22 / 364
プロローグ ~ここがBLゲーム世界だと理解するまで~
その人
しおりを挟む
身体はアチコチ痛いけど、気分は上がってるオレ。
そしたら現金なもんで、戻る道でも周りを見る余裕が出て来た。
通りに並んでる色々な店とかを見て、やっぱり町だな~って感心したり。
ぎゅ、ぎゅるるる~。
屋台から流れて来るイイ匂いに、お腹が鳴った。
香ばしく焼いた鶏肉を、小麦粉を薄く伸ばして焼いた生地で包んだ食べ物に目を奪われて、つい立ち止まる。
養育所や、近くの村では見たこともない料理だ。
あ、そう言えばオレ、何にも食べてなかったぞ。
昨日の朝が最後だったかな。
しかも昨夜は殆ど寝てないし。
オレ、よく倒れないで無事なもんだな、凄くない?
食べようかどうしようか、懐具合と腹具合が相談してたら。
「……んん?」
特に何かあったんじゃないけど、オレは何となく振り返った。
別に視線とか感じたワケでもないのに。
でもなんか、見たら、振り返りたくなったのも納得。
「凄い……。」
その人を見たオレは、失礼なんだけど、そう呟いた。
その人は、オレの後ろに立ってた。
フード付きの外套で身体をスッポリ隠してるけど、少しだけ零れてる前髪が、見事な黒色に見える。
黒っぽい髪でもかなり珍しいのに、真っ黒な髪の人なんて聞いたことない。
身長はオレより頭半分くらい……オレだって別に低くないんだけど……高くて。
あれ……? この人、目が……。
……嘘っ。目、が…。
……目に、シルシ、があぁ~~~っ!
その人の瞳に浮かんでる紋様を見て、凄くビックリした次の瞬間。
オレは、それが誰なのかが分かった。
この世界が、ゲームと同じ世界だっていうことも。
今のオレが、廃人プレイヤーの転生だっていうことも。
ハーレムワンダーパラダイス。
主人公がハーレムを作ってライバルと競う、ハーレム作りゲーム。
登場するキャラが全員男だから、一応『BL』ってジャンルになってるけど。
ハーレムだから対象者が沢山いすぎで、美形キャラの大安売りなんだよな。
ハーレムを作って稼いだポイントで争うってトコや。
ライバルとの勝負に勝ったら、別なとこでまた違うライバルと勝負するってトコとか。
ゲームのストーリー的なものがどうでも良過ぎるトコも。
下らなすぎって、一部のユーザーに評判で。
このゲームじゃ「BLのBは、バカのB」ってことになってた。
あぁそう言えば、エンドレスモード、なんてバカモードもあったっけ。
もうちょっとゲームの話もしときたいけど、それより今は、オレの後ろに立ってた人のことだ。
ハーレムを築く権利があるのは、身体のどこかに、シルシって呼ばれる紋様がある人だけ。
普通は手の平か、手の甲、足首辺りっていう……身体の先の方にあるのに。
この人は、そのシルシが瞳の中にあるんだ。
この特徴を持ってるのは、ゲームでは主人公だけ。
つまり、この人はゲーム主人公!
デフォルトネームが『ヒーロー』の人だ!
うわ~、ヒーローを間近で見てるよ、オレ。
せっかくだから、ちょっとだけ話し掛けてみよっかな。
「あの……並んでます?」
よしっ。自然だ。
一般人の話し掛け方としては上出来、上出来。
「あ、ぅううん。見てただけ、だから。」
その人は、ヒーローにしては意外なくらい、普っ通~な声で。
それだけ言ったら、そそくさと去って行った。
その退場の仕方、風の如し。
あ~、これ……何のフラグも立ってないな。
もしかして、オレってハーレム要員じゃ……ない?
そしたら現金なもんで、戻る道でも周りを見る余裕が出て来た。
通りに並んでる色々な店とかを見て、やっぱり町だな~って感心したり。
ぎゅ、ぎゅるるる~。
屋台から流れて来るイイ匂いに、お腹が鳴った。
香ばしく焼いた鶏肉を、小麦粉を薄く伸ばして焼いた生地で包んだ食べ物に目を奪われて、つい立ち止まる。
養育所や、近くの村では見たこともない料理だ。
あ、そう言えばオレ、何にも食べてなかったぞ。
昨日の朝が最後だったかな。
しかも昨夜は殆ど寝てないし。
オレ、よく倒れないで無事なもんだな、凄くない?
食べようかどうしようか、懐具合と腹具合が相談してたら。
「……んん?」
特に何かあったんじゃないけど、オレは何となく振り返った。
別に視線とか感じたワケでもないのに。
でもなんか、見たら、振り返りたくなったのも納得。
「凄い……。」
その人を見たオレは、失礼なんだけど、そう呟いた。
その人は、オレの後ろに立ってた。
フード付きの外套で身体をスッポリ隠してるけど、少しだけ零れてる前髪が、見事な黒色に見える。
黒っぽい髪でもかなり珍しいのに、真っ黒な髪の人なんて聞いたことない。
身長はオレより頭半分くらい……オレだって別に低くないんだけど……高くて。
あれ……? この人、目が……。
……嘘っ。目、が…。
……目に、シルシ、があぁ~~~っ!
その人の瞳に浮かんでる紋様を見て、凄くビックリした次の瞬間。
オレは、それが誰なのかが分かった。
この世界が、ゲームと同じ世界だっていうことも。
今のオレが、廃人プレイヤーの転生だっていうことも。
ハーレムワンダーパラダイス。
主人公がハーレムを作ってライバルと競う、ハーレム作りゲーム。
登場するキャラが全員男だから、一応『BL』ってジャンルになってるけど。
ハーレムだから対象者が沢山いすぎで、美形キャラの大安売りなんだよな。
ハーレムを作って稼いだポイントで争うってトコや。
ライバルとの勝負に勝ったら、別なとこでまた違うライバルと勝負するってトコとか。
ゲームのストーリー的なものがどうでも良過ぎるトコも。
下らなすぎって、一部のユーザーに評判で。
このゲームじゃ「BLのBは、バカのB」ってことになってた。
あぁそう言えば、エンドレスモード、なんてバカモードもあったっけ。
もうちょっとゲームの話もしときたいけど、それより今は、オレの後ろに立ってた人のことだ。
ハーレムを築く権利があるのは、身体のどこかに、シルシって呼ばれる紋様がある人だけ。
普通は手の平か、手の甲、足首辺りっていう……身体の先の方にあるのに。
この人は、そのシルシが瞳の中にあるんだ。
この特徴を持ってるのは、ゲームでは主人公だけ。
つまり、この人はゲーム主人公!
デフォルトネームが『ヒーロー』の人だ!
うわ~、ヒーローを間近で見てるよ、オレ。
せっかくだから、ちょっとだけ話し掛けてみよっかな。
「あの……並んでます?」
よしっ。自然だ。
一般人の話し掛け方としては上出来、上出来。
「あ、ぅううん。見てただけ、だから。」
その人は、ヒーローにしては意外なくらい、普っ通~な声で。
それだけ言ったら、そそくさと去って行った。
その退場の仕方、風の如し。
あ~、これ……何のフラグも立ってないな。
もしかして、オレってハーレム要員じゃ……ない?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
633
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる