偽りだらけの花は、王様の執着に気付かない。

葛葉

文字の大きさ
63 / 93
第三章

第13話

しおりを挟む

 ……とはいえ。
「候補が絞られたからと言って、問題が解決するわけではないですよね?」
 ジョシュアが確認するようにサファルティアに問う。
「はい。陛下は今回の婚姻については受けたくないと仰っています」
 そこにはサファルティアを伴侶として迎えたいという意思もあるが、何よりもロクドナ帝国側の意図が読みづらいという理由もある。
 大国であるロクドナ帝国相手に、シャルスリアが得られる情報は多くない。ほとんどが、公的に開示されている情報ばかりだ。
「では、サファルティア殿下は?」
「……可能であれば僕も婚姻は避けたいです。ですが、王族である以上、国にとって利益になるのであれば、受け入れるつもりです」
 それはシャーロットも同じだ。
 けれど、まだ諦めたくない。
 シャーロットのそばで、彼を支えたい。
 王族として政略結婚は仕方ないと思う一方で、彼の隣を譲りたくないという気持ちは強い。
「であれば、その辺りは殿下にお任せしましょう。後は、“ティルスディア”殿下ですね」
 国王シャーロットや第二王子サファルティアの婚姻に関するものであれば、本来側室であるティルスディアを呼ぶようなことはない。
 “ティルスディア・キャロー”はシャーロットとサファルティアが作り上げた架空の女性。
 王妃不在のため、王妃代理の役割を担うティルスディアの存在はかえって邪魔になる。
 考えられる理由は、シャーロットが溺愛する“ティルスディア”を害し、確実に婚姻を結ばせようとするか、あるいは何らかの取引材料とされるか。
 最悪“ティルスディア”を殺そうとする可能性もあるだろう。
 ソラリスに視線が向けられると、ソラリスは肩を竦める。
「彼女の護衛はシャルスリアの護衛の他に、コアルク公爵家の独自の護衛もつけさせて頂いていますが……」
 サファルティアも頷く。
「いざとなれば僕とソラリス嬢が入れ替わることも可能です。もしも命の危険を感じたら迷わず僕に言ってください」
 本来“ティルスディア”はサファルティアのことだ。今回の旅の荷物にシャーロットが万が一に備えて用意した新しいドレスも含まれていた。
 シャーロット本人は、「何故私がティルを……愛らしいサフィを見られないんだ!」と腹立たし気に唸っていたが、帰ったらいくらでも見せると約束して落ち着かせたのは記憶に新しい。
「わかりました。わたくしの方でもできる限りのことはしますが、万が一の場合はサファルティア殿下にお任せします」
「はい。それで構いません」
 話はまとまり、2日後に使節団一行は無事に帝都にある皇宮へとたどり着いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

憎くて恋しい君にだけは、絶対会いたくなかったのに。

Q矢(Q.➽)
BL
愛する人達を守る為に、俺は戦いに出たのに。 満身創痍ながらも生き残り、帰還してみれば、とっくの昔に彼は俺を諦めていたらしい。 よし、じゃあ、もう死のうかな…から始まる転生物語。 愛しすぎて愛が枯渇してしまった俺は、もう誰も愛する気力は無い。 だから生まれ変わっても君には会いたく無いって願ったんだ。 それなのに転生先にはまんまと彼が。 でも、どっち? 判別のつかないままの二人の彼の愛と執着に溺死寸前の主人公君。 今世は幸せになりに来ました。

冒険者の幼馴染と、ずっとその隣にいたい男の話

くろねこや
BL
お前の隣で、一緒に歳をとって生きていくんだと思ってた。 例えお前が誰かと結婚しても、子どもが生まれても。 ◇ 15歳になると神様から魔法が与えられる世界で、たった一人魔法が使えないイスト。 火魔法と氷魔法を授かった幼馴染は冒険者になった。 オレにあるのは畑や動物たちをちょこっと元気にする力だけ…。 ところが、そこへ謎の老婆が現れて…。 え? オレも冒険者になれるの? “古代種様”って何?! ※『横書き』方向に設定してお読みください。 ※『設定 こぼれ話』は情報を追加・修正することがあります。

婚約者の前で奪われる!?王太子が僕の番だった夜

BL
僕は辺境伯家の嫡男レオン・グレイスフィールド。 婚約者・隣国カリスト王国の辺境伯家、リリアナの社交界デビューに付き添うため、隣国の王都に足を踏み入れた。 しかし、王家の祝賀の列に並んだその瞬間、僕の運命は思わぬ方向へ。 王族として番に敏感な王太子が、僕を一目で見抜き、容赦なく迫ってくる。 転生者で、元女子大生の僕にはまだ理解できない感覚。 リリアナの隣にいるはずなのに、僕は気づけば王太子殿下に手を握られて…… 婚約者の目の前で、運命の番に奪われる夜。 仕事の関係上、あまり創作活動ができず、1話1話が短くなっています。 2日に1話ぐらいのペースで更新できたらいいなと思っています。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。

竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。 男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。 家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。 前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。 前世の記憶チートで優秀なことも。 だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。 愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。

愛しの妻は黒の魔王!?

ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」 ――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。 皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。 身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。 魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。 表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます! 11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!

処理中です...