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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
シルシがあっても欲しいものは手に入らない・10 $フィロウ$
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* * *
夕方。
ビルメリオを家まで送る馬車で、ボクは黙りがちになってた。
イグゥがビルメリオに何かを頼んだみたい。
鬼教師ぶりが嘘みたいに、はにかむ笑顔を浮かべたビルメリオが了承すると、それを見たイグゥも安心したように微笑む。
ビルメリオは旧帝国語ではあんなに饒舌なのに、共通語では口数が少ない。それでも慣れた感じのイグゥとはちゃんと会話になってるっぽい。
二人の会話は音として聞こえて来るのに、声が言葉としては残らず、ボクの頭を通り過ぎてく。
旧帝国語で書かれた本を読んで貰うだけのハズだったのに、思ってもなかったスパルタ勉強会が始まって。
言葉だけじゃなく、ハーレム法についてまで、ちょっとだけど勉強する羽目になっちゃって。
天守のハーレム作りが義務じゃないって、衝撃的な事実が分かったり。勉強してるのにビルメリオが、旧帝国語でイグゥにストレートに好意を伝えるのを聞いて、満更でも無さそうなイグゥにヤキモキしたりで。
すっかりボクは疲れちゃってて。
外の景色を眺めてる素振りをしながら。目の前で、幼馴染み二人が視線を絡め合ってるのを、ただ見てるしかなかった。
ビルメリオは実に優秀で、厳しくて、意外とイグゥにも容赦無かった。
イグゥが一緒だからかも知れないけど、ボクにも。しっかりキッチリ教えてくれた。
お店でボクは、あんな、強い言い方をしたのに。
ビルメリオは何とも思ってないのかな。
自分はイグゥに何も言えない癖して、イグゥに「好き」ってアピール出来るビルメリオに対抗心を燃やすなんて、ボクは何て滑稽なんだろう。
もうボクには、お店にいる時に感じたような、ビルメリオに対する凶暴性にも似た苛立ちは無い。
同レベルなんかじゃない。……って分かったから、かもね。
…………悪かった、…かな。
チラッとビルメリオを窺ったけど、涼しい顔で内心は分かんない。
こうして見るとビルメリオは、ボクなんかより、ずっと美形だし……可愛い。
身長の所為だけじゃなくて、きっと、性格の問題。ボクなんて、可愛くしようと頑張った所で……媚びてみても効果無いし。
ボンヤリしてる内に到着したみたい。
馬車を降りたビルメリオとイグゥに続いてボクも降りる。
一応、まぁ、お世話になったし? ……ボクに見送られても嬉しくないだろうけど。
「……今日、は……御馳走、さま。」
「あのさ。……この前、言い方キツくて……悪かったね。」
「……うん。」
「べっ、別に謝ってないから。間違ったとは思ってないし。」
「……そう。」
なっ……、も…もうちょっと言い返したらどうなのさ。
あーもうっ、やっぱり言わなきゃ良かったっ。顔を合わせた時ならまだしも、帰るって時に……今更になって何を言ってるの、って感じだもんね。
なんかイグゥも不思議そうな顔で見てるし……もうっ。
顔が赤くなりそうな気がして。居たたまれなくなってボクは馬車に逃げた。
ドアのそば、席に小さくなって座る。
このままイグゥが戻って来るのを待ってよう。
そう思いながらボクは、イグゥが本当に戻って来るのかが心配で、二人の会話に聞き耳を立ててた。
「そっか。フィロウは代わりに怒ってくれたのかも、な?」
そんな風に思ってくれるんだね、イグゥってば。お人好し。
違う……違うよ? そんな気持ちじゃなかったんだよ。
イグゥの言葉に、そうじゃないって否定しながら嬉しく感じてる。
コソコソ盗み聞きしてる、そんなボクに。
神様はちゃんと罰を用意してた。
「フィロウは友達っ……に、なったトコっ。」
ひょっとして恋人かって、有り得ない疑いを持ったビルメリオに。
ハッキリと否定するイグゥ。
「一緒に勉強してても、オレとフィロウはそんな感じじゃなかっただろ?」
そうだね……。
ボクはちょっとは好意を表してるツモリだったけど、ちっとも『そんな感じ』にならないのは。イグゥがボクを全く相手にしてないから……なんだよね。
そんなの分かってたハズなのに、改めて気持ちが沈んでく。
でも神様からの罰は、これだけじゃなかった。
「あ、それから。恋人って話なんだけどな? ……ビリー。実はさ、オレの身体に……天守のシルシが見付かったんだ。」
「え……! イグゥ、……天守、なの?」
「まぁ、天守……だな。ハーレムはまだだけど。それでさ、ビリー。今度…」
イグザが。
イグザ、も……。
天……、守……っ!
ショックだった。
これまでで一番、ショックだった。
タチも妻になれるとか、ハーレム作りは義務じゃないとか。今日、分かった。
だけど、でも……!
天守同士、は……?
そんなの、どう足掻いたって無理じゃない!
万に一つの可能性、どころか……ボクがイグゥを、想ってる事自体。
……邪魔、でしかない。
バタンッ!
「なっ…なに?」
「≪あんまり追い詰めるのはどうかと思ったんだけど、俺だって別に悪魔じゃないから。精一杯頑張ればいいよ。怠けたら貰えないだけ。……覚えといて。≫」
急にドアを開けられた。
ビックリして思わず立ち上がったボクに、ビルメリオが微笑を向ける。
……ボクが何を頑張れって言うの?
恨み言を零しそうになったボクの唇は。だけど何も言えず。
ただ歪な笑みの形に、吊り上がっただけだった。
夕方。
ビルメリオを家まで送る馬車で、ボクは黙りがちになってた。
イグゥがビルメリオに何かを頼んだみたい。
鬼教師ぶりが嘘みたいに、はにかむ笑顔を浮かべたビルメリオが了承すると、それを見たイグゥも安心したように微笑む。
ビルメリオは旧帝国語ではあんなに饒舌なのに、共通語では口数が少ない。それでも慣れた感じのイグゥとはちゃんと会話になってるっぽい。
二人の会話は音として聞こえて来るのに、声が言葉としては残らず、ボクの頭を通り過ぎてく。
旧帝国語で書かれた本を読んで貰うだけのハズだったのに、思ってもなかったスパルタ勉強会が始まって。
言葉だけじゃなく、ハーレム法についてまで、ちょっとだけど勉強する羽目になっちゃって。
天守のハーレム作りが義務じゃないって、衝撃的な事実が分かったり。勉強してるのにビルメリオが、旧帝国語でイグゥにストレートに好意を伝えるのを聞いて、満更でも無さそうなイグゥにヤキモキしたりで。
すっかりボクは疲れちゃってて。
外の景色を眺めてる素振りをしながら。目の前で、幼馴染み二人が視線を絡め合ってるのを、ただ見てるしかなかった。
ビルメリオは実に優秀で、厳しくて、意外とイグゥにも容赦無かった。
イグゥが一緒だからかも知れないけど、ボクにも。しっかりキッチリ教えてくれた。
お店でボクは、あんな、強い言い方をしたのに。
ビルメリオは何とも思ってないのかな。
自分はイグゥに何も言えない癖して、イグゥに「好き」ってアピール出来るビルメリオに対抗心を燃やすなんて、ボクは何て滑稽なんだろう。
もうボクには、お店にいる時に感じたような、ビルメリオに対する凶暴性にも似た苛立ちは無い。
同レベルなんかじゃない。……って分かったから、かもね。
…………悪かった、…かな。
チラッとビルメリオを窺ったけど、涼しい顔で内心は分かんない。
こうして見るとビルメリオは、ボクなんかより、ずっと美形だし……可愛い。
身長の所為だけじゃなくて、きっと、性格の問題。ボクなんて、可愛くしようと頑張った所で……媚びてみても効果無いし。
ボンヤリしてる内に到着したみたい。
馬車を降りたビルメリオとイグゥに続いてボクも降りる。
一応、まぁ、お世話になったし? ……ボクに見送られても嬉しくないだろうけど。
「……今日、は……御馳走、さま。」
「あのさ。……この前、言い方キツくて……悪かったね。」
「……うん。」
「べっ、別に謝ってないから。間違ったとは思ってないし。」
「……そう。」
なっ……、も…もうちょっと言い返したらどうなのさ。
あーもうっ、やっぱり言わなきゃ良かったっ。顔を合わせた時ならまだしも、帰るって時に……今更になって何を言ってるの、って感じだもんね。
なんかイグゥも不思議そうな顔で見てるし……もうっ。
顔が赤くなりそうな気がして。居たたまれなくなってボクは馬車に逃げた。
ドアのそば、席に小さくなって座る。
このままイグゥが戻って来るのを待ってよう。
そう思いながらボクは、イグゥが本当に戻って来るのかが心配で、二人の会話に聞き耳を立ててた。
「そっか。フィロウは代わりに怒ってくれたのかも、な?」
そんな風に思ってくれるんだね、イグゥってば。お人好し。
違う……違うよ? そんな気持ちじゃなかったんだよ。
イグゥの言葉に、そうじゃないって否定しながら嬉しく感じてる。
コソコソ盗み聞きしてる、そんなボクに。
神様はちゃんと罰を用意してた。
「フィロウは友達っ……に、なったトコっ。」
ひょっとして恋人かって、有り得ない疑いを持ったビルメリオに。
ハッキリと否定するイグゥ。
「一緒に勉強してても、オレとフィロウはそんな感じじゃなかっただろ?」
そうだね……。
ボクはちょっとは好意を表してるツモリだったけど、ちっとも『そんな感じ』にならないのは。イグゥがボクを全く相手にしてないから……なんだよね。
そんなの分かってたハズなのに、改めて気持ちが沈んでく。
でも神様からの罰は、これだけじゃなかった。
「あ、それから。恋人って話なんだけどな? ……ビリー。実はさ、オレの身体に……天守のシルシが見付かったんだ。」
「え……! イグゥ、……天守、なの?」
「まぁ、天守……だな。ハーレムはまだだけど。それでさ、ビリー。今度…」
イグザが。
イグザ、も……。
天……、守……っ!
ショックだった。
これまでで一番、ショックだった。
タチも妻になれるとか、ハーレム作りは義務じゃないとか。今日、分かった。
だけど、でも……!
天守同士、は……?
そんなの、どう足掻いたって無理じゃない!
万に一つの可能性、どころか……ボクがイグゥを、想ってる事自体。
……邪魔、でしかない。
バタンッ!
「なっ…なに?」
「≪あんまり追い詰めるのはどうかと思ったんだけど、俺だって別に悪魔じゃないから。精一杯頑張ればいいよ。怠けたら貰えないだけ。……覚えといて。≫」
急にドアを開けられた。
ビックリして思わず立ち上がったボクに、ビルメリオが微笑を向ける。
……ボクが何を頑張れって言うの?
恨み言を零しそうになったボクの唇は。だけど何も言えず。
ただ歪な笑みの形に、吊り上がっただけだった。
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~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
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