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第1章・異世界転移と異世界転生

大宴会のその後は・・・①

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 みんな、お酒を飲んで、ご馳走を食べて、大騒ぎだ。
 私もお酒を貰って飲んだ。
 さっきアルバトスさんがくれた少し甘めのオレンジ水の、お酒バージョン。
 口当たりが良くて、喉が渇いていたのもあって、一気に飲んでしまって、少し酔っぱらってしまった。

「オリエ、もしかして、お酒、あんまり好きじゃない?」

「んー……嫌いじゃないんだよ? ただ、飲むとすぐに顔が赤くなって、酔っちゃうみたいなんだよねぇ」

 顔、赤くなってる?
 そう問うと、ユリウスは笑いながら頷き、私の火照った頬に手を伸ばした。
 ユリウスの手は少し冷たくて気持ちいい。

「ユリウスは、何を飲んでいるの?」

「ん? 飲む?」

「うん……え? これ、お水?」

「あぁ、そうだよ」

「ユリウス、お酒、嫌い? それとも、私と同じで、あんまり飲めないタイプ?」

「いや、そうでもないんだけど……」

 ユリウスは私から水の入ったグラスを受け取ると、テーブルに置いた。

「飲めないわけじゃないし、嫌いじゃない。だけど、俺が飲むともったいないから、好きな人が飲めばいい」

「もったいない?」

 どういう事だと首を傾げると、その理由はアルバトスさんが教えてくれた。

「オリエさん、ユリウスはね、ザルを軽く通り越して、枠なんですよ」

「枠?」

「そうです。ユリウスは、どれだけ飲んでも酔わない……どれだけ強いお酒でも、水みたいに飲んじゃうんですよ。もったいないでしょう?」

 そう言ったアルバトスさんは、少し顔が赤くなっている。
 アルバトスさんはお酒に弱いタイプなのかなと思っていると、

「オリエ、伯父上は顔に出るだけで、俺と似たようなものだからね」

 とユリウスが教えてくれた。

「えぇ、最初に少し飲むだけで、そろそろお酒は止めておきますよ」

 どうやらユリウスの体質は、母方の血筋からきているようだ。
 もしかすると、少しでも村の人たちに楽しんでもらいたいという配慮もあるのかもしれない。
 それに引き替え、うちの子……サーチートはどうしたものか。
 サーチートは村の女の子に小さなコップにお酒をついでもらって、がばがば飲んでるし、子供たちにあーんしてもらって、いろんなご馳走を食べまくっているし……あ、今度は歌って踊り始めた。

「ぼくの名前は、サ~チ~ト~。オリエちゃ~んの、す~まほ~だよおぉ~」

 サーチートの自己紹介ソングが、今回は何故か、演歌っぽくなっている。
 これは、かなり酔っぱらってるんじゃないかな。

「サーチートの飲み食いしたものって、どうなってるんだろうね」

 ぽつり、ユリウスが呟くように言った。
 私は、わからない、と答える。
 サーチートは、ぬいぐるみのはずなんだけどね。
 時々、普通のハリネズミっぽくなるけど、正直な話、よくわかんない。

「今日のサーチート、ちょっと調子に乗りすぎだよね、連れ戻してくるよ」

 そう言ってサーチートの元へ向かおうとすると、

「大丈夫ですよ、サーチートくんは私が見ていますから」

 と、アルバトスさんにやんわりと止められる。

「オリエさん、今サーチートくんを連れ戻すと、あなたたち、邪魔されますよ?」

「え?」

 どういう意味だろう? 首を傾げた私を見て、アルバトスさんが苦笑する。

「大丈夫だよ、邪魔させるつもりはないから」

「えぇ、絶対に邪魔させませんから、安心してください」

 ユリウスとアルバトスさんは、顔を見合わせると互いにしっかりと頷いた。


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