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第一話 禁じられた二人
しおりを挟む幼い頃、遙か天空の城の上で夜空を見上げながら話をした。
顔を寄せて、声を潜めて、内緒話みたいに。
「あ、星が流れた」
「本当か?」
「本当だよ。ねえ、知っている?
星が燃える理由」
そう、彼が少し笑って囁く。
「罪の証なんだって。人が大きな罪を犯した時に、それを照らすために燃えるんだって」
「…馬鹿馬鹿しい話だな」
彼の言葉に、自分は鼻で笑う。思えば、可愛げのない子どもだったかもしれない。
けれどそれに彼は微笑んで「本当かもしれないよ」と言う。
金色の長い髪が、彼の肩から零れ落ちていた。
「きっと人の罪の身代わりに、星が燃えるんだ」
空を自在に舞う、漆黒の巨大な翼。
その漆黒の竜に乗っているのは、短い黒い髪に灰色の瞳の偉丈夫だ。
その足の鋭い爪が相手の巨躯をわし掴み、自由を奪った。
もがく茶色の竜の騎手に向かって、漆黒の竜に乗っていた男が刀を振るう。
首をはねられた相手の乗り手は息絶えて、そのまま竜から落ち、遙か下方の地面へと落下していく。
乗り手を失った茶色の竜は解放された後も、しばらくその場を舞っていたが程なく旋回して去って行く。
「ギュレスト!」
漆黒の竜の乗り手に声をかけたのは、同じように竜を駆る騎士だ。
「レオン」
「今ので全員だな。もうほかには近くにいねえだろ」
「ああ、終わったな」
レオンの言葉にギュレストと呼ばれた騎士が頷く。
「最近、隣国からの領空侵犯が増えたな。
同盟国だってのに」
「同盟など、相手を油断させるためのもの。
さしたる歯止めになどならん」
はっきり言い切ったギュレストにレオンは目を瞠った後、少し笑う。
「そういうとこ、お前は王様っぽいよな」
「馬鹿を言うな」
レオンの言葉にギュレストは顔を背ける。
「それは、不敬だ」
そう返して手綱を引くと、またがった竜が大きく羽ばたいた。
一気に上空へと飛行して、巨大な翼を何度も動かす。
空を舞う、その竜の視線の先にあるものが見えてきた。
空の至る場所に見える浮島、その中でも一際大きなもの。
その上にそびえ立った大きな白亜の居城が、ギュレストの目指す先だった。
ここは空にそびえ立つ王宮、人は「天空城」と呼ぶ。
遙か下方、地上にある領地を治めるその王国を、人々は「空の国」と呼んだ。
天空に建つ城から地上を見下ろし、統治する王国。その王国にはある武器があった。
それが空を自在に舞う竜だ。古来よりこの国の王族は竜と心を通わせられると言われ、国は国の守護として竜騎士団を擁していた。
ギュレストはその竜騎士団の団長だ。
最近増えた隣国からの領空侵犯の討伐を終え、天空城に帰還したギュレストは城の広間に足を踏み入れる。
その広間の先、あるのは謁見の間だ。
「騎士団長、ギュレスト。帰還しました」
そう告げて跪いたギュレストの視線の先にある玉座、そこに腰掛けているのはギュレストと同じ頃の年の青年だ。
絹のような腰までの長い金糸の髪、夜闇にも光る黄金の瞳、透き通るような白雪の肌、そしてその身を包む純白の装束。誰もが見惚れるその氷のような美貌に確かな王としての威厳をにじませた青年がこの国の国王だ。
「ご苦労だった。隣国の様子はどうだった?」
「は。先月より頻繁になっている様子。
こちらの様子を伺っているものと思います。
留意したほうがよろしいかと」
「わかった。打開策を考えよう」
跪いたままのギュレストの言葉に静かに答えた王は、玉座から立ち上がる。
その体躯はギュレストとあまり変わらず見えるが、ギュレストよりは細身にも映る。
「隣国は良い噂はあまり聞かない。
戦争の可能性も充分に考えて、騎士団のものに伝えておいてくれ。
竜騎士団は、我が国の要なのだから」
「…は」
「話は以上だ。そのことで、ほかに伝えたいことがある。
騎士団長はあとで私の部屋に来るように」
そう告げて王は背を向けると、ゆっくりと謁見の間を後にする。
跪いたまま、ギュレストはかすかに表情を曇らせた。
城の最奥、そこに国王の居室はある。
大きな両開きの扉は銀の装飾を施された立派なものだ。
「陛下。ギュレストです」
コン、と扉をノックして声をかけると程なく扉が中から開いた。
あの国王が姿を見せたが、その表情はあの氷のような冷たいものとはまるで違う。
柔らかな微笑を讃えたそれは、どこか悪戯めいている。
「いらっしゃい、ギュレスト」
「陛下。私に御用とは」
「そんなの言い訳だってわかっているだろう?
入って。ギュレスト」
気安い口調でギュレストを室内に招いた王に、ギュレストは一瞬逡巡した後に室内に足を踏み入れた。
扉を背後で閉めると、国王はテーブルの上に置いたグラスを手に取る。
「今日の褒美だよ。なにが飲みたい?」
「王。王の前でそのようなことは」
「…ギュレスト。その呼び方は今はいいだろう?」
少し拗ねたような声で国王がギュレストを軽く睨む。
「昔みたいに呼んでくれ。ギュレスト」
そう甘えられれば、ギュレストも強くは突き放せなかった。
苦々しい顔をして、ギュレストは降参したように口を開く。
「…セレス」
「うん。ギュレスト。それがいい」
今となってはギュレストしか呼ばない名を口にすれば、国王──セレスが嬉しそうに顔を綻ばせた。
「セレス。王がこういったことは良くないぞ。
誰かを贔屓することは」
「兄を兄と扱って、なにが悪いんだい?」
「…俺がお前の兄だということなど、今となっては一部のものしか知らぬ」
「それでもギュレストは私の唯一の肉親だ」
不本意そうに、セレスはギュレストを見つめて言う。
普段あまり感情をあらわにしない人形のようなセレスが、素直な感情をあらわにするのはいつだってギュレストの前でだった。
ギュレストの前では年相応の若者のように振る舞う、その姿に優越感を抱かないと言ったら嘘になる。
「ギュレスト。久しぶりに一緒に飲もうよ。
一人で飲んでも寂しい」
「…だが」
「ギュレストは、私と飲むのは嫌?」
「…お前は狡い」
懇願するように見つめられ、ギュレストははあ、と深くため息を吐いた。
テーブルに歩み寄ると椅子を引いて腰掛けたギュレストに、満足そうに笑うとセレスはグラスにテーブルの上に置いたワインの瓶の中身を注ぐ。
自分のグラスにも注いで、同じように腰掛けた。
「乾杯」
「…ああ」
「それで、ギュレストはどう思う?
隣国の様子。
直に見ているのはギュレストだろう?
私は戦場には出られないから」
「王を戦場に出したらいよいよおしまいだ。
…そうだな。
戦争の可能性、というのは外れていないと思う。
我が国の領土に踏み入る回数が日に日に増えているし、竜騎士団を見ても逃げない。
むしろ我が国の騎士団の戦い振りを、強さを確認しているようだ」
「やはりそうか…」
グラスを手に、セレスは深いため息を吐く。
予想に違わぬことに、その氷のような美貌が憂いを帯びた。
「我が国は竜騎士団の強さは世界一と言っていい。
だが地上の守りは頑健ではない。
地上から攻められればひとたまりもないだろう」
「どうする気だ?」
「…様子を見るしかない。
ほかの信用出来る同盟国の力を借りられるよう、書状を出しておこう」
はあ、とため息を吐いたセレスはふとギュレストの案じるような視線に気づいて少し笑んだ。
「すまないね。王の私がこんなに頼りなくて。
亡き父上のような立派な王であればよかったのに」
「…お前はよくやっている。
地上の守りの問題は父上の代からの課題だった。
お前の責任ではない」
「…ありがとう。ギュレスト」
慰めにもならない気休めの言葉であっても、セレスを笑わせることは出来る。
ほかの者ならばこうはいかないだろう。
自分だけの特権なのだと、胸を熱くする衝動がある。
それを誤魔化すようにギュレストは立ち上がった。
「…では、夜にもう一度見回りに行ってくる。
お前は休んでいろ」
「ギュレスト、もう行くの?」
「王の部屋に、家臣が長居するものではない」
背を向けて扉に向かったギュレストは、不意に背中に触れた温もりに呼吸を止める。
背後から、きつく背中に抱きつくのはセレスだ。
「…私は、ギュレストにここにいて欲しい」
「セレス」
「…不安だと言ったら、ギュレストはここにいてくれる?
幼い頃は、ずっと一緒だったじゃないか」
「…だが」
ぎゅう、とセレスの白い手がギュレストの服に縋り付く。
その、剣すら握ったことがないような白く、柔らかな手。
その手に、躊躇って、そっと自分の手を重ねた。
それだけでギュレストの肩に顔を埋めたセレスが安堵の息を吐く。
「…私のそばにいて。ギュレスト。
ギュレストがいれば、…私は怖くない」
「………少しの間だけだ」
そっと、その手を握り返す。白く細いその指に指を絡めて。
その温もりを突き放す術など、知らなかった。
ギュレストは、国王の嫡男だった。
だが母親が庶子の出の側室であったが故に、王子とは認められなかった。
セレスはギュレストと同じ年に生まれた正室の王妃の子で、紛れもなくギュレストの異母弟だ。
ギュレストが騎士団長となってからは、ふたりきりの場でしかその名を呼ぶこともなくなった。
もう国王もその王妃も亡い。表向きは、セレスが唯一のこの国の王族だ。
セレスの立場は孤独だろう。だが、それに焼け付く想いを抱く、そんなギュレストの思いもセレスは知らないに違いない。
「…ん」
気づいたらベッドの上、自身の下に組み敷かれたセレスが新雪のような肌をあらわにして、ギュレストの愛撫に身を震わせている。
その足を掴んで大きく開かせ、腰を押し付ける。
「…感じるか、セレス」
「…あ」
「いやらしいな。兄に抱かれて、気持ちが良いか」
「ぎゅ、れ」
喉の奥で笑った。その涙に濡れた瞳に口づけて、その喉に手を伸ばす。
瞬間、視界が切り替わった。
気づいたらギュレストの身体は天蓋付きの大きなベッドの上にあって、その隣でセレスが無防備に寝息を立てている。
その無垢な寝顔を見つめて、心臓の音が徐々に速くなった。
「…俺は」
ベッドの上に起き上がって、頭を手で押さえる。
また、あの夢だ。セレスを、弟を凌辱する夢。
そんな夢を、成人した頃から何度も繰り返し見るようになった。
自分は、弟に欲情している。劣情を抱いている。
そう、嫌でも直視せざるを得なかった。
「…ん」
かすかな声が漏れて、視線をベッドの上で眠るセレスに向ける。
あどけない寝顔は、成人した男のものとは思えない。
戦場も、剣の重さも、人を斬った感触も、なにも知らない、無垢で穢れない弟。
それを表すように身に纏った、その装束は純白で黒衣を纏うギュレストとはなにもかも正反対に見える。
なにもかも似ていない、綺麗なばかりの弟。
「…お前は、なにも知らないのだ」
そう零す。
こんな風に自分と同じベッドで眠って、警戒もせずに。
「…お前は、無垢すぎる。…なにも、知らなすぎる」
身を寄せると、ぎし、とかすかにベッドが軋んだ。
その顔の横に手を突く。
そうして、その首に手を伸ばした。夢の続きのように。
その白い喉に、指を這わせる。
かすかに込めた力、その形の良い眉がわずかに苦しげに寄った。
なにも知らない、無垢で穢れない弟。
なにも知らない。
自分がお前を犯す夢を見ていることも。劣情を抱いていることも。
「…いっそ、お前さえいなければ」
この胸に黒煙のように燻った、殺意すら知らない、無垢な弟。
ずっと見ていた。
愛しくて恋しくて、ずっとお前を見ていた。
愛しくて恋しくて、憎らしくて、──ずっとお前を見ていた。
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