せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~

貸し借りの清算は早い方がいい

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部屋に入って来たフィロウはソファに座らずに、メリクルのそばに立った。
メリクルがソファに腰掛けた姿勢な所為もあって、ジッと見詰め合うフィロウとの目線の高低差が凄い。

あ、見つめ合うって言っても恋愛的な感じじゃないからな。
たぶんだけど。


「ゴメンなさい、聞こえちゃったもんだから。ところで、今の話だけど……、イグゥへのご褒美じゃなくて、ボクへのって事に出来ない?」
「はァ? お前への褒美?」
「ご褒美って言い方が嫌なら、借りの清算って考えてよ。ボク、助けたよね?」
「ぐっ……。」

見上げるメリクルの、ちょっと仰け反った首で咽喉仏が上下した。低めだけどあんまり太くない硬めな声で、メリクルはちょっと悔しそうに呻く。
フィロウは微笑みながら、メリクルが座ってるソファの肘掛けに手を付いた。
グッと二人の距離が近付いて、オレ一人が無駄にドキドキする。


だってぇ~。あ~、オレさぁ~。
日本人だった時代に隠れゲイの腐男子やってたじゃん。
目の前でさ、いかにも攻め様なメリクルと、どっちでも出来そうな王子様フェイスのフィロウとの絡みだぞ? 絵的には最高じゃないか。
ついついドキドキしちゃうだろ。
二人の遣り取りに参加もせず、黙って見守っちゃうのも仕方ないだろ。
BL妄想するのも久し振りだから尚更だぞ。せっかくBLゲームの世界に転生したんだからBLカップルを眺めたい、なぁ~んて考えてたのが遥か昔のように感じるくらいだぞ。

素直に考えるならメリクルの執着攻め、フィロウの高貴受けだ。
いやしかし、でも。意外な感じで、メリクルの強気受けってのも悪くな……おっと、ゲフンゲフン。
今のはメリクルには内緒にしといてくれ。


「詳しい事情は分からないよ。でもメリクルさんにはボク、貸しヒトツ、でしょ?」
「ん~、まぁ……否定はしづらいわな。」
「貸し借りはなるべく早い内に綺麗にした方がいいと思うんだよね、お互いにね。ボクも長々と貸しを抱え込むのは嫌だし。今回イグゥの頼みを聞くって事で、ボクとの貸し借りをチャラにするのがいいと思うんだけど……どうかなぁ?」
「……はッ、なるほど。そ~クルか。けど、よ……それでいいのか? お前にメリット、無いだろが。」
「え? メリットはあるよ? ボクがイグゥの役に立てるのが嬉しいし、それでイグゥから可愛いって思って貰えたらもっと嬉しいもん。……ねっ? イグゥ?」

パチパチッて瞬きをした後、フィロウはオレを振り返った。
悪戯っぽいような、恥じらうような、とにかく可愛い感じで視線を寄越されて、意味も無くデレデレするオレ。


あぁ~、確かにそうだな。
イクシィズに繋ぎを取るのを、オレの頼み事じゃなくてフィロウとの……にして貰えれば、オレはまた別な機会にメリクルに頼み事が出来るワケだ。
だからフィロウの提案は実に有難い。凄いお得だ。

それにしても、フィロウ……。
可愛いって思われたら嬉しい、とか。そんな、意地らしい。
こんなん、可愛いだろ。何をどう言おうが絶対、可愛い。ホント、可愛い。


「イグゥの役に、か。……やれやれ、健気なこった。」
「じゃあ、了承してくれるって事でいいんだよね? 良かった、ありがとっ。」
「ありがとう、メリクル。フィロウも。助かったぞ。」

肩を竦めたメリクルは若干、苦笑い気味だ。
パアァッと顔を輝かせるフィロウ。
目的を果たせる方向で話が纏まってくれたから、オレもホッとする。

ホッとしてから、ハッと気付いた。


オレ、さ……。今日、全然、役に立ってないぞ!
教会からずっと、フィロウに頼りっ放しだ!
うわぁ~、振り返って考えるまでもなく、今日はオレ、ダメダメだ。
オレの役に立った、ってフィロウが喜んでくれてるからマシだけど。
……このまま気付かずにいてくれるよう祈っとくか。



オレが神様に馬鹿な祈りを捧げてたら、メリクルがフィロウの腕を押した。
突き飛ばすって感じの乱暴さじゃなくて、遠ざけようって感じで。

「ところで、お前よ……。」
「え、なに?」
「もちょっと離れろ、見下ろすな。圧が凄い。背ぇ高過ぎだろ。二メートルか?」
「そんなに無いよ、百九十九センチだよっ。酷いよっ。」
「ええっ、メリクル、それ、今更だろう?」

オレは、今更感のあり過ぎるメリクル発言に驚いた。
フィロウの身長がオレやメリクルよりも明らかに高いってのは、とっくのとうに分かり切ってると思ってたから。
ただ……驚き過ぎた所為で、つい反射的に言葉を発したのが良くなかったっぽい。

ガビーンってショックを受けたフィロウが口を閉じる。
それから、見る見る内に唇を尖らせてった。


「イグゥも酷いよぉ。背が高過ぎなの、ボク、気にしてるのにぃ……。」
「ゴメン、ゴメン。フィロウ、機嫌直してくれ。スラッとしてて格好良いって意味だから。なっ? フィロウは可愛いって思ってるから。なっ?」
「むぅ~……。」

拗ねちゃって、少しだけモダモダするフィロウの反応に鼻の下を伸ばし……かけて、顔面の筋肉を引き締め直したオレ。
お昼御飯の準備が出来たって、使用人が呼びに来るまで。フィロウの機嫌を取るフリしてイチャ付いた。


メリクルが呆れた目で見てた。
でも文句言って来なかったし、別にいいよな?
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