せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第三章 ~改めてゲームを見守ろうとしてから自分の名前を思い出すまで~

シリアスな焦りとマヌケな焦り

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太腿辺りを血に染めたリオを担ぎ上げる。
リオが倒れてた場所には小さな血溜まりが出来てた。


「ルベロさん!」

オレは果物屋を振り返る。
ルベロさんは、突然の出来事に固まっちゃってたようだ。

「病院と教会と、どっちに行ったらいいっ?」
「こっからだと、病院の方が近いが……。お前、場所分かるか?」
「分かんない!」
「あーもうっ、一緒に行ってやる!」

勢い良く答えたオレに、ルベロさんが駆け寄って来る。

「ネモーリっ! ちょっと病院まで行って来る、後は任せた! ……おい、コッチだ。」



足早に行くルベロさんの後を追う。

「リオっ、大丈夫だ。病院に連れてくからなっ。」

このままリオが意識を失ったら、取り返しが付かなくなりそうで。
怖くなって、オレは必死でリオに声を掛けた。


「お、れ……。死ぬ、か、な……?」
「バカっ! そんなわけ無いだろ!」
「い、痛い……。アツ、い……のに、寒い…痛い……もぉヤダ…」
「痛いのは生きてる証拠だからっ!」

抱えてるリオが苦し気に息を洩らす。
顔色がどんどん青褪めてく。
心なしか体温も下がってるようだ。

最悪の結果がオレの頭をよぎる。焦る。急がなきゃ。


リオ……死なないでくれ、リオ。
オレと友達に、なった、ばっかりだろ……!





挫けそうな自分とリオを励ましながら、やっと病院に着いた。
ルベロさんが病院の人を呼んでくれたり、色々してくれて。

ルベロさんが一緒に来てくれて良かった。


病院の看護師さんがリオのズボンを脱がせたら、腰の方までベッタリ血塗れだった。
思ってたよりも出血が酷くて、オレは見てるだけで眩暈がした。
独特の鉄臭い臭いが辺りに充満したみたいだ。

「リオ……。もう、大丈夫だから……な?」
「なぁ。……手…」

震えるリオが差し出した青白い手を、ギュッて握った。
ホッとしたように、ちょっとだけリオの表情が緩む。

「大丈夫、だ。……ここにいるから。」
「あ……あぁ、うん。」

オレはリオにも自分にも言い聞かせるように、それから何度も、大丈夫って言葉を繰り返す。
看護師さんが、止血をしたり手当てしてる間中。ずっとそうしてた。




他にも怪我人が運ばれて来たのか、急に病院内の雰囲気が慌ただしくなった。
リオに対処してくれてる看護師さんも、他の人に呼ばれる。

「ちょっと済みません。しばらくお待ちください。」
「あのっ……リオは!」
「一先ずは大丈夫です。済みませんが、重傷の方々が運ばれて来たそうで……失礼します。」

看護師さんが席を外すんだから、リオの治療はとりあえず終わったんだろうって。分かるけどさ。
リオの手はまだ冷たいんだ。血が沢山出たから。
オレは不安になって、リオの手を握り直した。


逆にリオが、オレを勇気付けるように口端を吊り上げる。

「……そんな顔すんなよ。もう大丈夫、なんだろ?」
「あ、あぁ、そうだけど……。」
「アンタさ……。あの時、あんなにカッコ良かったのになぁ? あの後から随分と、情けない顔ばっかり見てるんだけど?」
「それは、だって……。そもそも、そんな格好良い奴じゃないから、オレ。」
「ふぅ~ん?」

オレが元気出るように、リオはたぶん、わざと揶揄ってる。

襲われたショックとか傷の痛みとか、出血で具合も悪いハズなのに。
リッカに似た綺麗な顔だけじゃなくて、中身もイケメンだ。


「昨日だっけ、リンゴ拾ってくれたよな。……覚えてる?」

ビックリした。
まさかリオが、覚えてたなんて。

モブのオレなんか記憶に残ってないだろうって思ったから。
ニイさんに「ソイツの何なんだ」って聞かれたとき、微妙な答え方したのに。


「あの時、アンタの事、カッコいいな~って思ったんだぞ?」
「ひゅ、…えっ?」

もっとビックリして、変な音が出た。


「見るからに? タチっぽいし? イイ身体も、してそうだし?」
「え、え? いやいや、いやいやっ。」

焦る。とにかく焦るって。
いやいや。今までそんな風に言って来る人、いなかったぞ。そもそもオレ、そういうキャラじゃないって。



動揺しまくりなオレを、横たわったリオが面白い物を見る目で笑ってた。

「知り合いたいなって思ったから。友達になれたの、実は凄い嬉しい。」


すっごい焦ったけど……なんだよもう。これ。普通に揶揄われてるじゃないか。
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