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第38話
しおりを挟む「はいは~い!」
思いっきり手を挙げ、意見があることを主張する。
「なんですか、水無月」
「もうさぁ、メールで理事長に聞くのがいいと思いま~す」
敬語だが語尾を伸ばす事で、あくまで軽く、おちゃらけた感じを演出させる。今この場だと、生徒会会計である水無月真琴はそうするはずだ、という主観に従って。
「だが、それであの理事長が素直に教えると思うか?」
「た、ぶん…躱さ、て……おし、まぃ…」
「ん~、俺もそう思うよぉ?けどさぁ~、…これ以外案が思いつかないんだよぉ~」
そう言うと、会長と慶は「あぁ…」という反応をした。その未来は楽に想像出来るが、これ以外に最適な解が俺と同じで思い浮かばなかったのだろう。
「軽く躱される未来しか見えませんが…まぁ、ダメ元でしてみましょうか」
もしかしたら、答えてくれるかもしれませんしね…。
そんな、望み薄な言外の言葉が聞こえた気がした。
そうだよ!もしかしたらを期待するのは自由だし←
副会長がメールを送信する間、俺達は手を止めていた仕事を再開させた。
今俺が取り掛かっているのは、今年度の部活動毎の部費予算を組む作業である。人数が多い所や、昨年度の実績がある所は今後を期待して多くなるが、あくまで必要最低限より少し上ぐらいだ。でないと、部外なことに部費を使う馬鹿が現れるからな。それでも、やる奴はやるんだけど。
あれを取り締まるの、めっちゃ面倒なんだよなぁ。
昨年度の騒動を思い出し、思わず遠い目になった。
あれは、過去最高で最悪な出来事だった。
始まりは、サッカー部のとある部員とマネージャーカップルの痴話喧嘩だった。
そう、ただの痴話喧嘩だったのだ。
それが何故かヤバいヤンデレさんを生み出し。
そのヤンデレによって、全く関係のないダンス部の部費を盗まれ。それで最新式サバイバルナイフが購入された。
運良く、早い段階で部活動に全く関係のないサバイバルナイフが購入されたことに早く気付いた俺は、ちゃちゃっとその人物を炙り出した。その日は休みの日だったので、話を聞いて忠告するために、昼間そいつの寮部屋へ1人で行ったのだ。
出かけていないのは確認済み。チャイムを鳴らしても扉が開かなかったので、寮長に借りたマスターキーで開けて普通に中へ入った。
そこで何があったと思う?
実はなんと、ヤンデレの方が例のマネージャーさんを押し倒して、サバイバルナイフで無理心中しようとしてたのだ。
それからがカオスだった。
殺されそうになりながらも、何とか風紀委員長に通報してたらしい被害者の子によって呼び出された委員長が突入してきて。
そして何故か、偶然近くを通りがかった会長までもが乱入して。
顔を合わせた2人は嫌味を言い合いながらも、加害者を被害者から引き離して持ってた紐でぐるぐるに縛り。
俺と被害者の子がポカンとしている間、嵐のように加害者を引き連れて去って行った。勿論、相変わらず嫌味を言い合って。
勿論、後から俺が責任を持って、被害者の子を風紀委員室に連れて行ったとも。
因みに、腰が抜けて立てない様子だったので、寮から校舎までの片道15分間、ずっと背負って歩いた。別に姫抱きでも余裕だったが、それじゃあその子が、俺の過激派親衛隊員や隠れファンに制裁をされる可能性を不用意に高めるだけだったしな。
まぁ一応、月に1回は親衛隊とお茶会みたいなのをしてたし、制裁もするなと、始めのうちに結成条件を付けてるから大丈夫だとは思ってたけどさ。
念には念を入れて置かないと、ね。だって、もう後悔したくないから。
閑話休題
……それにしても、いやぁ、本当、あれは過去最高に最悪で意味が分からない出来事だったわ。
そう思い出し、少し作業の手を止めてしみじみとした。今年はあれに匹敵するような騒動が起こらないといいけど。対処が面倒だし。
あぁ、そういえばその出来事が起こったきっかけである例のカップル。実はあれからすぐに仲直りして、今では学園トップ10に入るほどのラブラブっぷりらしい。糖度は周りが角砂糖吐くぐらい。
これはフダンシ?っていう人達だらけの新聞部発の情報だからね。信憑性は確かだ。
あの人達って、いつもどうやってあんな正確な情報を集めてくるんだろうか。オレみたいなハッカーがいる感じでもないし、族関係者やその手の知り合いでもいるのか?
そういや「倫理観や道徳観的にアウトのがあれば、合法的に廃部へ追い込めんのにな…チッ」って、何やらちょっとした秘密をバラされた会長が、この前悔しそうに怨念を吐いてたな。
因みにその秘密がバラされて数週間は、会長の元に蝶の形をした、キーホルダーや標本、クッキー等の、贈り物や差し入れが続いていた。
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