329 / 364
第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~
オレが天守になった……けど
しおりを挟む* * *
ゆっくりめにティータイムを楽しんでたら、あっという間に午後二時を過ぎて、リッカとユーグは帰って行った。
欲を言えば、教会でハーレムの手続きをするのを二人にも見せたかったんだけど、まだ二人とも妻の登録が出来ないんだから見ても仕方ないか。
午後三時になる少し前に、貸し馬車が届いた。
リオを迎えに行く為の馬車だ。
御者は頼まないで、馬車だけ借りてる。
オレが御者台に上がったら、ルサーも隣に乗って来た。
「ルサー、オレ一人で大丈夫だぞ?」
「分かってるが、よ……。リオを迎えに行ったら、こうやって並んで乗るワケにも行かねぇだろ。だから……。」
行きだけでも一緒に並びたい、って。
可愛いだろ、ルサー、オレの妻、可愛すぎだろ、異論は認めないぞ。
ルサーの可愛さに悶絶しつつ、病院へ馬車を走らせる。
時間帯の所為か、通りの行き交いがそれほど多くなくて助かった。
到着した病院で看護師さんから、くれぐれもリオを走らせないようにって注意を受けて、無事にリオと合流。
腕に掴まらせながら馬車へ誘導するオレに、照れたような感じでリオが笑った。
「馬車で迎えに来てくれるなんて王子様みたいだな、イグゥ。」
「っぶ……ふ、へへっ。」
すっごい気色悪い笑い方しちゃったぞ。
王子様みたいってのは、フィロウみたいな人を指して言う評価だからっ。ちょっと外見の陽キャ感が強めなのを差し引けばビリーも、かな。
オレみたいなモブ・フレーバー満載な王子様って可哀想だろっ。
病院の次に向かうのは、兵士の詰め所だ。
時間休を取ってくれてるカシュと、それに合わせて待機してるビリーを回収しに。
家に来て貰うとか、教会で合流するって話だったんだけど、どうせ馬車を借りるなら一緒に乗ればいいじゃないかって結論になったんだ。
「うっわぁ~、馬車でお迎えっ。なぁんか緊張して来たぁ~。」
「いよいよ…だね……、イグゥ……俺、も……緊張して…る。」
ドキドキ。を体現してる表情のカシュとビリー。
ビリーはカシュを馬車にエスコートする。
ほ~ら、格好良い。サマになってる。
動きがあんまり仰々しくなくてスマートで、差し出した手の安心感も凄い。オレの、力強い頷きとは雲泥の差だ。
オレがいる御者台に来たビリー。
御者役を代わってくれようとしたのを断るオレ。
だってオレも、ちょっとは『出来る面』を見せたかったから。
セコくたって構わない。
妻になる四人が馬車の中で何を話してるのか。
気になりつつ、午後四時ちょい。オレ達は教会に到着した。
あぁ~、本当に、オレもドキドキして来たぞ……。
* * *
天守になる為の手続き自体はスムーズだった。
まずは教会の人に、オレの『シルシ』を見せる。
もちろんアレの裏筋に浮かぶヤツじゃなくて、両瞳に浮かぶ方を。
フィロウから貰ったシルシだけど別にいいよな? 流石にアッチはちょっと……。
見せられる方もきっと苦痛だろうし、お互いの精神衛生上、この方がいいハズ。
シルシが本物かどうかのチェックが終わったら、オレの国民登録を確認される。
これについてはビリーに感謝だ。
ビリーとの会話で養育所を思い出してて良かった。
どこの国・町に登録してるかが分かんないと、名前だけじゃ確認出来なかったから。
確認作業の後、オレが天守として認定されるまでの待ち時間も短かった。
たぶん、天守様の機嫌を損ねないようにだろう。
天守のシルシって証拠がシッカリしてるから、って点も大きそうだ。
サクサクっと天守になったら。
後は妻を登録して、手続きが完了する……予定。
なんだけど……。
妻達の国民登録の確認に時間が掛かってるっぽい。
メチャメチャ待たされてる。
「ふぅぅ……。意外と時間、掛かるんだな。」
緊張の糸がほつれたオレ。
しびれを切らして、つい零した。
「ホント。おっそいねぇ~。」
「……そうだな。人数いるから、それだけ手間が掛かってンだろ。」
「流石に六時は過ぎないよな? おれ、外泊許可貰ってないんだけど。」
皆もいい加減、待ち疲れてるだろう。何となくグッタリしてる感じだ。
ここからは見れない裏の方でどんな手続きがあって、何に時間を取られてるのかが分かんないから、余計に。
ただ待つしかないって状況は、精神的にシンドイ。
椅子から立ち上がったり座ったりを繰り返してたら、ビリーが近寄って来た。
ちょっと表情が暗めだ。
「もしか…して……、俺の所為、かも……。」
「ビリーの? 何かあるのか?」
「登録、ここじゃ…ない、から……。」
「同じ国内だろう? 気にしなくていいぞ、ビリー。」
ションボリしてるビリーの国民登録は王都だ。
兵士を辞めてから、登録を王都に移して、それっきりだったらしい。
ビリーにも言った通り、同じ国内なんだから、大きな手間が掛かるとは思えない。
それを言うなら、オレの国民登録はリスタニア国だ。国内ですらないのに、オレの確認は早かったじゃないか。
単純に、この町では久々の手続きだから手間取ってるだけじゃないかって思う。
リオが病院に帰らなきゃいけない門限があるから、出来れば早くして欲しい……って考えちゃうのはオレ、苛立つ一歩手前だな。気を付けよう。
かなり待たされて。手続きをしてくれてたシスターがようやく姿を現した。
困った顔で走って来る姿を見て、オレは何となく嫌な予感。
「あ、あの……済みませんが……。」
シスターの第一声を聞いて、更に嫌な予感がした。
0
あなたにおすすめの小説
泥酔している間に愛人契約されていたんだが
暮田呉子
BL
泥酔していた夜、目を覚ましたら――【愛人契約書】にサインしていた。
黒髪の青年公爵レナード・フォン・ディアセント。
かつて嫡外子として疎まれ、戦場に送られた彼は、己の命を救った傭兵グレイを「女避けの盾」として雇う。
だが、片腕を失ったその男こそ、レナードの心を動かした唯一の存在だった。
元部下の冷徹な公爵と、酒に溺れる片腕の傭兵。
交わした契約の中で、二人の距離は少しずつ近づいていくが――。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる