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9・帝国の王宮

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妖夢達が仲良くしている頃、帝国のクソ王子は元婚約者妖夢、兼聖女を取り戻すために動いていた。

「まだ妖夢は見つからんのか!?」

「す、すいません王子。妖夢を国外に連れていった兵士によると道がわからなかったから国境近くで下ろしたということで国内にいる可能性が高いため国内を主に探しています。」

「だめだだめだだめだ!もっと兵士を派遣して国外も探せ!」

「で、ですが……もう王子の兵士はほとんどが探しに出ています。残るは……。」

「しょうがない。この手を使うのは流石にと思っていたが……キジン。」

「はい。なんでしょう?」

サクヤのように瞬間的に現れたこの男はキジン。
王子の専属騎士で国内最強とも言われている。
瞬間的に現れたのは魔法ではなくキジンの身体能力。
この男は太古に滅びた鬼の血を引いておりその先祖返り。
しかしこのことは国王しかしらない。

「お前の精鋭部隊を率いて聖女を探しに国外へ行け。」

「王子?そんなことをすればあなたの警備がいなくなります。」

「王子の命令だぞ?逆らう気なのか?」

「いえ、決してそんなことは。」

「自分の身くらい自分で守れる。早く行け。聖女を連れて帰ってこい。」

「はい。承知しました。」

そうしてキジンはまた何処かへと行った。

「……聖女は私のことを好きなはず。なのになんで国内にいないんだ?」






~帝国国王目線~

さて、この女はどうしようか。
私の目の前には檻を掴み「出して!」と騒いでいるクソ女……またはスライがいた。

「そんなに騒いでも誰も出さないぞ。」

「なんでよ!?私はなんの罪も犯してないわ!」

「……はぁ。お前は王子をたぶらかし自分を聖女有力候補と名乗り本物の聖女を追放した。そして聖女の儀式の時に水晶玉がドス黒く染まった。」

「だ、だから私は王子をたぶらかしてなんか……!」

「そのことが事実じゃなくても水晶玉がドス黒くなった時点で牢獄に入れられるんだ。」

まったく……この説明は何度もしてるんだがな。
さて、この女、普通ならこのままにしようと思っていたがいつも喚いていてとてもうるさいんだが……どうにかして静かにする方法はないものか。

……

そうだ!
あの魔術師に相談しよう。あいつなら何かできるかもしれん。


「というわけなんだが……なんとかできないだろうか?」

「うーん、なんだろうね~。」

このゆったりとした男性は私の友達のステラ。
こんな話し方にも関わらず王国一の魔術師だ。
そんな感じで着いたあだ名が賢者なのだ。

「そいつの名前は~?」

「え?スライだが……。」

「なるほど~。スライね~。」

あ、こいつ何かやばいこと思いついたな……。
ステラの思いつくことはすごい大胆なんだが、今回はどんなことを思い付いたんだ?

「名前がスライならスライムにすればいいるんじゃな~い?」

うおっ!
こいつ想像以上のことを……。

「というか、そんなことできるのか?」

スライムとは丸いくて青くてすけている。
そんなことが可能なのか?

「完全なスライムにはできないけど体全体がスライムみたいな質感になって下半身は溶けてドロドロになるね~。」

なんか気持ち悪そうだな。
(私はなってみたいな~。:うp主)

「なんでそんな詳しいんだ?」

「僕のモルm……ゲフンゲフン。友達が実験に参加してくれたからやってみたんだよ~。」

こいつ……。
騙してここに連れてきてやったな。

「まぁ死にはしないから安心してよ~。」

「そうだな……私も少しみてみたいから頼もうか。」

「じゃあこれをそのスライって人に食べさせて~。食べ物に入れるのもいいし飲ませてもいいよ~。」

ステラから綺麗に透き通った青い液体を渡された。

「分かった。お前も来るのか?」

「そうだね~……。透明化魔法使っていくよ~。」

来るのか……まぁ見つからないからいいか。





翌日。

「早く出して!お願いだから!」

「まったく……いつまで騒いでいるんだ……。」

いつものように叫んでいるスライに呆れる。
って今はそんなことをしてる場合じゃないんだ。
あの液体を飲ませないとな。

「おい、これを飲め。」

私は牢獄の中に昨日もらった液体を投げ込む。
どこからかすごいワクワクした目線を感じる。
きっとあいつがきているのだろう。

「これは?」

「えーっと……。」

『これは栄養剤だよ~っていいなよ~。』

「こ、これは栄養剤だ。食事にも少し飽きてきただろう。」

『ナイスアシストだ。ステラ。』

『どうったったことないよ~。』

私は小声でどこかにいるステラに話す。

「いいの!?」

「騒ぐな。早く飲め。」

そういうと瓶の蓋を開け一気に飲み干す。

「に、にがっ!?」

「え、栄養剤はそんなもんだろう。」

と言った瞬間にスライの体に異変が起こる。
足の方がだんだんとスライムのような色になり溶けていく。

「え!?な、何これ!?」

あちらは驚いているようだ。
それは脚全体に広がり下半身を全て溶かしてしまった。
ここまで約一分。
次は体の方もだんだんと色が変わっていく。
服はそのまま一緒に変色して行く。
そして頭以外全てが綺麗にすけた青色になった。

「だ、だれか助けて……!」

しかしだれも助けるものはいない。
そのうち頭を全て覆い髪までもが青くなった。

「な、なんでこんなことに……。」

スライの声は水の中で話しているようにゴボゴボという感じで鳴っていた。

「これがお前への罰だ。その姿で一生暮らすが良い。」

『ふふ、どうやら成功したみたいだね~。』

『は!?まさか実験はしていなかったのか?』

『そうだよ~。』

まったく……お前ってやつは……。

「お願い……助けて……。」

「無理だな。」

『その姿では檻の隙間も簡単に抜けられるよ~。』

「その姿では檻の隙間も簡単に抜けられる。しかし外でどうなろうと責任は取らない。」

「……。」

スライは放心状態になっていた。
私はというと……仕事のストレスが解消されて少し嬉しかったのである。
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