せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第七章 ~ゲームの強制力に縛られた者、縛られない者~

バグはバグなりに色々あるんでな・1 $メリクル$

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教会での微妙なやり取りの末、俺はやっと自由に身体を動かせるようになった。

小腹が減ったし、どっかで昼メシを食おうって話は出たものの。
結局はどこの店にも行かず、家で食う事にした。
俺は何でも良いっつったのに、エステードやイグゥが気を回しすぎで面倒くさくなったからだ。


道中はエステードに膝枕させて寝た。
てっきりエステードの自宅か、イグゥが住んでる家のどちらかに行くもんだと思ってたら、馬車が停車したのはエステードの実家だ。

初めて来た領主の屋敷は、かなりのデカさだった。
金獅子ハーレムクラスの宮殿は別として、そこら辺のハーレム宮殿よりかはよっぽど立派な造りだ。

独り立ちして家を出た息子の自室を、まだ残してあるぐらいだからな。
部屋数が多くて、普段から余らせてんだろうよ。


客室でイグゥの頼み事を聞いてやり……あぁ、違った。
エステードの弟・フィロウへの借りを返す、って話になったんだった。
俺が戻って来られたのは一応コイツの功績だしな、イグゥへの点数稼ぎに協力してやってもいいか。

イグゥの役に立てたら嬉しい、みたいな事を言ってたな。
可愛いげが無さそうな外見のわりには、随分と意地らしい発言をするもんだ。



まぁともかく。
近い内にイクシィズと話す場をセッティングしてやる事を約束した。


あ~ぁ、メンドくせぇ。
何日か前の俺はなんでイグゥに、ご褒美をやるなんて面倒な約束をしたんだか。
いや、分かってる、分かってんだよ。
あのシス・ティムがイグゥを手助けした、って聞いたからだ。
つい機嫌が良くなっちまって、妙な約束をしたっけか。




俺が知ってるシス・ティムは、ハーレム運営の事しか無い、ハーレムを維持・拡大する為なら天守イクシィズの意向すら置いてけぼりにしかねない、……そんな人物だ。
あぁそれから、俺の事を目の敵にしてる、も付け加えておくか。

大抵いつも仕事中で、遊んでたり休んでたりする姿を見せない。俺が関りさえしなけりゃ、基本的には怒ったり怒鳴ったりもしねぇ奴だ。
黙々と業務をこなす、まさにゲームシステムって感じでな。

だから、シス・ティムがイグゥに……イクシィズ以外の天守に手を貸したって聞いた時、俺は機嫌を良くしたんだ。
シス・ティムが主人公以外の為に働いた。つまりゲームシステムに、ほんの僅かにでも不具合が起こってる。
そう思えたから、俺はホッとしたんだ。


オカシイか? オカシかねぇよ。
そもそも、この世界も。俺の存在自体も。全部がバグみたいなモンだろが。
ゲームの没ネタに溢れた世界、だぞ?
しかも俺は、お蔵入りしたハズのメリクルになってる。
その上、同じ身体に別人が入り込んでるわ、俺の意識は途切れ途切れだわ、自由に身体も動かせねぇわ。
どうにかこうにか、表に出て来られたものの……。
 (※ 第四章の「ちょっとした思い出話 $メリクル$」、「アイツが忘れ去った記憶 $メリクル$」を参照。)
養育所にいた頃からずっと。そこを出た後も、俺の気が休まりはしなかった。

正常なゲーム進行の為に、システムが不具合を修正するかも知れねぇだろ。
そしたら没ネタなんか消されるに決まってんだろ。
運良く消されなくても、元々予定してた設定に寄せられる、とかあるだろ。


だから俺は、世界から期待されてるような役割を放棄する事にした。
誰かを助けてやる、っつ~思考を捨てた。
モラルもまぁ底辺レベルだ。
ネコを食い散らかして、少々乱暴な真似もして、くだらねぇタチ共とつるんだり。

とにかく、お助けキャラから遠ざかるような言動ばかりやった。


その結果、シス・ティムとは犬猿の仲になったけどな。
俺のした事を考えたら、それも仕方ねぇわ。

イクシィズのハーレムに潜り込んで、すぐから。俺が、シス・ティムが持ってんのと同じような権力を使い出したからだ。
……と言っても、奴から奪い取ったんじゃねぇからな。その証拠に、奴の権限は減ってねぇぞ。
あくまでも俺は、やりたい事をやれる許可を、その都度イクシィズに貰っただけだ。
許可だって、いつでも簡単に貰えたワケじゃない。
イクシィズとの交渉は必ず、ヤツの寝室で、対価を払ってだったからな。

ただ俺が気ままに色々とやったり、イクシィズに好き勝手を言ってたのが、結果的にシス・ティムの言葉を覆したり予定を邪魔したり……って事が何度かあったらしい。
あぁ、それじゃ面白くねぇだろうなぁ、シス・ティムは。
俺が来るまで、ハーレムに関する事柄は全て思い通りにしてたんだろうからよ。

それに俺は、来て早々に、無理矢理シス・ティムを抱いてるからなぁ。
悪かったとは今でも思わねぇ。
コッチも必死だったんだ。
昔、俺が強引に『落とした』クソ野郎がまだ、身体の何処かにいるようで。
システムに不具合を起こそうと躍起になってた。

今になって考えりゃ、意外と、手懐けといた方が都合良かったかもなぁ。
……今更、だな。ヤッちまったもんはどうにもならねぇ。
精々、いつまでも恨んでてくれや。


まぁ……そんな風に頑張った割に、たまに俺は、裏側に追いやられてんだけどよ。
あんだけ馬鹿やっててこのザマなら、大人しくお助けキャラやってたら今頃どうなってるか、想像もしたくねぇな。

今は幸い、イクシィズを巧いように利用出来りゃ、表側に戻って来られてる。
何でか知らねぇけど、イクシィズは俺と、俺じゃない奴の見分けがつくらしい。
そんで、何故か俺じゃない方のメリクルは、イクシィズにヤラれるのがどうしても耐えられないようだ。
毎回、俺より先に気絶する。
自分はお助けキャラだっつ~意識が高過ぎる所為だろなぁ。
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