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第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~
気持ちが違えば匂いまで違うらしい
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玄関扉が開く音がした。
ルサーが帰って来たんだ。
オレは料理の仕込みをしてた手を止めて、ルサーを出迎える為に廊下へ出る。
「ルサーっ、お帰り~っ。」
「あぁ、ただいま。……いい匂いだな。」
「しっかり煮込んでるからだな。今日はビーフシチューだぞ。」
「そいつァ楽しみだ。」
肉が好きなルサーは嬉しそうに目を細めた。
二階にある自分の部屋へと、着替えに行くルサーの背中を見送って、オレはまた台所へ引っ込んだ。
フタをしてない鍋から、暖かい湯気が立ち昇ってる。
オレが考え事してる間に上手い具合に煮込めたなんて、この世界のお鍋は優秀だぞ。
ルサーが戻って来たんだから、そろそろパンの方も準備しようっと。
それから野菜を酢漬けした物を一口サイズに切って~。
あと、ビーフシチューを掛けて食べれるようスパゲッティも茹でとこうかな。
あぁそうだ。たぶんルサーはいつも通り、軽くシャワーを浴びて来るだろうから、冷たい飲み物……、は冷蔵庫に入ってたっけな。よしっ。
オレは意識的に、ちょっとだけ食事を豪華に。
だけど普段とあんまり変わらないように心掛けながら、手を動かしつつ、ルサーが戻って来るのを待った。
二十分くらい経った頃。
家で寛ぐ用の柔らかいシャツとズボンに着替えたルサーが姿を見せた。
ふわっ……と、ほんの微かに石鹸の香がする。
「ルサー、飲み物、レモン水にする? アイスティーもあるけど?」
「そうだなぁ、レモン水の方にしとくかな。」
ルサーは一旦台所の方に顔を出してから、居間のソファに移動する。
その後ろを、冷たいグラスを持って追い掛けるオレ。
「もう大体は出来てるけど、ちょっと休んでから御飯にしよっか。」
「あぁ……そうだな。」
長ソファに腰掛けたルサーの隣に、身体をくっ付けてオレも腰掛けた。
普段は御飯の前にくっ付くと「メシを食わせねぇツモリか」って叱られるんだけど、今日は言われなかった。
台所にオレ一人でいる分には、普段と変わらないように、って心掛けたけど。
やっぱり普段と、ちょっと違っちゃうのは仕方ないな。
明日は色々な予定があって大事な日だから。
だからこそ普段通りにして落ち着こうとしたけど、結局は落ち着かない。
「いよいよ、明日か……。」
遠足前の子供なんか目じゃないくらい、ソワソワしてるオレ。
姿勢もついつい前のめりになってる。
ルサーはオレの頭を優しくポフポフして。
それから肩同士を、トンって軽く当てた。
明日以降、ハーレムの登録をしたら、ルサーにも色々と苦労させるかも知れない。
だけどルサーはそれを知りながら、こうやって甘えさせてくれてる。
一昨日の夜、家に帰って来てから、ルサーには枝葉の部分を省略して話した。
リオが約二年前、イクシィズのハーレムと関わって借金を背負わされてるって話。
イクシィズのハーレムがが現在は休止状態になってて、実はリッカとユーグはまだイクシィズの『妻扱い』になるから、まだオレのハーレムには入れないって話。
この二つがあるから、オレはこれからイクシィズや、イクシィズの金獅子ハーレムと関わってく、って話。
きっとルサーはもう二度と関わりたくないだろう存在と、オレの判断の所為で関わるかも知れないから。それについて、先に謝って、ルサーに許しを求めた。
それを聞いたルサーはちょっと考えてから、小さく溜息を吐いて、「俺の事で頭に血が昇らねぇよう、ちゃんとイグザが気を付けるなら許す」って、笑ってくれた。
「ルサー。……オレ、凄いドキドキしてる。」
名前を呼んでルサーを引き寄せた。
ルサーの肩口に顔を埋めて、いい感じに鍛えた身体を抱き締めて落ち着く。
「……俺もだ。」
「自分が言い出して急いだクセにさ……。何か見落としてるんじゃないかって、今も凄い心配になってる。」
「イグザが気弱になってンのも珍しいな。……気ィ付けて、それでも見過ごしたなら仕方ねぇ。」
オレの背中を撫でてくれるルサー。
低くて色気のある声が結構、耳の近くで聞こえてる。
「そっか……。そうだな、……うん、そうだ。」
ルサーが言ってくれるだけで単純なオレはあっという間に元気になった。
自分が出来る精一杯に気を付けて、それで気付かない何かがあったら、それはそれで仕方ない。心配する分に神経を使うのは止めて、もし何かがあっても即座に対応出来るようにって、覚悟だけしとこう。
そう考えるよう、気持ちを切り替えたら。
台所の方から良い匂いが漂って来た。
鍋の前に立って煮込んでたときより今の方が、ずっと美味しそうな匂いに感じるんだから、人間の神経って不思議なものだ。
「お腹……空いて来た。」
「そろそろメシにすっか。」
「そうだな、そうしよう。そんで、ご飯の後はルサーが食べたい。」
「……っ、へっ、変な言い方をするな、オヤジかっ。」
調子に乗ったオレ、叱られる。の巻。
でもオレを叱ったルサーは、怒った顔はしてなかった。
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