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1.村人生活。

6.村人生活その4。

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話は中々、噛み合わなかったようで、やっとの事で、夕食を食べてくれましたよ。終始、俺の事を見ていた気もするが、気にしたら負けな気がする。でも、一瞬、俺の事気付いた気がした。でも、周波数とやらが邪魔をした。


スキルというのは、全く持って便利でしょ。本当にこれって厄介な眼鏡。でも、この村には情報源というものがない。他の街の事、ちょっと聞いてみよう!


俺は敢えて、上目遣いを使って聞いてみる。勿論、食器を洗ってからね。ここは大事!


「あのぉ・・・♪この村以外の街の事が聞きたいんです・・・♪どうか、教えてくれますか?」


予想通り、女の子は胸を押さえて、こらえている。そろそろ、堕ちるかな?


「勿論ですぅ♪何なら、お名前を伺っても・・・?」


ギクッとした。でも、名前くらいなら。


「ヒロトです。ヒロト・ノッセン。貴方のお名前は?」
「リンスレット・リザートですぅ♪・・・ヒロトさん。いいお名前ですね・・・♪」
「リンスレットさん程ではないですよ。とても可愛らしいお名前ですよ。」


ニッコリ笑うと、ズキュンと音が聞こえた気がした。中々、話進まない・・・。本当に厄介な体質!こちらから、話題を出さないと。


「僕、この村から出た事なくて・・・。この村に来た冒険者さんにもお会いした事なくて・・・。この村の外はどんな世界があるのですか?是非、教えてください・・・。」

可愛らしいポーズというものが分からなかったので、しょげる姿を見せる。またもやズキュンと音が聞こえた気がした。一体、何が正解なの?


「はぅ・・・。やっぱり、可愛いですぅ。ヒロトさん、私が何でも教えてあげますからね。しっかり、聞いていてくださいね。」
「はい!リンスレットさんの話聞くの楽しみです!」


わー。楽しみー!!自然と笑みがこぼれていたみたいで、またもやズキュンと音が聞こえた気がした。これで何回目ですか?






「私は、王城で働いている魔術師なんですよー♪」
「えっ!?それは凄いです!」


俺と同じ年頃に見えるのに、王城で働いているなんて。しかし、こんな辺境地帯に仕事で来るとか凄いなぁ。きっと。


「リンスレットさんが優秀な魔術師さんだからですね!!本当に凄いです!」
「そ、そうですか・・・?それは嬉しいですねー?」
「王城・・・。いつかは行ってみたいですね。リンスレットさんの働く姿、見てみたいです!」
「はぅ・・・。私の天使きゅんは言葉がお上手ですねー?」
「そんな事はないですよ!!だって、僕と同じくらいで、魔術師さんって凄い事だと思うんです!魔術師さんが難関な職業だって事は、この村にいても、常識みたいなものですよ!!」


ここは本音で褒める。というか、魔術師って事は魔法の才能があるって事!魔法を教えてくれないかな?でも、やっぱり凄いと思うよ。


「うっ、笑顔がまぶしいです。これだから、私の天使きゅんは可愛いんですから💕」


そうだなぁ。魔法が使える人の生活ってどんなだろう?ちょっと聞いてみようか?


「リンスレットさんは、仕事以外の日、例えば休みの日とかどうしているんですか?」
「はっ、これは私の事が聞きたいのですね。可愛いですぅ。貴方にならすべて話してしまいたい・・・。」
「学校とかって行かれたり、するんですか?」


「そうですねー?10歳から行く事が決まってますよ?」
「へぇー?そうなんですか?・・・僕、知らなかったです・・・。」


そうか。10歳から学校か・・・。俺、学校に行けるかな?この村はたたでさえ、隣の街と大きく離れており、行くのは困難かもしれない。俺はしょげてしまう。



「学校に行きたいんですかー?」
「・・・はい。この村はいい人達が多いのですが、学校に行けるだけのお金がないんです・・・。」


リンスレットさんはじっとこちらを観察する。そして。


「でも、ヒロトさんは『魔法』が使えるじゃないですかー?こうなったら、私が魔法について、教えられるところは教えちゃいますよー?」
「えっ!?いいんですか!?僕、嬉しいです!」


この日、一番の笑顔で答えた。リンスレットさんはしばらく悶え続けていた。
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