24 / 54
第二章 ~第二の砦~
第十二話 馬鹿
しおりを挟む
俺は両手を広げるように伸ばし、ベッドに寝転びながら魔王様の話を聞く。
こんなにテンションが高いのは寿司のおかげなのか?
「で、何だよ」
「寿司を食べている時に、お前の動きを封じる魔法を空中に見えないよう放ったんだよ」
「ほうほう。あの、動かなくなったやつだな」
確かに、あれは驚いた。急に動かなくなるもんだから。
何だよ、魔王様。調子が悪かったんじゃないのか?
「だがな、俺は調子が悪かったはずだ。しかも、あの魔法は小さい炎の玉を飛ばすより、難しい魔法だぞ」
「本当か……?! つまり……力を取り戻したってことか?」
「それは、ちょっと違うな……」
じゃあ、何だって言うんだ。
急に調子が良くなったり、悪くなったりするのか?
「俺は、今日、あの安いパンではなく『高いお寿司』を食べた」
「そうだな。それが関係してるのか?」
「あれを食った瞬間に力が湧いてきた……と、いうか力が漲る感じがしたんだよ。だから、あの魔法が使えると思って、試してみたら実際に成功した」
「魔王様が美味しいって感じたり、高いものだったら、魔力は回復するってことか?」
魔力、魔王様の力を保つには食べ物が関係してくるってことか。
RPGの魔力回復アイテムみたいだな。つまり、砦を有利に攻略したければ、こいつに美味いものを食べさせろ。ってことだよな。
益々、俺の金が危険になってきたぜ。
「そうなるのかもな……あんだけ安い物ばかり食べさせられたんだし……」
「悪かったな!」
嫌味か! バイトもしてない、学生なんだから、金がたくさんあるわけないだろ!
「この際だから、謝っておくが、この前の砦に入る前や入った後。お前は体力が減るなー……と、思わなかった?」
「思った」
「それは……! 俺のせいだ! いやー……体力が減るのが早いし、魔力も無いしでなー! ははっ!」
「だからか……ふざけんな!!」
「おーっと、力が戻った状態の俺には勝てないぜぇ」
「体格差がある」
どこまでも腹立つ魔王様だ!!
「ならば、かかってくるがいい!」
「言われな……ごめんなさい!」
魔王様は小さい体格ながらに炎の玉を手の平に出し、こちらに身構えていた。
危ねぇよ! 火事が起きたら、どうするんだ!
「ふはははは! 試し撃ちさせてくれー!」
「ちょ! 待てって! せめて場所を選……」
時、既に遅し。
小さい炎の玉は放射線を描くように部屋の本棚へ飛んでいった。
さようなら。俺の漫画。
「……じゃねぇよ! 火事! 火事起きてるから!」
漫画本に木製の本棚に火が移り燃え始める。
やばいやばい。砦を守る前に自分の家を守らせろ!
「早く! 早く! 早く止めろよ!」
慌てる。ただただ慌てる。落ち着いていられるわけがない。
「安心しろ。『ウォーター』」
バシャッ
火は浄化されるように一気に消えた。俺の漫画と本棚も浄化されるよう、綺麗に消えた。
「ふざけるな!! 漫画を返せ!」
「分かった。分かった。『ケア』」
本と本棚は何事も無かったかのよう、元に戻った。
「ふぅ……危ないだろ!! 家がなくなったらどうすんだよ!!」
「悪い、悪い。そして、もう一つ大事な報告がある」
「絶対に今度からするなよ! で、何だ?」
「今ので魔力を使っ……」
俺は魔王様の頭を思いっきり叩いた。
魔王様が泣言を言いながら、ぐちぐち、文句を言ってくる。
だが、俺は悪いと思わない。
そんな魔王様に呆れた、俺は寝る準備をして目を瞑った。
次の朝。
眠くない! 気分が最高にいい。そんな俺は徒歩で学校に向かっていた。
今日は魔王様の食料も買わなくていいからな!!
「ん、おはよ」
「胡桃(くるみ)、おはよう。具合の方は大丈夫か?」
「うん……! 大丈夫だよ」
少し暗い顔をしたが、それを振り払うように笑顔で、そう言った。
まぁ、気にしなくていいか。
いつも通りのたわいのない話をして、学校に着く。
準備を済ませ、あっという間に授業が始まる。一限、二限……と面白くもない授業を乗り越えると、飯の時間になった。
認めてはいないが、友達の少ない俺は一人で飯を食べることもある。
今日はそんな日だった。
「ふぁあぁ」
飯を食べ終えてからはすることが無い。
校内でスマホは使用出来るのだが、ソシャゲはしてないのでいじることも無い。
今日は数少ない友達も休みだし、何をするか……。
そう考えていると校内に一つのチャイムが鳴った。
ピーンポーンパーンポーン
「桐生 壮一さん。桐生 壮一さん。直ちに、生徒会室まで来てください。テストの件に関して話があります。繰り返します。桐生――」
それは生徒会長の声だった。
自分で言うのも、なんだが、成績優秀者の俺はこうして何かと呼ばれることがある。
生徒会長を受け継いで欲しい……。だ、とか、成績が優秀なんだから、学校のために……。とか、正直言って、面倒くさい。
生徒会室と聞いて、先生がいないと思いきや、数人いることも多々あるし。
俺は嫌々、席を立ち、生徒会室まで向かう。
この時に周りから、される目は「凄い……」というよう軽く引いてるような目。
羨ましがっているのか、妬ましいのか、厳つい目。
そんなものだ。
正直言って、キツいし、勘弁して欲しい。
そんな事を考えていると、あっという間に生徒会室の前まで来ていた。
俺は、そんな重苦しい扉に手をかけた。
こんなにテンションが高いのは寿司のおかげなのか?
「で、何だよ」
「寿司を食べている時に、お前の動きを封じる魔法を空中に見えないよう放ったんだよ」
「ほうほう。あの、動かなくなったやつだな」
確かに、あれは驚いた。急に動かなくなるもんだから。
何だよ、魔王様。調子が悪かったんじゃないのか?
「だがな、俺は調子が悪かったはずだ。しかも、あの魔法は小さい炎の玉を飛ばすより、難しい魔法だぞ」
「本当か……?! つまり……力を取り戻したってことか?」
「それは、ちょっと違うな……」
じゃあ、何だって言うんだ。
急に調子が良くなったり、悪くなったりするのか?
「俺は、今日、あの安いパンではなく『高いお寿司』を食べた」
「そうだな。それが関係してるのか?」
「あれを食った瞬間に力が湧いてきた……と、いうか力が漲る感じがしたんだよ。だから、あの魔法が使えると思って、試してみたら実際に成功した」
「魔王様が美味しいって感じたり、高いものだったら、魔力は回復するってことか?」
魔力、魔王様の力を保つには食べ物が関係してくるってことか。
RPGの魔力回復アイテムみたいだな。つまり、砦を有利に攻略したければ、こいつに美味いものを食べさせろ。ってことだよな。
益々、俺の金が危険になってきたぜ。
「そうなるのかもな……あんだけ安い物ばかり食べさせられたんだし……」
「悪かったな!」
嫌味か! バイトもしてない、学生なんだから、金がたくさんあるわけないだろ!
「この際だから、謝っておくが、この前の砦に入る前や入った後。お前は体力が減るなー……と、思わなかった?」
「思った」
「それは……! 俺のせいだ! いやー……体力が減るのが早いし、魔力も無いしでなー! ははっ!」
「だからか……ふざけんな!!」
「おーっと、力が戻った状態の俺には勝てないぜぇ」
「体格差がある」
どこまでも腹立つ魔王様だ!!
「ならば、かかってくるがいい!」
「言われな……ごめんなさい!」
魔王様は小さい体格ながらに炎の玉を手の平に出し、こちらに身構えていた。
危ねぇよ! 火事が起きたら、どうするんだ!
「ふはははは! 試し撃ちさせてくれー!」
「ちょ! 待てって! せめて場所を選……」
時、既に遅し。
小さい炎の玉は放射線を描くように部屋の本棚へ飛んでいった。
さようなら。俺の漫画。
「……じゃねぇよ! 火事! 火事起きてるから!」
漫画本に木製の本棚に火が移り燃え始める。
やばいやばい。砦を守る前に自分の家を守らせろ!
「早く! 早く! 早く止めろよ!」
慌てる。ただただ慌てる。落ち着いていられるわけがない。
「安心しろ。『ウォーター』」
バシャッ
火は浄化されるように一気に消えた。俺の漫画と本棚も浄化されるよう、綺麗に消えた。
「ふざけるな!! 漫画を返せ!」
「分かった。分かった。『ケア』」
本と本棚は何事も無かったかのよう、元に戻った。
「ふぅ……危ないだろ!! 家がなくなったらどうすんだよ!!」
「悪い、悪い。そして、もう一つ大事な報告がある」
「絶対に今度からするなよ! で、何だ?」
「今ので魔力を使っ……」
俺は魔王様の頭を思いっきり叩いた。
魔王様が泣言を言いながら、ぐちぐち、文句を言ってくる。
だが、俺は悪いと思わない。
そんな魔王様に呆れた、俺は寝る準備をして目を瞑った。
次の朝。
眠くない! 気分が最高にいい。そんな俺は徒歩で学校に向かっていた。
今日は魔王様の食料も買わなくていいからな!!
「ん、おはよ」
「胡桃(くるみ)、おはよう。具合の方は大丈夫か?」
「うん……! 大丈夫だよ」
少し暗い顔をしたが、それを振り払うように笑顔で、そう言った。
まぁ、気にしなくていいか。
いつも通りのたわいのない話をして、学校に着く。
準備を済ませ、あっという間に授業が始まる。一限、二限……と面白くもない授業を乗り越えると、飯の時間になった。
認めてはいないが、友達の少ない俺は一人で飯を食べることもある。
今日はそんな日だった。
「ふぁあぁ」
飯を食べ終えてからはすることが無い。
校内でスマホは使用出来るのだが、ソシャゲはしてないのでいじることも無い。
今日は数少ない友達も休みだし、何をするか……。
そう考えていると校内に一つのチャイムが鳴った。
ピーンポーンパーンポーン
「桐生 壮一さん。桐生 壮一さん。直ちに、生徒会室まで来てください。テストの件に関して話があります。繰り返します。桐生――」
それは生徒会長の声だった。
自分で言うのも、なんだが、成績優秀者の俺はこうして何かと呼ばれることがある。
生徒会長を受け継いで欲しい……。だ、とか、成績が優秀なんだから、学校のために……。とか、正直言って、面倒くさい。
生徒会室と聞いて、先生がいないと思いきや、数人いることも多々あるし。
俺は嫌々、席を立ち、生徒会室まで向かう。
この時に周りから、される目は「凄い……」というよう軽く引いてるような目。
羨ましがっているのか、妬ましいのか、厳つい目。
そんなものだ。
正直言って、キツいし、勘弁して欲しい。
そんな事を考えていると、あっという間に生徒会室の前まで来ていた。
俺は、そんな重苦しい扉に手をかけた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる