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第二章 陰謀のしっぽ
第11話 白イタチ・サバドの猛攻!
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白イタチが連続で放つ光の刃が次々と雷奈を襲った。
雷奈はこれらを受け流し、身をかわしながら懸命に回避するが、さまざまな角度から迫り来る刃は雷奈の四肢をかすめ、その表皮を切り裂いていく。
雷奈は額に汗を浮かべて、唇を噛んだ。
「神衣があればもう少しマシなんだけどね。言っても仕方ないけど。ああ頭にくる!」
霊的な防御力に優れた神衣であれば、少しくらいの攻撃は防ぐことが出来る。
だがそれを考えたところで意味はない。
雷奈は一秒でも早く攻勢に転じる必要があるのだが、彼女と白イタチの距離は一向に縮まらない。
光刃の雨あられに耐え続ける雷奈の体力は徐々に削り取られていった。
「雷奈さん。危ない!」
弥生は雷奈の危機に顔面蒼白になりながら思わず叫んでいた。
「大丈夫。アイツは喧嘩マジで強いから。それにまだ奥の手を出していない」
弥生を落ち着かせるようにそう言うと響詩郎は口を真一文字に引き締めた。
こういうとき、彼は直接的に加勢する術を持たない。
無力感も感じる。
だが、それでも響詩郎は心得ていた。
自分がそんなことをしても雷奈には毛の先ほども役に立たないことを。
響詩郎がするべきことは体を使った戦いではなく頭を使って考えることだった。
「響詩郎さん……」
呻くようにそうつぶやいて響詩郎を見やり、弥生はハッとした。
目は冷静に戦況を見続けている響詩郎の拳が、小刻みに震えるほど強く握られている。
(……一番不安なのは響詩郎さんなんだ)
弥生はそう感じて唇を噛むと、戦いを続ける雷奈に視線を戻す。
戦況はいっこうに好転しない。
必死に間合いを詰めようとする雷奈だったが、白イタチの放つ光の刃の勢いは増し、今や彼女は一歩も動けない状態に陥っていた。
むしろ後退しないように意地を張り続けているような状況だ。
響詩郎はポケットの中に手を入れ、拳を握り締めた。
雷奈は反撃のタイミングを待っている。
だが、それが出来ないまま光の刃の餌食となってしまうのも時間の問題のように思えて仕方の無い響詩郎は、嫌なイメージを払拭するように頭を振ると腹の底に力を込めた。
(白イタチは俊敏だ。間合いを詰めたとしても一瞬で捉えなくてはまたすぐに距離をとられてしまう。チャンスは一度きり)
響詩郎は瞬きもせずに戦況を見つめ続け、その機会をひたすらに待ち続けた。
一方の雷奈は体のあちこちに傷がつき出血箇所も少なくはなかったが、体が興奮状態にあるため痛みは感じなかった。
今、雷奈の身の内にあるのは燃えたぎるマグマのような強い憤怒だった。
雷奈は歯噛みして白イタチを睨みつける。
「よくも私をこんな目に……」
小学校時代に教室で雷奈の髪を引っ張ったイジメッ子は、彼女の拳を顔面に食らって青アザをいくつもこしらえることになった。
中学校時代に雷奈の尻を触った痴漢の犯人は、彼女の肘打ちをもらって上下の前歯4本を失うことになった。
高校時代に雷奈のカバンを盗もうとした引ったくり犯は、彼女の回し蹴りを浴びて白目をむいて失神した。
いつだって雷奈は、自分に危害を加えようとする者には倍以上の返礼を持って返り討ちにしてきたのだ。
「ああああっ!」
雷奈は気を吐いて大声を張り上げると、迫り来る光の刃を両手の護符で叩き落とし続けた。
「しぶとい女だな。だが、そろそろ楽にしてやるよ!」
そう言ってニヤリと笑うと、白イタチは大きく上空に飛び上がり、背筋をそらして両腕を交差させる。
白イタチの頭上に白く輝く三日月型のひときわ大きな光の刃が形作られていく。
「くらえ!」
ギロチンのように巨大な刃を見た雷奈の背中に冷たい汗が流れ落ちた。
(くっ……まずい……あんなの受け切れない)
罪人の首を切り落とさんとするかのごとく光り輝く刃が、夜の闇の中で雷奈の首に狙い定められていた。
雷奈はこれらを受け流し、身をかわしながら懸命に回避するが、さまざまな角度から迫り来る刃は雷奈の四肢をかすめ、その表皮を切り裂いていく。
雷奈は額に汗を浮かべて、唇を噛んだ。
「神衣があればもう少しマシなんだけどね。言っても仕方ないけど。ああ頭にくる!」
霊的な防御力に優れた神衣であれば、少しくらいの攻撃は防ぐことが出来る。
だがそれを考えたところで意味はない。
雷奈は一秒でも早く攻勢に転じる必要があるのだが、彼女と白イタチの距離は一向に縮まらない。
光刃の雨あられに耐え続ける雷奈の体力は徐々に削り取られていった。
「雷奈さん。危ない!」
弥生は雷奈の危機に顔面蒼白になりながら思わず叫んでいた。
「大丈夫。アイツは喧嘩マジで強いから。それにまだ奥の手を出していない」
弥生を落ち着かせるようにそう言うと響詩郎は口を真一文字に引き締めた。
こういうとき、彼は直接的に加勢する術を持たない。
無力感も感じる。
だが、それでも響詩郎は心得ていた。
自分がそんなことをしても雷奈には毛の先ほども役に立たないことを。
響詩郎がするべきことは体を使った戦いではなく頭を使って考えることだった。
「響詩郎さん……」
呻くようにそうつぶやいて響詩郎を見やり、弥生はハッとした。
目は冷静に戦況を見続けている響詩郎の拳が、小刻みに震えるほど強く握られている。
(……一番不安なのは響詩郎さんなんだ)
弥生はそう感じて唇を噛むと、戦いを続ける雷奈に視線を戻す。
戦況はいっこうに好転しない。
必死に間合いを詰めようとする雷奈だったが、白イタチの放つ光の刃の勢いは増し、今や彼女は一歩も動けない状態に陥っていた。
むしろ後退しないように意地を張り続けているような状況だ。
響詩郎はポケットの中に手を入れ、拳を握り締めた。
雷奈は反撃のタイミングを待っている。
だが、それが出来ないまま光の刃の餌食となってしまうのも時間の問題のように思えて仕方の無い響詩郎は、嫌なイメージを払拭するように頭を振ると腹の底に力を込めた。
(白イタチは俊敏だ。間合いを詰めたとしても一瞬で捉えなくてはまたすぐに距離をとられてしまう。チャンスは一度きり)
響詩郎は瞬きもせずに戦況を見つめ続け、その機会をひたすらに待ち続けた。
一方の雷奈は体のあちこちに傷がつき出血箇所も少なくはなかったが、体が興奮状態にあるため痛みは感じなかった。
今、雷奈の身の内にあるのは燃えたぎるマグマのような強い憤怒だった。
雷奈は歯噛みして白イタチを睨みつける。
「よくも私をこんな目に……」
小学校時代に教室で雷奈の髪を引っ張ったイジメッ子は、彼女の拳を顔面に食らって青アザをいくつもこしらえることになった。
中学校時代に雷奈の尻を触った痴漢の犯人は、彼女の肘打ちをもらって上下の前歯4本を失うことになった。
高校時代に雷奈のカバンを盗もうとした引ったくり犯は、彼女の回し蹴りを浴びて白目をむいて失神した。
いつだって雷奈は、自分に危害を加えようとする者には倍以上の返礼を持って返り討ちにしてきたのだ。
「ああああっ!」
雷奈は気を吐いて大声を張り上げると、迫り来る光の刃を両手の護符で叩き落とし続けた。
「しぶとい女だな。だが、そろそろ楽にしてやるよ!」
そう言ってニヤリと笑うと、白イタチは大きく上空に飛び上がり、背筋をそらして両腕を交差させる。
白イタチの頭上に白く輝く三日月型のひときわ大きな光の刃が形作られていく。
「くらえ!」
ギロチンのように巨大な刃を見た雷奈の背中に冷たい汗が流れ落ちた。
(くっ……まずい……あんなの受け切れない)
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