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第三章
第13話
しおりを挟む……とはいえ。
「候補が絞られたからと言って、問題が解決するわけではないですよね?」
ジョシュアが確認するようにサファルティアに問う。
「はい。陛下は今回の婚姻については受けたくないと仰っています」
そこにはサファルティアを伴侶として迎えたいという意思もあるが、何よりもロクドナ帝国側の意図が読みづらいという理由もある。
大国であるロクドナ帝国相手に、シャルスリアが得られる情報は多くない。ほとんどが、公的に開示されている情報ばかりだ。
「では、サファルティア殿下は?」
「……可能であれば僕も婚姻は避けたいです。ですが、王族である以上、国にとって利益になるのであれば、受け入れるつもりです」
それはシャーロットも同じだ。
けれど、まだ諦めたくない。
シャーロットのそばで、彼を支えたい。
王族として政略結婚は仕方ないと思う一方で、彼の隣を譲りたくないという気持ちは強い。
「であれば、その辺りは殿下にお任せしましょう。後は、“ティルスディア”殿下ですね」
国王シャーロットや第二王子サファルティアの婚姻に関するものであれば、本来側室であるティルスディアを呼ぶようなことはない。
“ティルスディア・キャロー”はシャーロットとサファルティアが作り上げた架空の女性。
王妃不在のため、王妃代理の役割を担うティルスディアの存在はかえって邪魔になる。
考えられる理由は、シャーロットが溺愛する“ティルスディア”を害し、確実に婚姻を結ばせようとするか、あるいは何らかの取引材料とされるか。
最悪“ティルスディア”を殺そうとする可能性もあるだろう。
ソラリスに視線が向けられると、ソラリスは肩を竦める。
「彼女の護衛はシャルスリアの護衛の他に、コアルク公爵家の独自の護衛もつけさせて頂いていますが……」
サファルティアも頷く。
「いざとなれば僕とソラリス嬢が入れ替わることも可能です。もしも命の危険を感じたら迷わず僕に言ってください」
本来“ティルスディア”はサファルティアのことだ。今回の旅の荷物にシャーロットが万が一に備えて用意した新しいドレスも含まれていた。
シャーロット本人は、「何故私がティルを……愛らしいサフィを見られないんだ!」と腹立たし気に唸っていたが、帰ったらいくらでも見せると約束して落ち着かせたのは記憶に新しい。
「わかりました。わたくしの方でもできる限りのことはしますが、万が一の場合はサファルティア殿下にお任せします」
「はい。それで構いません」
話はまとまり、2日後に使節団一行は無事に帝都にある皇宮へとたどり着いた。
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