Battle Royal ～神の能力者～

第4話 「切り裂きヘッド」

その生首はクリミナーレ街道の路地裏の雪の中に埋もれていた。ピエロの仮面を被った紳士はその雪の妙な盛り上がりに目をつけ、雪をどかすと、中から生首が見えてきた。紳士は生首についた雪を払い、生首をポリ袋に詰めて、それを誰にも見られないようにコートの内ポケットに入れた。
     ―1日前―
ピエロの紳士は殺し屋のファンゴにスフォルト･ランコーレをクリミナーレ街道の酒場の路地裏で殺して欲しいと頼んだ。しかし、スフォルト･ランコーレは一緒に殺し屋を営んできた仲間だったので、仲間を殺すわけにはいかないとファンゴは答えるが、紳士は、お前の娘は誘拐した。ランコーレを殺せば返してやると言った。ファンゴはやむを得ず依頼を受けた。
その夜、ファンゴは紳士の指示通りランコーレの体をバラバラに切り落とし、首と手を雪の中に埋めた。
翌日、紳士がポリ袋に入った生首をコートの内ポケットに入れると、「ランコーレの殺害を確認した。お前の娘は返す。追ってきたら殺す。」と携帯で話した。

研究室のホルマリン漬けのランコーレの生首に、白衣のピエロは話しかける。
「お前は、憎んでるだろう？あの時殺したやつらを。ならば思う存分返してやればいい。さぁお前の恨みを奴らに向けてやるんだ！」

ランコーレは殺される前の記憶を思い出す。まるで悪夢のようにその記憶を支配する。

そしてランコーレの血液は鉄の刃に変化した。

その日の夜、ファンゴとその家族は惨殺された。皆、首を切られていた。そして、クリミナーレ街道でときどきその連続首切り殺人事件が起きるようになった。

人々はやがてこう呼んだ。「首切りヘッド」と。