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第1章・異世界転移と異世界転生
導き手①
しおりを挟む「そう言えばオリエさん、あなた、やっぱり神聖女なんですか?」
結婚式から一週間くらいして、アルバトスさんから聞かれた私は驚いた。
今、ユリウスは結界の外に狩りに出ていて、サーチートは村のパトロール中で、私はアルバトスさんと二人きりだった。
「え、えっと、なんで、ですか?」
どうしてわかったんだろう?
ユリウスと相談をして、私たちのステータスに書かれている事は、どんなに親しい人にだって内緒にしようという事になった。
私のステータスは、こちらの世界に来てすぐに、大聖女だった事はサーチートが漏らしてしまったけれど、その後の事は多分何も言っていないはずだ。
だけど、話をしていないだけで、サーチートは私のステータスが変わった事を知っていて、アルバトスさんに言っている可能性もある。
一体どういう事だろうと考えていると、アルバトスさんは苦笑し、
「驚かせてしまったみたいで、すみません」
と謝ってきた。
「あなたがユリウスのそばに居てくれるのを見てね、そうなのかなって思ったんですよ。あなたは、あの子が持っている創世王の絵本の神聖女と同じ姿をしていますしね」
私はユリウスから見せてもらった絵本を思い出した。
確かにあの絵本には、褐色の肌、銀色の髪、金色の瞳をした創世王のそばに、白い肌、黒い髪、青い瞳をした神聖女が寄り添っていた。
「アルバトスさんって、ユリウスの事、どこまで知っているんですか?」
私は思い切って、疑問に思っている事を聞いてみる事にした。
ユリウスもサーチートも居ないから、ゆっくり話ができるチャンスだ。
「ユリウスの事ですか? それは、あの子のステータスの事、という意味でよろしいですか?」
「はい」
「結論から言うと、私はあの子が生まれる前から、あの子が何者なのかを知っていました」
「どういう事ですか?」
ユリウスが生まれる前から、ユリウスが何者なのか知っていた?
それってどう言う意味なんだろう?
アルバトスさんは優しく笑うと、穏やかな表情と声で、続けた。
「答えは簡単です。私の双子の妹……つまり、ユリウスの母親ですね、彼女のステータスに、ルリアルーク王の母、と書かれていたのですよ。だから私は、妹があの子をその身に宿した時、生まれてくる子供がルリアルーク王だという事を、知っていたのです」
バラバラになっていたパズルのピースが、繋がって形になっていくような気がした。
母として、授かった自分の子供を守りたいという気持ちだけでなく、生まれてくる子がルリアルーク王でもあるから、ユリウスのお母さんはその命をかけてユリウスを産み、アルバトスさんは彼女に協力したんだ。
「私のステータスにも、同じような事が書かれていました。私のステータスには、ルリアルーク王の導き手と書かれていたんです。だから、私はユリウスが何者であるのかを、最初から知っていたんですよ」
ちなみに、この事はユリウスには秘密にしています、と続け、アルバトスさんはウインクした。
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