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オレ、役に立ってる!!
そっか、上位の生徒ならここにくることも充分考えられるのか……。
「魔法学校の生徒だったら討伐を手伝うのか?」
「問題なさそうなら手は出さない。命を落とさないように見守るだけだ」
その答えを聞いてオレは改めて驚いた。やっぱアクセル様っていい人なんだなぁ。
「そうだイール。俺の体に手を触れて、少しだけ魔力を補充してくれ」
「あ、うん!」
そっか、転移で魔力を結構使ったからか。確かにいざという時に魔力不足で強力な魔法が撃てなくなったら困るもんな!
魔力を流しすぎないように注意しながら、アクセル様の体に魔力を流す。
「ありがとう。あっという間に満タンになった」
「もう!?」
「これ以上は逆にマズイ」
あ、なるほど。のぼせたみたいなっちゃうんだもんね。そりゃあヤバい。
見上げたら、アクセル様が嬉しそうに笑ってくれて、オレも嬉しくなった。この体勢って体が密着しててこっ恥ずかしいけど、こんなに高速移動してても話せるし、魔力の補充もできるから、意外といいかも。
「イールのおかげで魔力の残量を気にせずに便利な魔法を色々使えて助かる。ありがとう」
アクセル様の率直な感謝の言葉に、胸が熱くなる。
オレ、役に立ってる……!!!
魔法も使えないへっぽこなオレでも、今まさにアクセル様の役に立ててるんだと思ったら、嬉しくて泣きそう。
「これでまた魔術が色々と使える。彼らの戦闘を邪魔したくないから、ここからは隠密魔法を使う」
「そんな魔法まで使えるんだ」
「今までは魔力がなくて実戦で使えた試しがなかったんだ。好きなだけ魔法が使えるかもしれないと思うとわくわくするな」
見上げたアクセル様の瞳は本当にキラキラしてて、楽しそう。魔術を色々使ってみたくてわくわくしてるっぽいのに、他の生徒の試験を邪魔しないように自制しているところが真面目なアクセル様らしい。
「ああ、やっぱりウチの生徒だな。……というか」
「あー……」
見覚えあるなぁ。
あの人達、昨日絡んできたイヤミな金髪と、アクセル様の友達じゃないか。
「ヒューとライエンだな。B級の魔物となかなかいい勝負をしている」
でも、押され気味だ。魔法学校でも上位の生徒が二人がかりでも苦戦するようなB級の魔物を、アクセル様はひとりで屠ってたのかと思うと、この人の強さの底知れなさを感じる。
「あれでB級なんだ……。すげぇデカくて怖い」
「B級の中でも上位だがな。あのスカリーベアは森の奥深くに生息しているんだ。滅多に姿を現さない。ヒュー達は運がいい」
「……」
本人たちが幸運だと思っているかは定かじゃないけど、倒せたら確かに試験ではいい成績が残せるだろうなぁ。
若干遠い目になりつつも、そんなことを考えた。
「よし、ここでしばらく見守ろう」
見晴らしのいい崖の上で足を止めると、アクセル様は手早く結界を張る。そして、真剣な顔でヒューさん達の戦闘を見守っていた。
高位の魔物との戦闘では、助けに入るのが遅くなればきっと命取りになるんだろう。アクセル様が真剣になるのも分かる。
でも、オレの場合は彼らが危なくなったとしても、手助けできるわけでもないからなぁ。
うーん、とちょっと考えてアクセル様に聞いてみた。
「アクセル様、今日ってここが拠点になる?」
「いや、もっと向こうの方に海にもっと張り出した岬があるんだ。そこを拠点にしようと思っている」
「そっか」
「……なぜだ?」
ヒューさん達の戦闘から一切目を離さず答えてくれていたアクセル様が、ふと聞き返してきた。
「オレは戦闘では役に立たないだろうから、ここが拠点なんだったら住環境を整えようかと思って」
「……なるほど。拠点に移動しながらでも見守るのはできる。いったんそこまで移動しよう」
「うおっ」
言うが早いか、アクセル様はオレを抱きよせたまま走り出す。多分アクセル様が軽量化とかなんか魔法つかってんだろうなぁと思うけど、相変わらずオレの身体は綿毛みたいにふわふわ浮いて自分でもなんか心許ない。
「つーか、どんどんヒューさん達の方に近づいてない?」
「拠点予定の場所はあいつらの向こう側だから、通り過ぎることになるだろうな。まぁ、隠密魔法で姿を隠しているし、戦闘に夢中だから気づかれることはないだろう」
「そっか」
とりあえずオレはアクセル様に身を任せてればいいわけね。理解した。
アクセル様が運びやすいように、親猫に運ばれる子猫レベルで脱力してたら、あっという間にヒューさん達に近づいてきた。通り過ぎるのも一瞬だろうな……。
と思った瞬間。
ヒューさん達と熱戦を繰り広げていたスカリーベアが、ギッッッ! とオレを見た。
ひええええええっっっ!!!????
気がそれた一瞬を逃さず、ヒューさんが特大の魔術を放つ。
恐ろしい断末魔をあげるスカリーベア。たたみかけるように攻撃魔法をぶち込んでいるヒューとライエン様。
オレが口をパクパクさせているうちにそのえげつない現場を通り過ぎて、あっという間にヒューさん達とスカリーベアが遠ざかっていく。
「さっきスカリーベアと目が合っていただろう?」
「魔法学校の生徒だったら討伐を手伝うのか?」
「問題なさそうなら手は出さない。命を落とさないように見守るだけだ」
その答えを聞いてオレは改めて驚いた。やっぱアクセル様っていい人なんだなぁ。
「そうだイール。俺の体に手を触れて、少しだけ魔力を補充してくれ」
「あ、うん!」
そっか、転移で魔力を結構使ったからか。確かにいざという時に魔力不足で強力な魔法が撃てなくなったら困るもんな!
魔力を流しすぎないように注意しながら、アクセル様の体に魔力を流す。
「ありがとう。あっという間に満タンになった」
「もう!?」
「これ以上は逆にマズイ」
あ、なるほど。のぼせたみたいなっちゃうんだもんね。そりゃあヤバい。
見上げたら、アクセル様が嬉しそうに笑ってくれて、オレも嬉しくなった。この体勢って体が密着しててこっ恥ずかしいけど、こんなに高速移動してても話せるし、魔力の補充もできるから、意外といいかも。
「イールのおかげで魔力の残量を気にせずに便利な魔法を色々使えて助かる。ありがとう」
アクセル様の率直な感謝の言葉に、胸が熱くなる。
オレ、役に立ってる……!!!
魔法も使えないへっぽこなオレでも、今まさにアクセル様の役に立ててるんだと思ったら、嬉しくて泣きそう。
「これでまた魔術が色々と使える。彼らの戦闘を邪魔したくないから、ここからは隠密魔法を使う」
「そんな魔法まで使えるんだ」
「今までは魔力がなくて実戦で使えた試しがなかったんだ。好きなだけ魔法が使えるかもしれないと思うとわくわくするな」
見上げたアクセル様の瞳は本当にキラキラしてて、楽しそう。魔術を色々使ってみたくてわくわくしてるっぽいのに、他の生徒の試験を邪魔しないように自制しているところが真面目なアクセル様らしい。
「ああ、やっぱりウチの生徒だな。……というか」
「あー……」
見覚えあるなぁ。
あの人達、昨日絡んできたイヤミな金髪と、アクセル様の友達じゃないか。
「ヒューとライエンだな。B級の魔物となかなかいい勝負をしている」
でも、押され気味だ。魔法学校でも上位の生徒が二人がかりでも苦戦するようなB級の魔物を、アクセル様はひとりで屠ってたのかと思うと、この人の強さの底知れなさを感じる。
「あれでB級なんだ……。すげぇデカくて怖い」
「B級の中でも上位だがな。あのスカリーベアは森の奥深くに生息しているんだ。滅多に姿を現さない。ヒュー達は運がいい」
「……」
本人たちが幸運だと思っているかは定かじゃないけど、倒せたら確かに試験ではいい成績が残せるだろうなぁ。
若干遠い目になりつつも、そんなことを考えた。
「よし、ここでしばらく見守ろう」
見晴らしのいい崖の上で足を止めると、アクセル様は手早く結界を張る。そして、真剣な顔でヒューさん達の戦闘を見守っていた。
高位の魔物との戦闘では、助けに入るのが遅くなればきっと命取りになるんだろう。アクセル様が真剣になるのも分かる。
でも、オレの場合は彼らが危なくなったとしても、手助けできるわけでもないからなぁ。
うーん、とちょっと考えてアクセル様に聞いてみた。
「アクセル様、今日ってここが拠点になる?」
「いや、もっと向こうの方に海にもっと張り出した岬があるんだ。そこを拠点にしようと思っている」
「そっか」
「……なぜだ?」
ヒューさん達の戦闘から一切目を離さず答えてくれていたアクセル様が、ふと聞き返してきた。
「オレは戦闘では役に立たないだろうから、ここが拠点なんだったら住環境を整えようかと思って」
「……なるほど。拠点に移動しながらでも見守るのはできる。いったんそこまで移動しよう」
「うおっ」
言うが早いか、アクセル様はオレを抱きよせたまま走り出す。多分アクセル様が軽量化とかなんか魔法つかってんだろうなぁと思うけど、相変わらずオレの身体は綿毛みたいにふわふわ浮いて自分でもなんか心許ない。
「つーか、どんどんヒューさん達の方に近づいてない?」
「拠点予定の場所はあいつらの向こう側だから、通り過ぎることになるだろうな。まぁ、隠密魔法で姿を隠しているし、戦闘に夢中だから気づかれることはないだろう」
「そっか」
とりあえずオレはアクセル様に身を任せてればいいわけね。理解した。
アクセル様が運びやすいように、親猫に運ばれる子猫レベルで脱力してたら、あっという間にヒューさん達に近づいてきた。通り過ぎるのも一瞬だろうな……。
と思った瞬間。
ヒューさん達と熱戦を繰り広げていたスカリーベアが、ギッッッ! とオレを見た。
ひええええええっっっ!!!????
気がそれた一瞬を逃さず、ヒューさんが特大の魔術を放つ。
恐ろしい断末魔をあげるスカリーベア。たたみかけるように攻撃魔法をぶち込んでいるヒューとライエン様。
オレが口をパクパクさせているうちにそのえげつない現場を通り過ぎて、あっという間にヒューさん達とスカリーベアが遠ざかっていく。
「さっきスカリーベアと目が合っていただろう?」
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