【完結保証】超能力者学園の転入生は生徒会長を溺愛する

兔世夜美(トヨヤミ)

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第二章 鬼様に果たし状

第三話 自己紹介

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「結局行ったらしいな」
 時波の言葉に、「らしいなあ」と暢気な声が返事をした。
 NOA高等部寮、最上階の一室。
 その部屋の主は浴室にいる。
 曇りガラスの壁の中に湯船の置かれた、不透明な浴室。
 その外側のガラスの壁にもたれて、時波は腕を組む。
「ま、所詮新参者やけん、まだまだここの常識に疎いぜよ」
 浴室の壁に面した部屋は脱衣所を兼ねて、ソファやマッサージ機具が置いてある。
 マッサージチェアの一つに腰掛けて、九生は片手に何かの携帯ゲーム機を持っている。
 さっき、「あ、負けた」という呟きが聞こえたので、ゲームで負けたから会話に参加してきたらしい。
「型破りに見えたけん、実際は流儀《ルール》に従う有り触れたヤツってことじゃろ」
「そうとも限らないと思うが」
「ん?」
 時波は腕を組んだまま、若干遠い目をする。浴室から響く、シャワーの音。
「あれは、ルールに従うタイプではなく、白倉の言葉を鵜呑みにするタイプだろうな。
 白倉は自分に嘘を吐かないというか、好きだから言葉を額面から信じるというか…」
「あー、そっちか…」
 九生も、「確かに」と納得する。
「それに臨機応変さは備わっていると思う。だから、状況を処理しきってしまえば、怖いだろう」
「…やっかいな獲物に手を出したの、あいつ」
「白倉以外に加減はしないだろうしな。あいつのランクでは本来手に負えない」
 時波も九生も、吾妻に送られた果たし状の「送り主」を知っているそぶりの口調だ。
 浴室の人物は、これといった反応を見せない。彼も知っているからだ。
「割とNOAは無法地帯やけん、荒事も歓迎したいとこじゃが、吾妻レベルは遠慮被りたいの」
「向かってきたら全力で迎え撃つつもりな癖に」
「お前さんもじゃろ」
 軽口の応酬をする二人の意識が余所に動いた。浴室の扉が開いた音がしたからだ。
「まあ、俺と吾妻が週番なのもあるだろう。
 相手が戦える状況下以外では、ケンカを売らないのは暗黙の了解だ」
 浴室からタオルを肩に掛け、濡れた髪で、上半身裸、下半身にショートパンツを身につけただけの白倉が顔を覗かせた。
 ここは白倉の部屋だ。
「そうそうそこじゃ。
 俺らが危惧しとんのは、お前さんが巻き込まれないかっちゅうことじゃ」
「それ以外は吾妻がどうなろうが知ったことではないしな」
「…お前ら………」
 白倉は微かに呆れて、息を吐く。
「でも、実際になにか吾妻に起きたら、なんだかんだで助けてやるんじゃないの?」
「は?」
「特に九生は」
 軽い意地悪を含んだ笑みを向けられ、九生は「なんで俺」という顔をする。
「えー? 案外気に入ったように見えたけどなー。吾妻のことー」
「俺もそう思う」
「時波まで…ひどいぜよ」
 二人に楽しそうに(時波は無表情に)冷やかされ、九生は困ったように頭を掻く。
「そこそこ気に入ったってだけじゃ。そんな擁護してやるほどじゃねぇな」
「入れ知恵とか」
「そんくらいなら、気が向いたらしてやるかもしれん」
 九生は最終的には笑って認める。この三人のみの時は、お互い隠すことがない。
「岩永達は静観する気なんだろう?」
「多分な。聞いて確認したわけじゃない」
 時波の質問に、白倉が答える。
「ただ、夕はともかく、嵐は面白がってる気がする」
「あいつはな」
「じゃ、気が向いたら教えてやるか」
 九生はマッサージチェアの手すりに手を突いて立ち上がり、ゲーム機の電源を切る。
「自分で気づきそうな気もするが?」
 時波は他人事として呟く。
「勘は聡いみたいだしなぁ……。
 気づくんじゃない?」
「NOAの『超能力使用禁止』はあくまで定型校則で、決定的瞬間を教師に見破られなければ使用も可。だましも可。
 それを教師も知ってて、そのうえで見つからないように裏をかけ、ってのが本当の校則って話はな」
 九生はゲーム機をマッサージチェアの上に置き、両手を頭の上で組んで、背伸びをした。眠そうに。



 翌日、昼休みに図書室を訪れた吾妻は、角の席に見知った姿を発見して近寄った。
「岩永」
 傍に立って呼ぶと、気づかなかったのだろう。岩永が顔を上げた。
 テーブルの上には数冊の本と、ノートにペンケース。宿題だろうか。
 一組には特に宿題は出ていないが。
 その顔に違和感を覚えた。
「吾妻」
 自分を見上げた岩永の顔には、見慣れない眼鏡。
「どないしたん? 珍しい」
「…いや、ちょっと人捜し?」
「はあ」
 吾妻は適当に答えると、岩永の前に積まれた本を手に取る。
「宿題なんか出てた?」
 本の表紙を見るが、すぐにわからなかった。
 日本語じゃない本だ。
「…イタリア語?」
「うん」
「読めるの?」
「完全やないよ。やから書取で勉強中」
「へ――――………」
 感心を通り越し、ちょっと引いた。そんなの高校生が身につけてどうする。
「NOAは海外にも支部があるからな。将来の職、考えたらやっぱこの力使うた仕事がええし」
「…ふうん」
 それを聞けば、少しは納得できる。岩永は真面目で堅実な性格だというのは吾妻もわかってきた。
「ていうか目、悪かったんだ」
「うん。普段コンタクト。今さっき、トレーニングルームにおって、落としてしもたから」
「ああ」
 そういえば、岩永に聞きたいことがあったような。
 なんだったか。
「そういや、吾妻、結局行ったんやな」
「へ?」
「礼拝堂」
「……」
 不意打ちで指摘され、吾妻は思考が一瞬混乱した。
 すぐ静まったが、おかげで今考えていた「聞きたいこと」が完全にわからなくなる。
「ああ、だけど、ああそうだ…」
 吾妻は鞄からハサミを取りだして、テーブルに置いて見せる。
「これ、呼び出したヤツが」
「これは、購買で売っとるヤツやな。
 それだけやとなんの証拠にもならんやろ。顔は?」
「見てない」
 岩永は「ふーん」と呟く。目が疲れたのか眼鏡を外した。
「ハサミ?」
 背後から急に声がして、吾妻はびっくりする。
 背後から覗き込んでいるのは、あの夕の従兄弟だった。
「ああ、御園」
 岩永が眼鏡をかけ直さないまま挨拶する。
「よう。なにしとん? 勉強か」
 岩永とは付き合いが深いらしく、優衣という男はすぐにそこまで理解した。
 それから、自分から距離を取った吾妻を見て、傷付いた顔をする。
「ひどいなあ、そこまでびびらんかて」
「お前、あんま人のこと言えへんけどな」
「俺は胡散臭いだけや」
「えばることか?」
 岩永と優衣の馴染んだやりとりに、吾妻は「そんな悪いヤツじゃないかも」と思い、少し近寄った。
 少なくとも、岩永は信用しているみたいだし。
「…そのハサミ、」
 不意に優衣がテーブル上のハサミを見て微かに目を見張った。
「ああ、吾妻が、昨日礼拝堂で会ったやつの落とし物とか」
「…あー、あの果たし状」
 いかにも、「そんなんあったな」と頷く動作。
 しかし、それに僅かに「虚偽」が混ざったような感触を受けた。
「これ、あんた知ってるの?」
「は? いや、購買のハサミやろ?」
 唐突に問われて、優衣はびっくり顔だ。
 優衣の心を探ろうと力を使うが、彼の心に礼拝堂の映像は出てこない。
 その場に結びつきの強いアイテムが出てくれば、心に浮かんでくる可能性が高いが、優衣の心に浮かぶのは今いる図書室の映像と、購買の映像だ。
「…なんでもない」
「そうか? ならええけど」
 なんだか知らないが張りつめた空気の吾妻と対面して、優衣は少し気が張ってしまったのか、気を抜くような声を出した。
 その一瞬、優衣の心に浮かんだ映像が引っかかった気がしたが、優衣に伸ばした力を引っ込めたところだったので、完全な形になる前に見えなくなってしまった。
 心を読む力は、電波と端末に近い。
 読もうと思った相手の精神が「電波」で、それを受け取る「端末」が自分だ。
 完全に「端末」に読み込む前に通信を遮断してしまえば、わからなくなる。
 丁度そんな感じだった。
 今、もう一度読もうと力を使っても無理だろう。
「…そういえば、御園はなんでここ……」
 岩永がこの空気を緩和しようと口にした時、高い棚の並ぶ方で声がした。
 横に何列も並んだ棚の一つが傾いだところだった。誰かが派手にぶつかったかしたのだろう。
「岩永、これ貸して!」
「どうぞ」
 そのままドミノ倒しになりそうな状態。優衣は視線をそちらに向けたまま、岩永のペンケースからボールペンとシャーペンを一本ずつ拾うと、傾いだ棚の足下に投げつけた。
 それだけで、倒れる寸前の棚が止まった。
 映像の一時停止のように、傾いた状態で静止した。
 棚から落下途中の本も、空中で静止している。
 視線で追うと、ボールペンとシャーペンは、棚の影の上に突き刺さったように立っていた。支えもなく。
 床に突き刺さってもいないのに。
「お見事」
 岩永がぱちぱちと拍手する。
「いや、向こうの端っこの本がいくつか落ちた」
 完全には間に合わなかったか、と優衣は呟く。
 人がいなかったのが幸いだ、と。
「ところで、なにそこぼーっとしとんの?」
「は?」
 優衣に唐突に話を振られ、吾妻は驚いた。
「お前、週番やろ?」
「そうだけど…」
「なら、これの報告。職員室」
「え」
「そういうんも、週番の仕事やで?」
 ガンバレや、と優衣は笑顔で手を振る。白倉はいない。
 吾妻はため息を吐いて、歩き出した。背中に、
「あ、俺が力使うたけど『防衛措置』ってちゃんと伝達してな!」
「はいはい……」
 吾妻は投げやりに答える。
 遠ざかる背中を見送って、優衣は岩永と顔を見合わせて笑った。
「あ……」
 優衣は、岩永の手元にあるペンケースの中から、紙に包まれたなにかを見つけて目を瞑った。
「まだ持っとったんや」
「…諦め悪くて」
 優衣の言葉に、岩永は切なそうな笑みを浮かべた。
 その白い紙の中身は、変哲のない、お守りだ。



 報告を終えて職員室から出て、吾妻は廊下を歩く。
 考えるのは昨日のこと。
 優衣。彼だと思うのは早計すぎる。
 訛がないのは、どうとでも出来るし、シルエットで掴んだ体格と近い気もする、が。
 大体、超能力が違う。
 彼が扱っていたのは「影」を操る力のようだし、あのハサミを床に埋め込んだ力とは違う。
 が、自分みたいに二つ持っているヤツもいるはずだし。
 思考が迷路になってきた。
「ねえ、そっち、立入禁止区域だよ?」
 考え事をしたままずんずん歩いていたら、急に背後から呼ばれた。
 吾妻はハッとして、周囲を見回す。
 目の前には「立入禁止区域」の立て看板。そこを通り過ぎるところだった。
 薄暗い廊下だ。職員室から随分歩いてきてしまったらしい。
 さっきの声は、と背後を振り返ると、開いた窓枠に腰掛けている男を見つけた。
「よかった。声が聞こえてないのかと思っちゃった」
 にっこり、と気安い笑顔を向ける明るすぎる髪色の男だ。
 橙色、と言ったらいいのか。ペンキを塗りたくったような、明るいそんな色の短い髪。
 軽い感じの声。片手に何か持っているが、吾妻の位置からではよく見えない。
「ごめん。助かった」
「いえいえ気にしないで。
 キミ、転校生の吾妻クンでしょう?
 知らなかったんだよね」
 都合良く解釈してくれる男に、内心「なんも見えてなかっただけだけど」と答えた。
 口にはしない。
「ああ、ありがとう」
「いーえ」
 男はにこにこ笑って、窓枠から降りた。
 片手に持っていたのは、扇子だ。紙と木で出来た妙な柄の扇子。
「僕、本当に有名だね」
「うん。白倉クンのおかげで」
 やっぱり。
「ああ、でも、昨日勝負挑まれたんでしょ? それも噂広まってるよ」
 少し、心臓がざわついたが、そう、とだけ答えた。
 それも、普通知っていておかしくない情報だ。
 その場にいなくても、男の言うとおり噂は簡単に広まる。
「俺も出来たら、戦ってみたいな。まあ、先生たちの采配次第だけど」
「…あんた、何ランク?」
「俺? Aランク」
 吾妻の問いを全く気にせず、男は答える。
 あの男と同じランクだが、この学園内で一番人数の多いランクはAランクだ。
 これだけでは決められない。
「発火能力だって? いいなあ。派手だね」
「あんたは?」
「それは教えられません」
 吾妻は内心「だろうな」と思う。
 普通、教えない。
「あ、でもね、なにか条件付きなら教えてもいいよ」
 その発言に、吾妻の眉が動いた。
 昨日の男の発言と少しだけ重なる。気にしすぎか?
「吾妻クンの――――」
 吾妻は身構えて、男を睨み付けた。
「…好きな女の子のタイプ、ってどんなの?」
 なんで睨まれているのかわからない困惑顔で、彼はそう質問した。
 吾妻は脱力する。
「あ、ごめん。なんか違う質問期待してたの?」
「…べつに」
 あからさまにがっくし来た吾妻を見て、彼は少し気にした様子だ。
 遠くでチャイムの音がした。予鈴だろうが、急がないと五時間目が始まる。
「あー、タイムリミットだ」
「…あんたも早く戻ったら? えーと」
 Aランクは、上位組が一組。下位組が二組だ。彼はどっちだろう。
「あ、そうそう忘れてた。
 俺は流河理人りゅうがりひと。三年一組所属。Aランク最上位。
 よろしくね」
 吾妻の質問の内容を勘違いしたのだろうが、あるいみ正しいことを彼は答えた。
 扇子を開いて、にっこり微笑む。
 扇子の柄は、富士山と鷹と茄子。
「……覚えとく」
「うん、よろしくねー♪」
 扇子でぱたぱた扇ぎながら、とても上機嫌に彼は吾妻を見上げ、笑った。
 さっさと背中を向けて、教室に向かう彼を眺めながら、吾妻も歩き出す。
 ちゃんと参加しないと、白倉に迷惑がかかる。
 不意に、吾妻はすっかり遠くなって、豆粒みたいな流河の背中を見遣った。
「…………?」
 彼は噂で聞いたと言った。そして同じクラス。
 なら、真っ先に話題になるのは「白倉にプロポーズ」×2だ。
 なのに、自分に「好みの女の子」と聞くか……?
「……あれは、」
 本当に聞きたかったことなのか?
 あるいは、あの一瞬で、「質問」を差し替えたのか?

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