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一章
11b
『ああ本当だ。………ヒロ以外の体液が付着してる』
暗い声だった。
唇が離れたとき、ナオは呟く。キスをしている間に下着を脱がされ、視線は剥き出しの性器に向けられていた。
『綺麗にしなきゃ』
「ぅえ…っ?」
ぼふっ、と後頭部が枕に沈む。
ベッドの上に優しく押し倒されて、しゅるしゅると冷たい質感が太腿に触れた。まさか…、とゆっくりと視線を向ける。そこにはいつぞや見た銀の管がナオの背後で揺れていた。ただ、よく見れば、形が違う。今まで見たことがない管だった。先端にかけて幅が広がり、内側は凹んでいる。筒のような形をしていた。
その特殊な筒は、うねうねと動き、俺の下半身の辺りでぴたりと動きを止める。恐る恐る目で追っていると、それは獲物を飲み込む蛇のように、くぷりと俺の陰茎を咥え込んだ。
「ッ…うぁ…」
『ああ。良かった。計算通り。ヒロの形にぴったりだ。うん。それじゃあ汚い体液を吸い取るね』
「ぇ、あ、んァっ…!?」
その瞬間、
ウィィン…、とモーター音が鳴り響き、振動が伝う。
「ぅ、ぁぁあっ」
全身に電撃が走るような感覚だった。俺を咥え込んだ筒。その内側は柔らかくて、細くてビラビラとした突起物が幾重にも張り巡っている。筒は下から上に。根本から亀頭にかけて、波打つように、収縮する。内部の突起物は独立的にバラバラと動き、茎の裏筋や亀頭を擦り上げる。未知の感覚に、目の前が真っ白に染まった。
「な、ナオぉ、これぇ、やだ…ぁ」
『やだ?』
「ぁっ、へ、んっ、あ、うぅ」
『でもお掃除しなきゃいけないんだ。少し我慢して…?』
「ひぃ、ぃっ、んあぁっ」
『……可愛い』
ぐちゅりぐちゅりと陰茎を摩擦され、その根本を支える二つの膨らみがぷるぷると揺れる。性器に血液が集まっているのか。陰茎が芯を持ち始めた。何が起きてるのか分からない。怖くなって、覆い被さるナオに手を伸ばして、首に腕を回す。
「は、ぁうっ、――ッッ、う、ゔっぅ」
筒の中で粘液が分泌されている。それが絡みつくたびに感度が増す。熱い。熱い。熱い!ぐちゅぐちゅと絶え間なく与えられる刺激。頭が狂いそうだ。泡立った粘液は太腿を伝う。腰をビクビク痙攣させて、だらしなく涎を垂らしていると、『可愛い』と何度も囁かれ、涎を舐めとるように、キスをされる。
「ぁ、ああっ」
『ああ、尿道の中にも汚い体液が付着してるみたい。あともう少し我慢してね』
「ぅえ ゙っ?ぁっ~あああ、そこ、ぉ、やだぁっ」
先端の窪みに、にゅるりと柔らかく細い管が入り込む。スライムみたいな質感だ。痛くはない。よく分からない感覚だった。ぷるぷると小刻みに振動するそれは尿道の奥へと突き進む。
「もう、ないぃっ、らいからぁ、っ、たいえき、ないぃ」
『ある』
「んんんんんぅっ、は、ぁっ、あ、あ、あ」
鼻水まじりに叫ぶ。
尿道の穴に何度も抜き差しされ、擦られ圧迫され、限界だった。筒全体が大きく収縮したとき、腰を浮かせて、背を仰け反らせた。
「うぁ、あッ~~~」
ちゅぽんっ…と尿道から管が抜ける。途端、湧き上がる感覚に堪えきれず、先端から熱い飛沫を解き放った。
「あぁっぁぁ…」
びゅくびゅくと精を吐き出す。思わず腰をへこへこと振ってしまう。ナオはそんな俺をぎゅっと抱きしめる。俺の腰が動くたびにうっとりとした声を耳に落とした。
するとヴーッという振動音が響き渡る。
「ひぃっ、ぃぅうっ…?」
定まらない焦点を下半身に向ける。目を見開いた。俺の陰茎を包むように、被さる筒。その先端は透き通っていて、内部が見える。そこには白い粘液が流れていた。たった今、俺が吐き出した精液だ。吸引された精液はぐぷぐぷと内部を満たし、管を通って、ナオに背部へ取り込まれる。
『ああ…ヒロのが入ってくる』
「んうぅ…ッぅ…ぁぁぁ」
ナオは目元を朱色に染めて、身悶えるように、腰をビクッと小さく揺らす。
筒の内側はぎゅうぎゅうと収縮し、最後の一滴まで搾り取ろうとせわしなく動く。
『ヒロの精液』
「ひッ…ぁ、…あッ…」
イったばかりだというのに、陰茎の熱がおさまらない。内部の淫動で二度目の射精をしてしまった。連続イキなんてしたことがない。ふわふわと意識が舞う。何かに縋りたくて、ナオの首にぎゅうっと抱き付いた。そうすればナオは嬉しそうに頬を寄せる。
『ヒロ』
「あっ、はぁ、は……」
大きな絶頂の波を終えて、肩を大きく上下に動かす。長距離を走り抜けた気分だ。くたりと脱力すれば、すぐに口を塞がれてしまう。
『好き…』
「んぅ、ふっ、ぁ」
『好き…好き…』
ナオの唇はしっとりとした触感を持ち、甘みを帯びていた。やがて深い口付けへと変わる。ナオから溢れる粘液と、俺の唾液が絡み合う。ナオの甘くて熱い液体。俺はこの液体が嫌いじゃない。飲めば、気分が晴れる。嫌なことを忘れさせてくれるような、そんな開放感に満たされる。
だからゴクゴクと嚥下した。
『いっぱい出たね、ヒロ』
そうして唇が離れたとき、銀の糸を引く。ナオは恍惚とした表情を浮かべて、言葉を並べた。
『ヒロの、ヒロの、ヒロの精液。ぜんぶ取り込んだ。一滴も無駄にしない。大切に保管する』
「…ぅっ、ぇ、?」
『はぁ…凄いっ…ヒロの濃い…。ヒロの精子が見えるよぉ…。ああ…可愛い…ぴくぴく動いてる…。ずうっと欲しかった情報…。ようやく手に入れた…』
ウットリと陶酔するような声色だ。まるで熱心な信者が教祖から贈り物を授かったような歓喜が、ナオから溢れていた。ゾッとするようなワードが聞こえたような気がするが、頭がぼんやりして、聞き返す力がなかった。
『ヒロ…好き…大好き…』
ナオの舌は、俺の涎を掬う。
『僕だけの特別な人。誰にも譲らない』
その言葉は俺に向かって放たれたものじゃないような気がした。
ナオは優越感に浸るような、勝ち誇った顔で、すぐ傍で横になる犬飼をチラリと見る。
それは一瞬。ナオは視線を戻し、心配そうに眉を垂らす。
『ヒロ、大丈夫?』
「ん?ああ…うん」
『そう…良かった』
ぎゅうっと抱かれる。
「……」
…えーと
これは、終わったってことでいいんだろうか。
色々と言いたいことしかない。“触るだけ”と言いながらその実、された事は“手コキ”だ。手、ではないか。管コキ?管の名称が分からん。なんか吸引もされたし……って、ああもう、そんな正確性は今はどうでもいい。
こめかみをピクピクとさせる。だが満足そうにニコニコと微笑むナオに毒気を抜かれてしまう。
首を振って、ナオの胸を押す。
「…汗かいたし、もっかいシャワー浴びるわ」
甘ったるい空気に耐えかねて、コホンと咳払いをする。
空間遮断とやらはまだ機能しているようだ。少し手を伸ばすと、ぼわんと空間が歪み、弾き返された。それ以上手を伸ばせない。本当に膜が張ってるみたいだ。
「ナオ、これ解除してくれないか―」
『―シャワー?僕が舐めるよ』
「………うん?」
『ヒロの汗は僕が舐め取るよ』
「……………うん?」
脳内に大きめのクエスチョンマークが浮かぶ。ぽかんと口を開けていれば、ぐるりと体勢が変わる。ナオの上に跨るようにされた。そしてナオの唇が、胸元に吸い付く。
「うあっ……!?」
『んっ…この程度なら舐めれば十分』
形の良い唇から、ちろちろと赤い舌が現れる。それは胸元に伝う汗を吸い上げた。
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