【完結】完璧アルファな推し本人に、推し語りするハメになったオレの顛末

竜也りく

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【アルロード視点】無駄になんてなってない

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僕はルキノを大切にしてくれるなら、結婚だってひとつの手段だと思っていたはずだ。

なのになぜ、こんなにも嫌だと思ってしまうんだろう。

「アルロード様!」

「はい!」

「はい?」

「あ、ごめん、びっくりして……」

つい考え込んでしまったが、そういえばそういう場合じゃなかった。

「すみません、驚かせてしまって。あの、今回のこと、本当にすみませんでした」

「何が!? 謝るのは僕の方だ。勝手な真似をしてごめん」

「いえ、オレなんかのためにアルロード様の貴重なお時間を無駄にするなんて、あってはならないことで本当にお詫びのしようもないっていうか」

さっきの呟き、やっぱり聞き間違いじゃなかった!

ルキノときたら気持ち悪いと思って引くどころか、僕に申し訳ないだなんてとんでもないことを考えていた。

「無駄になんてなっていないよ」

ルキノの勇敢な姿や素の表情を見る事ができて幸せな時間だったし、真剣に依頼を選び、ひとつひとつの依頼に真摯に取り組む姿は尊かった。

それに。

「ルキノは嫌かもしれないけれど、僕はこの時間が毎日楽しみだったんだ。ルキノが頑張っているのを見守るのは楽しかったし、その、今後要人警護をするときの訓練にもなるんだ。それに、そう! 魔物討伐は剣技を磨くことにもなるから……!」

ちょっと苦しい言い訳だけれど、そんな気持ちもなかったわけではないから言ってみたら、ルキノの表情がぱあっと明るくなる。

「確かに……! そうか、少しはお役に立ってるんですね?」

「立っている! すごく役に立っている」

「でも、アルロード様なら本当の要人警護の訓練ができるんじゃないですか? ご家族とか。わざわざ危険を冒してオレの魔物討伐なんかに付き合わなくても」

「いや! 付き合いたい。せっかくならもうパートナーとしてともに戦いたい」

ずっと思っていた。こんな後ろから眺めるだけでなく、一緒に歩いて話しながらこの時間を過ごせればどんなにいいかと。

「え、でもそれじゃ要人警護の訓練にならないんじゃ」

「それはここ二ヶ月ほどでだいぶ訓練できたから大丈夫だよ。そろそろ実戦経験をもっと多く積みたいと思うんだけれど、迷惑だろうか」

「迷惑だなんて!」

「じゃあ、いいのかな?」

「あ、えと……あれ? いいのかな……」

「よろしくね。明日からは一緒に冒険者ギルドに行こう」

丸め込んだみたいで申し訳ないけれど、僕は浮かれていた。

ついさっきまで嫌われてしまった、もう二度と笑いかけてくれないかも、と不安だった心が晴れて無敵のような気持ちになる。

しかもルキノは、このところ僕といると少し気まずそうな顔をすることもあって、僕はどうしたらいいのか分からなくて本当にずっとやきもきしていたんだ。

ドルフは「ま、アイツにも色々あるんでしょ。ちょっと放っといてやった方がいいんじゃないスか」なんて言っていたけれど、僕はルキノから距離を置かれているという事実が悲しくて仕方がなかった。

もっと頼ってくれればいいのに。

そんな気持ちがあったからだろう。

堂々と傍にいて護る事ができる権利を得られそうだと思った瞬間、強引に話を進めてしまっていた。

まだ困惑気味のルキノを見て、やっぱり傍にいたいと思ってしまう。

「ルキノ、今日はまだ討伐を続けるのか? ここからは一緒に行動しよう」

「あ、はい……」

「まずは手分けして討伐証明を採取しようか」

「そっか、そうですね」

さりげなくパーティーとしての動きを提案してみたら素直に乗ってくれる。

「なんか、アルロード様とパーティー組んで冒険とか、夢見てるみたいですね」

そう言って笑ってくれるルキノは、なんだかとても爽やかで可愛かった。

***

ルキノとの放課後冒険者生活は楽しくて、しかも魔物との戦いで剣の腕も上がるというおまけつき。

一週間もたつ頃には二人で連携するのにも慣れてきて、ちょっとレベルの高い討伐をうけてみようか、なんて話も飛び出したくらいだ。

まさに順風満帆。毎日が楽しくて仕方がない。ドルフにもニヤケすぎ、と釘を刺される始末だった。

そんな僕をルキノがにこにこして見てくれるのが嬉しい。昼食の時間も毎日楽しみだった。

「今度さ、ちょっと高ランクの討伐依頼を受けようと思うんだ。ドルフもくる?」

「ばーか、俺はアルロード様みたく余裕ねえんだよ。騎士職に必ず就くには内申も大事ってお前だって分かってんだろ」

「だね。頑張るしかないね」

「おおよ。つか、お前は結局どうすんの? 冒険者になるって決めたのか?」

「それもいいかなって思ってたんだけど、実はゆうべ、父さんがすごい人から縁談がきたって言うんだよね。オレも絶対に喜ぶって興奮しててさ」

「は!!???」

「へー、どういうヤツとか聞いたのか?」

驚く僕とは真逆で、ドルフは淡々とそう返している。

「それは教えて貰えなかったんだけどさ、こっちの希望どおり第二夫人として迎えてくれるうえに、護衛として扱ってくれるらしいんだ。そんな条件他にないし、オレ嬉しくて」

「ふぅん。そっか、うまく纏まるといいな」

「ドルフ!?」
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