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なんなのこの人
「君のように自らの力で力強く生きていけるようになりたいんだ」
アクセル様のとんでも発言に、オレは目が飛び出るかと思った。
何言ってんのこの人。オレの方がアクセル様みたいに超強く生きていきたいっての。
「オレみたいにって……アクセル様の方が百倍強いじゃん」
「精神的な強さだ」
呆れて言った言葉に、かぶせるように『精神的な強さ』なんて言われて思わず赤面した。だって、あまりにも真剣な顔で言ってくるもんだから、さすがにアクセル様が本気で言ってることが分かってしまったから。
精神的な強さってなんだよ。
別にオレは精神的に強くもない。普通に落ち込むし、なんならメンタル弱いって思ってるのに。
アクセル様に野営について色々とずけずけ言ったからかな。それとも、さっき怒りに任せて思いっきり睨んで怒鳴ったからかな。
何が理由かは分からないけど、それで怒るんじゃなく相手を認める方向に気持ちが向くってのがすごい。アクセル様ってマジで性格いいんだな。
「……感謝しているんだ」
さらに感謝してるなんて言われて、なんかもう恥ずかしくなってきた。
オレはそんな風に感謝して貰えるような人間じゃないのに。
でも、魔法学校に入ってからずっとバカにされ続けてきたオレにとって、アクセル様のまっすぐな言葉は嬉しすぎて、なんだか胸の奥がじわっとした。
「感謝してるっつうなら、さっさとA級魔物を倒して帰ってさ、たっかい魔法石買って上級魔法をぶち込んで貰おうかな」
ただ、それを素直に言葉にはできなくて、ついついそんな言葉で茶化してしまう。
いわゆる照れ隠しってやつだ。
なのに、アクセル様はまた嬉しそうに破顔した。
「任せてくれ。君のためなら何時間かかってもやり遂げてみせる」
「……!」
言い方!!!
「なんかその、誤解を招くような微妙な言い回し、やめてくんない?」
「誤解?」
素でこの言い回しなのか……とちょっと遠い目になる。自分で気づかないうちに女の人いっぱい泣かせてそう。
あんた、高身長でイケメンでガタイも良くて魔法も凄くて剣も騎士レベルですごい上に、伯爵家かつ騎士団長のご子息っていう自分のスペックちょっとは自覚した方がいいからね?
優良物件を探してるお嬢さん方にあんなこと言ったら絶対に誤解されると思うよ?
あ、いや、逆か。素直で性格いいんだから、簡単に騙されて既成事実作られちゃいそう。今までよく無事だったな。
思わず胡乱な目でアクセル様を見たけれど、オレの心の声など知るはずもないアクセル様は、にこにこと機嫌よく笑っている。
そののんきな顔を見ていたら、なんかまぁいいかって気持ちになってきた。
「ま、いいや。早く行こ」
「分かった」
頷いたアクセル様は、今度はなぜか左手を差し伸べてくる。
「? なに?」
「転移を使う。体が接触していないと一緒に転移できないんだ。担がれるのは嫌だろう?」
だから初日、いきなり担がれたのか。
「なるほど」
オレは素直にアクセル様の手を取った。他人と手をつなぐとか初めてだからちょっとこっ恥ずかしい。
アクセル様の手はでかくてごっつくて剣だこがあってあったかかった。
オレは孤児だからこんな風に誰かと手をつなぐなんてこと無くて、手の中の温かさがなんだかすごく不思議な気分だ。
「行くぞ」
アクセル様が振り返ってくれると、なんか頼もしくて嬉しい。
これから恐ろしい魔物と戦うことになるんだろうけど、アクセル様ならきっとなんとかするんだろう。オレもしっかりアクセル様について行こうと心に誓う。
「うん!!!」
力強く頷いた途端、アクセル様が昨日みたいに複雑な呪文を唱えた声がして、揺れるような感覚とともに空気が変わった。
「うわ……!」
目の前に広がったのは、一面の海。
「すげぇ……綺麗」
まだ朝方だってのに、ギラギラ眩しいくらいに光る太陽と、その日差しを浴びてキラキラとひかる水面は、鮮やかな美しさがあった。
さっきまでの樹海とは大違い。
開放感が凄いし、何よりもし魔物がいたとしてもきっと海の中だろう。こんな安心な事はない。
アクセル様はシーサーペントを狙ってるって言ってた。どうやって戦うつもりか知らないけど、オレが側にいても邪魔だろうし、結界内で待機かな。いつでも魔力を渡せるようにしとかなきゃ。
なんて考えてたら。
繋いでた手をぐっと引っ張られていきなり抱き寄せられる。
「へっ!!???」
「加速する。できるだけ暴れないで身を任せてくれ」
「なななななななんで!!!???」
びっくりしてる間に腰を抱かれて、ふわっと足が浮いた。
どうなってんだかオレの体は自分でも全く重さを感じない、デカいだけの綿毛みたいに軽そうに浮いて猛然と走るアクセル様に運ばれていた。
「遥か向こうで、誰か戦闘している」
「えっ」
「学園の方角だ。上位の生徒ならバミュル湾まで到達できてもおかしくない」
「めっちゃ遠いよ!??」
「身体強化を重ねがけして半日走ればバミュル湾近くの森までは行ける。というか、それくらいは行かないとB級の魔物がいないから、高成績を収めたいヤツは来るだろう」
次元が違いすぎて泣けた。
アクセル様のとんでも発言に、オレは目が飛び出るかと思った。
何言ってんのこの人。オレの方がアクセル様みたいに超強く生きていきたいっての。
「オレみたいにって……アクセル様の方が百倍強いじゃん」
「精神的な強さだ」
呆れて言った言葉に、かぶせるように『精神的な強さ』なんて言われて思わず赤面した。だって、あまりにも真剣な顔で言ってくるもんだから、さすがにアクセル様が本気で言ってることが分かってしまったから。
精神的な強さってなんだよ。
別にオレは精神的に強くもない。普通に落ち込むし、なんならメンタル弱いって思ってるのに。
アクセル様に野営について色々とずけずけ言ったからかな。それとも、さっき怒りに任せて思いっきり睨んで怒鳴ったからかな。
何が理由かは分からないけど、それで怒るんじゃなく相手を認める方向に気持ちが向くってのがすごい。アクセル様ってマジで性格いいんだな。
「……感謝しているんだ」
さらに感謝してるなんて言われて、なんかもう恥ずかしくなってきた。
オレはそんな風に感謝して貰えるような人間じゃないのに。
でも、魔法学校に入ってからずっとバカにされ続けてきたオレにとって、アクセル様のまっすぐな言葉は嬉しすぎて、なんだか胸の奥がじわっとした。
「感謝してるっつうなら、さっさとA級魔物を倒して帰ってさ、たっかい魔法石買って上級魔法をぶち込んで貰おうかな」
ただ、それを素直に言葉にはできなくて、ついついそんな言葉で茶化してしまう。
いわゆる照れ隠しってやつだ。
なのに、アクセル様はまた嬉しそうに破顔した。
「任せてくれ。君のためなら何時間かかってもやり遂げてみせる」
「……!」
言い方!!!
「なんかその、誤解を招くような微妙な言い回し、やめてくんない?」
「誤解?」
素でこの言い回しなのか……とちょっと遠い目になる。自分で気づかないうちに女の人いっぱい泣かせてそう。
あんた、高身長でイケメンでガタイも良くて魔法も凄くて剣も騎士レベルですごい上に、伯爵家かつ騎士団長のご子息っていう自分のスペックちょっとは自覚した方がいいからね?
優良物件を探してるお嬢さん方にあんなこと言ったら絶対に誤解されると思うよ?
あ、いや、逆か。素直で性格いいんだから、簡単に騙されて既成事実作られちゃいそう。今までよく無事だったな。
思わず胡乱な目でアクセル様を見たけれど、オレの心の声など知るはずもないアクセル様は、にこにこと機嫌よく笑っている。
そののんきな顔を見ていたら、なんかまぁいいかって気持ちになってきた。
「ま、いいや。早く行こ」
「分かった」
頷いたアクセル様は、今度はなぜか左手を差し伸べてくる。
「? なに?」
「転移を使う。体が接触していないと一緒に転移できないんだ。担がれるのは嫌だろう?」
だから初日、いきなり担がれたのか。
「なるほど」
オレは素直にアクセル様の手を取った。他人と手をつなぐとか初めてだからちょっとこっ恥ずかしい。
アクセル様の手はでかくてごっつくて剣だこがあってあったかかった。
オレは孤児だからこんな風に誰かと手をつなぐなんてこと無くて、手の中の温かさがなんだかすごく不思議な気分だ。
「行くぞ」
アクセル様が振り返ってくれると、なんか頼もしくて嬉しい。
これから恐ろしい魔物と戦うことになるんだろうけど、アクセル様ならきっとなんとかするんだろう。オレもしっかりアクセル様について行こうと心に誓う。
「うん!!!」
力強く頷いた途端、アクセル様が昨日みたいに複雑な呪文を唱えた声がして、揺れるような感覚とともに空気が変わった。
「うわ……!」
目の前に広がったのは、一面の海。
「すげぇ……綺麗」
まだ朝方だってのに、ギラギラ眩しいくらいに光る太陽と、その日差しを浴びてキラキラとひかる水面は、鮮やかな美しさがあった。
さっきまでの樹海とは大違い。
開放感が凄いし、何よりもし魔物がいたとしてもきっと海の中だろう。こんな安心な事はない。
アクセル様はシーサーペントを狙ってるって言ってた。どうやって戦うつもりか知らないけど、オレが側にいても邪魔だろうし、結界内で待機かな。いつでも魔力を渡せるようにしとかなきゃ。
なんて考えてたら。
繋いでた手をぐっと引っ張られていきなり抱き寄せられる。
「へっ!!???」
「加速する。できるだけ暴れないで身を任せてくれ」
「なななななななんで!!!???」
びっくりしてる間に腰を抱かれて、ふわっと足が浮いた。
どうなってんだかオレの体は自分でも全く重さを感じない、デカいだけの綿毛みたいに軽そうに浮いて猛然と走るアクセル様に運ばれていた。
「遥か向こうで、誰か戦闘している」
「えっ」
「学園の方角だ。上位の生徒ならバミュル湾まで到達できてもおかしくない」
「めっちゃ遠いよ!??」
「身体強化を重ねがけして半日走ればバミュル湾近くの森までは行ける。というか、それくらいは行かないとB級の魔物がいないから、高成績を収めたいヤツは来るだろう」
次元が違いすぎて泣けた。
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