蝶の如く

きなこ

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旅に危険はつきものだ

19(61p)

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と、その時
騒ぎを聞きつけた近藤が青い顔をしてやってきた。

「芹沢さんすまない!
俺の誤りで10人分の宿割を書き漏らしてしまった。
改めて宿を手配しているので、どうか火を消してはくれまいか?」

近藤は宿割り表をぐしゃぐしゃに握りしめながら深く謝罪した。
すると、後からやって来たもう一人の宿場係の池田徳太郎(イケダ トクタロウ)が続けて謝罪する。

「すみません!私が書き漏らしたせいで…」


そんな2人を見下しながら芹沢が言い放つ。

「どちらが書き漏らしたなど、どうでも良い。
わしはここで野宿をすると決めたのだ!邪魔をするな。」

どうやら芹沢は一度決めたら曲げない頑固者のようだ。
それでも近藤と池田は謝罪を続ける


その様子に怒りを覚えた沖田が出ていこうとした時…

「………っ!」

「さっきから話をいきていれば、まるで子供の我儘の様ですね。」

楓が馬鹿にした様に笑いながら芹沢に言い放つ、その様子に誰もが驚愕した。


芹沢は馬鹿にされた事に腹を立てているような表情で楓に目を向け 緊迫した状況の中、楓は続ける。

「芹沢さんは先程
『宿を取り忘れられて、宿が無いから仕方なくここで野宿をする』と言われてましたよね?
でも、現在 宿は手配している。なのに何故ここで野宿を続けると言うのですか?」

「何が言いたい?」

「私には、2人が自分の過ちを認め謝罪しているにも関わらず、それを面白がっているだけの迷惑な童子にしか見えません。
もしもそうで無いのなら、ここは寛大な心で2人の失態を許し、場を収めるのが芹沢さんのようなお方だと思っていたのですが…」

真っ直ぐと見据えて続ける楓の言葉に、鼻を鳴らし不敵な笑みを浮かべると

「そうだな…、ここはお主の顔に免じて許してやろう。
今後書き漏らすことの無いように…」

そう言い残し、宿に案内するように近藤に申し付けた。


すると近藤は「まだ、手配している所で…」と言いかけた時、土方がやって来た。


「芹沢一派の宿はこちらです。
一番いい宿手配したので今夜はごゆっくりお休みください。」

近藤達よりも先に宿を手配してやって来たのだ。
芹沢は「そうか」とだけ言い鉄扇を仰ぎながら宿に向かった。


その道中

「芹沢さん、いいんですか?あの童…」

「あぁ、気にするな。
少々見込みのあるやつが居ただけだ。」

芹沢は上機嫌で空を見上げてそう呟いた。

…………………………………………

芹沢一派が宿へ向かった後、近藤と池田が頭を下げる

「歳に桜蘭さん助かった。ありがとう」

「私の失態でご迷惑をお掛けしました。」


その様に土方は頭を抱えながら言う。

「近藤さんに池田さん、頭を下げるのは止めてくれ。」

「そうですよ!それに今はそれどころじゃないです。
早く火を消しましょう!!」

楓の言葉に一同火元の大篝火に目を向ける。
 火をそのままにして宿へと向かった芹沢に呆れを覚えながら、周囲の野次馬に声をかけて
総出で火を消すこととなった。


「大火事になる前に消すぞ!」

「皆さん!ありったけの水を持ってきてください。」

「火が燃え移らない様に近くの家は手当り次第崩せ!!」

……………………………
…………………

結果、懸命な消火活動により大惨事は免れた。
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