、王子様みたいだった。
 そんなユリアナがね、今男性になって、私の目の前に居るの!
 身長はユリアナだった時よりも十センチ以上……二十センチ近く高い。
 ユリアナだった時だって、私よりだいぶ背が高くて百七十センチ近くあったはずだから、今は百九十センチ近くあるって事だよね。
 眩しくて、カッコ良すぎて、直視できないよっ!

「あのさ、オリエ……」

「な、何っ」

「やっぱり、気持ち悪い? 男の俺は、受け入れる事はできない?」

「え? な、なんで?」

 私はどうして彼がそんなふうに言うのかわからなかったけれど、

「だって、さっきから俺の事、見ないようにしてるし……。さっき、自分で確認してきたけど、そんなにおかしい姿じゃなかったと思うんだけど……」

「いや、違う違うっ! 気持ち悪いとかいうんじゃなくてっ!」

 どうやら私の行動が、彼を不安にさせてしまったらしい。
 私は違うと彼に否定したけれど、彼は納得していないようで、まだ不安そうな表情をしていた。

「じゃあ、何?」

「それはっ……」

 あなたがカッコ良過ぎて、直視できないだなんて、恥ずかしくて言えない。
 だから他の言葉を探そうと思ったのだけど、その前に、

「やっぱ、体が変化するとか、気持ち悪いに決まってるよね」

 と俯いた彼が深いため息と共に言ったので、思わずこぶしを握り、言ってしまった。

「違うよ! 今のあなたが、ユリウスがすごくカッコいいから、すごくカッコいいから、直視できないだけだよっ!」

 すごくカッコいいから、というのを、思わず二回も言ってしまった。
 重要だから二回言ったわけではないけど、二回も言ってしまうくらい、カッコいいのだ。

「ユリウス?」

 顔を上げた彼――ユリウスは、不思議そうな表情で私を見つめた。

「今、ユリウスって言った?」

「う、うん、ユーリって言ったら、以前のあなたか、今のあなたかわからないから……ごめん、駄目だった?」

 私の問いに、ユリウスは首を横に振った。
 それから嬉しそうな表情で、

「俺はずっと、君にそう呼ばれたかったんだ」

 と言う。その眩しい笑顔を、私はまともに見てしまった。
 ユリウスくん、あなた、カッコいい上に可愛いってどういう事だと、叫びたくなった。

「オリエ、俺は、君にとってカッコいいと思える存在なのかい?」

 嬉しそうな笑顔のまま、ユリウスは私を見つめ、聞いてくる。
 私は多分、また真っ赤になっていただろうけど、うん、と素直に頷いた。

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