『 』

ヒーロー

お姉ちゃん、どうしてヒーローは悪者をやっつけるの？

『どうしてって 悪いことしたからよ』

どんな悪いこと？

『うーん。大切な人をさらったり、大人に迷惑をかけたり？』

どのくらい悪いこと？警察に捕まるくらい？

『ヒーローに殺されちゃうくらい』

どうしてそんなことするの？

『さあね、悪者に聞いてみればいいんじゃない？』

悪者ってどこにいるの？

『どこにでもいるわよ、正体を隠してるだけでね』

お姉ちゃんは悪者がどこにいるか知ってるの？教えて！！

『教えなーい、だって』

だって？

『教えたらあんたヒーローを呼んじゃうでしょ？』

呼んじゃだめなの？悪者なんでしょ？

『確かに悪者だけど、悪者だって毎日ずっと悪いことしてるわけじゃないでしょ』

お姉ちゃんは悪者の味方なの？

『ううん。でもどちらかと言うと悪者寄りかな  あんただって悪者寄りだよ？』

僕は違うよ！どうして僕も悪者なの！？

『だってさ、いっつも野菜残してお母さん困らせてるじゃない、勝手に友達と騒いだりして。人に迷惑をかけるなんて悪者でしょ？それを対処するお母さんにとっても迷惑な話でしょ、ほらあんたは悪者だね』

じゃあ僕はヒーローにやられちゃうの？

『さあね、もしかするとやられちゃうかもね』

やだ！今日からお母さんに迷惑かけない！ちゃんと野菜も食べる！！

『よしよし、ヒーローもそんなこと言われたら手を出せないなぁ』

ちゃんとお薬だって飲むし、大人しくしてればヒーローは僕を助けてくれる？

『うん、きっと助けてくれるよ』

解った！僕ヒーローにやられないように頑張るよ！

『…頑張ってね』
......................................................

『でもヒーローも過剰防衛だよね。悪者が消えるまで戦うなんて』

『あんたはやっぱり悪者だよ。お母さんに散々迷惑かけて心配させて』

『それに、私からお母さんを奪ってさ…』

『悪者は、ヒーローにやられちゃうんだよ？』

『ごめんね、私はやっぱり悪者みたい。』

......................................................

「今朝のニュースです。今日朝5時頃○○病院で入院中の少年の点滴液に毒薬が混ざっており死亡するという事件がありました。なお警察は殺人の疑いで捜査を続けていく模様です。」


「只今入ったニュースによると同じ病院内の空き部屋で首を吊った女性が発見されました。死後4時間ほど経っているようで、又先程の報道の少年のお姉さんだと言う事です。」