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第2章・のんびりまったりスローライフ?
スモル村の夜
しおりを挟むこの日の夜は、本当にご馳走がいっぱいで、私たちはお腹いっぱいになり、心の底から満足した。
よく食べよく飲むサーチートは夜になっても大人気で、サーチートの周りには子供だけでなく、大人も集まっていた。
私とユリウスはお酒を飲まなかったけれど、サーチートもモネちゃんもジャンくんも、かなり飲んでいるみたいだ。
サーチートを捕まえて、子供たちと一緒の時はお酒はやめなさいと注意すると、コリーちゃんに、くいくいと服を引っ張られた。
「コリーちゃん、どうかした?」
しゃがみこみ、目線を合わせて問いかけると、
「あのね、お姉ちゃん、明日、村を出ちゃうって本当?」
と、茶色の瞳をうるうるさせて、聞かれてしまった。
「うん、その予定だよ」
「じゃあ、今夜は、サーチ―くんと一緒に寝ちゃダメ?」
コリーちゃんは、サーチートの事を、ものすごく好きになっちゃったんだろうなぁ。
テッドくんがたしなめにきたけれど、私には断る理由はなかった。
「サーチートがいいよって言ったら、構わないよ」
と答えると、コリーちゃんは先程私に向けた茶色のうるうるとした瞳を、サーチートへと向けた。
「サーチーくん、今夜、コリーと一緒におねんねしようよ」
「うん、いいよ」
サーチートは小さな握りこぶしで胸を叩き、頷いた。
私はサーチートの体を撫でると、コリーちゃんに渡してあげた。
コリーちゃんはサーチートに頬ずりして、大喜びだ。
それに対して、テッドくんは申し訳なさそうな表情をしている。
「姉ちゃん、妹がごめんよ。でも、ありがとう。サーチートは明日の朝、ちゃんと部屋に送り届けるからさ」
「テッドくん、大丈夫だよ。じゃあ、サーチートの事、一晩よろしくお願いね」
「うん、わかった。じゃあ、コリー、行くぞ」
「うん、じゃあね、お姉ちゃん、お兄ちゃん!」
「オリエちゃん、ユリウスくん、おやすみー」
「うん、おやすみ、サーチート。二人に迷惑をかけちゃだめだよ」
「大丈夫だよ、任せてよ、オリエちゃん!」
コリーちゃんに抱っこされたサーチートは、最後にはドヤ顔をして行ってしまった。
お酒も飲んでたし、若干心配ではあるものの、子供たちと寝る事になったから、あれ以上は飲まないだろうとは思う……いや、そう思いたい。
「オリエ、俺たちもそろそろ寝る?」
「うん、そうだね」
まだ村の人たちは、食べたり飲んだりと楽しんでいる。
少し早いかなとは思ったけれど、森の中で野宿生活が続いていたから、ベッドでぐっすりと眠りたかった。
宿屋の旦那さんと女将さんに挨拶をして、モネちゃんとジャンくんにも声をかけて、私とユリウスは部屋へと向かう事にした。
モネちゃんとジャンくんは、お酒片手に村の雑貨屋さんや旅の商人さんと盛り上がっていた。
二人はお酒好きだからちょっと心配だけど、さすがに出発前にあれだけ言われたのだから、大丈夫だろうと思い直した。
部屋に戻って、
「ユリウス、先にお風呂入っちゃっていいよ」
と声をかけると、腕を掴まれて引き寄せられた。
そしてそのまま口付けされて、え、え、と混乱している間に、服を脱がされる。
「ユリウス?」
「一緒に入ろうか、オリエ」
「えーっ、ちょっと、何考えて……」
「俺は、オリエの事しか考えていないよ」
「ちょっとっ……ここ、家じゃなくて、宿屋っ」
「そうだね。だから、声は抑え気味に、ね」
金色の瞳は、獰猛な獣のようにギラギラと輝いていた。
この人、絶対にスルつもりだ。
「明日、出発予定でしょっ」
一応最後の抵抗をしてみたつもりだけど、手加減する、と耳元で甘く囁かれただけだった。
仕方ないなぁ、と思いながら私はユリウスの頭に手を伸ばし、彼の綺麗な銀色の髪を隠している青いバンダナを取って、その銀色の輝きに目を細めながら、ゆっくりと目を閉じた。
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