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誘拐

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大木神次《おおきしんじ》が日本ギルドマスターでありながら、目の前で土下座して訴えていた。

「孫の伽耶かやを助けて欲しい。孫の命を賭けれるのは君だけだ。警視庁を何処まで信じていいか・・・私には分からなくなった」

「すると警察関係者の中に裏切り者が居ると・・・」

「証拠はない。しかし・・・そうとしか考えられない。SPは、警視庁警備部警護課所属の警察官だ。そのSPが無傷のまま孫が誘拐されるなんてありえない・・・」

「SPって確か・・・身辺警護の人ですよね・・・」

「5人も警護していたのに、誰1人犯人を見てないのに連れ去られるなんてありえない・・・それも銀座のど真ん中でだ」

なにやら深い訳がありそうだ。

「分かりました。やってみます」

まあ、ここは恩を売るしかない。内容を詳しく聞いた。


警視庁の受付電話に、誘拐犯から一方的に取引き内容を言い渡された。

「今夜の22時までに、福井で押収された魔石と青い魔石50個を用意しろ」

すぐ特定した場所に、警察官が出動したが犯人は居なかった。
使われたのは、とばしスマホだ。
通話のアクセントから、K国人だと判明。



俺は取調室に居た。

「あなたが警護第6係のSPの山田さんですね。ギルド関係者の警護で優秀な人たちのはずなのに・・・伽耶さんのもっとも近くに居た人で間違いありませんか?」

「そうだ・・・何度も言うが犯人は見てないんだ。SPとして恥じてるが嘘は言ってない」

顔を見ながら鑑定し続けた。
大量の魔力が又も消費だ。お!見えてきた・・・誘拐現場の記憶だ。
え!どうしてだ。ちょっと下手な隠蔽魔法が誘拐に使われたのか・・・俺だから見破れたが、あのSPには無理か・・・
伽耶さんの手を掴んで引き込んだ。その時にハンドバッグを引き千切って落とした風景がはっきりと見えた。

「伽耶さんのハンドバッグを見せろ」きつい言葉が出てしまった。

こんな重要な事を早く言えよ。

用意された証拠物からハンドバッグを見つけた。そして急いで袋から取り出した。
そしてガン見した・・・相手の思考が見えた・・・K国の人間だ。
もう大量の魔力が失われて失神の手前だ。魔石を取り出して魔力吸収を発動・・・ああ、楽になった。

改めて鑑定を続けた。向かってるアジトが判明したぞ。

ヘリに向かいながら大木さんに話した。

「学園にスパイが居るみたいだ。外か中か分からないが監視されてたようだ。今でも居るみたいだから調べてほしい」

「なんだと!!・・・その件は、調べるから孫を頼む」

「分かりました。穏便おんびんに頼みますよ。村人に被害の出ないように・・・」

大木さんの見送る姿が痛々しい。
ヘリのドアが閉められた。急に浮かびだした。



「向こうは、高速道路を使わずに下を通っているはずだ。急げば間に合うはずだから急いでくれ」

「了解しました」

「先生、俺たちも参加するので相手の事を詳しく教えて下さい」

「ああ、K国人だ。俺が教えた隠蔽魔法を使っていたから注意しろ」

「え!それは本当ですか・・・向こうにも魔法士が居るのですね」

「ああ、居るぞ。気合を入れて戦わないとやられるぞ。風魔法の使い手だ・・・どうやって覚醒したのか疑問だ」

ヘリは2機で向かってるが、ここのメンバーがスマホで向こうのヘリへ、ああだこうだと話中だ。



アジトから離れた位置へ着陸して、生徒たちがゾロゾロと降りた。

「警察署長の仲間です。誘拐犯はまだ来てません。2キロ内にも不審車両は、見当たりませんがどうしますか」

「不審車両が来たら連絡下さい。相手は魔法士です十分に気をつけて下さい」

「分かりました。佐川、行くぞ」



俺は、生徒たちにGOサインをだした。
素早く走りだした。


風魔法士シンは、ボロアジトの壁穴に管を入れて覗いた。

「伽耶さんは居ません。犯人は西側壁に3人、入口付近で見張りが3人と中央に5人が居ます。拳銃の着用確認。6人が確認しました。残り5人は未確認のままです」

やはり俺らが先に着いたみたいだ。
俺もこっそり穴を開けて確認した。中の連中は、誰も魔法士でなかった。

「Aプランでやるぞ。準備出来たら連絡しろ」


「A班、準備完了」

「C班、準備完了」

「B班、どうした」

「B班、準備完了」

「時間セット、5、4、3、2、1、1分後に突入」

1分後だ。

西側の壁がスパットと切られた。そして6人が突入。
素早さアップの狩野が、1人2人と1回のパンチで気絶させた。
もう1人は、風魔法で天井近くへ飛ばされた。
もう1人の女性が、風防御を展開中だ。

まさにその時だ。銃声が鳴った。
全ての銃弾が、風防御によってそれた。

天井が一瞬で穴が開き、溶けた天井部が5人を襲った。

「熱、ギャーー」

「誰か助けてくれーー」

「背中が、背中が」と転げ回った。

もうひどいありさまだ。

「誰か助けてやれよ」

「水魔法は、私しか居ないけど・・・こんな連中を助けるのは・・・」と言って、諦め顔で水を出していた。

もう5人は、水を求めてハルに近づいた。

「そこでストップよ。それ以上近づかないでって言ってるでしょう。なぜ近づくの」と蹴りを入れた。

「ハルって、平気で蹴り上げるのね」

ハルは、肩をすくめた。

入口の犯人は、気絶したまま手錠を掛けられていた。

「いつ主犯が来るか分からないから、早く西側の壁をなおせーー」

「え!切ったのは俺だけどなおせないよ・・・頼むよアンリ、なおしてくれよ」

「仕方ないわね。1つ借りよ」もう日本語ペラペラなアンリだ。


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