異世界転移したら尖った耳が生えたので、ちびっこライフを頑張ります。

前野羊子

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第四章 ~王子の旅・天空路~

〈203.5 挿話16〉縞猫のダンス

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 あたしは、まつ。
 ねこじんぞくの五才の女の子。

 あたしには、あこがれていてとっても大すきな、たいせつなひとがいるの。

 「まつが、これいじょうきけんなめにあったら、おれもこまる」
 そういって、二人でしていたたびがとちゅうだったけど、あたしだけが、この海の家にいるの。

 あのときポリゴンの、こじいんにいたときに、音楽しつから、すごくきれいなチェンバロのきょくが聞こえたの。
 すると、くろいかみの毛で、くろい目の男の子が、ライ先生よりすごく上手にひいていたの。

 すこしふわっと光ってみえたあの男の子は、ヨネおねえちゃんがはなしてくれた、絵本の王子さまみたい思ったわ。

 でも、シュンスケと呼ばれた男の子は本当に王子さまだったんだよ。

 王子といっしょにたびをしていたら、ときどきあたしもお姫さまになったような気分になったの。
 きれいなおようふくをきせてもらって、天じょうの明かりがうつって、ぴかぴかのくつをはかせてもらい、ふわふわのじゅうたんのろうかを歩いて、お城のようなところでごはんをたべた。ゆめのようだったわ。

 そのあと、なんと、あたしのおねえちゃんって人と会ったの!
 たしかにならんで、かがみを見るとにてる気がするわ。
 おねえちゃんはかわいくて、きれいで、すごくやさしくて、ぼうけんしゃをしているんだって。
 でもおねえちゃんとはお手紙をやりとりするやくそくをして、いちどおわかれして、たびをつづけたの。

 げきにも出たの。王子のとおそろいみたいなはねをつくってもらって、ピンク色のせいれーちゃんをするの。楽しかった!たくさんお金をもらっちゃったんだ!

 あとは、もちろんはろるど!あたしははろるどもだいすき!
 ぺがこーんていうの、お馬さんじゃないんだって。
 まっ白できれいな角と、天しのはねの大せいれいだって。それに大きいのに、お話しするととってもかわいいの、おかしいでしょ。
 
 「うーん、にっきってどういうものなんだろ。こういうのじゃないよね」

 コンコンコン
 「はーい。あ、ミアおねえちゃん!」
 「マツ様、私のことはミアと呼んでください」
 「えー、だってミアもやさしいおねえちゃんだもん」
 「ふふふ、ありがとうございます。それより、馬車の音がしましたよ」
 「そうだった!」

 あたしの本当のおねえちゃん!
 ティキおねえちゃんは、頭が良くて、ちょっと前から王子と同じがくえんに通っているの。
 いけない、帰ってきちゃったのね!
 お迎えしなくちゃ!

 ハロルドのまっ白なはねのぺんの先をふいて、インクのつぼにフタをかぶせてっと。
 あたしはおやしきの、かいだんをかけおりる。
 ねこじんぞくだから、王子ほどじゃないけど、あたしだって本当はひらりとおりれちゃうの。でもそれはお上品じゃないからがまん。
 とことことかいだんを下りる。

 「おねえちゃーん、お帰りなさい!」
 「ただいまマツ。良い子にしてた?」
 「えっとね、文字のれんしゅう」
 「まあ、マツってきれいな文字を書くものね」
 「へへーん、王子に買ってもらったお手本があるもん」
 「そうね。私もその文字をまねて書いたら、お友達に字が綺麗ってほめられたわ」
 「さすがおねえちゃん!」
 「マツのおかげよ」
 「ふふふ」
 「ふふふ」

 王子のたびについていけなくて、さびしいと思ったけど、おねえちゃんとこうやっていっしょに住んで、まい日お話しできるようになるなんて。本当にうれしい!

 手を洗って、せいふくから、おへやようのふくにきがえたおねえちゃんと、おやつをもらう。

 今日のおやつは、ホットケーキ♪
 もうすぐ冬だから、あたたかいホットケーキがうれしいの!
 クリスお兄ちゃんが買ってきてくれた、ロードランダのバターとクインビーのはちみつをたっぷりつけたホットケーキを小っちゃく切って
 「みんなもどうぞ」
 “わーい”
 “まつ、だいすき!”

 かわいい、せいれーのおともだち。
 フォークが大きくて使えないから、小っちゃいケーキのかけらを手づかみでもってる。
 ふふふ、あたしもこじいんのときは、フォークで食べるのがにがてだったわ。
 でも、おうじが、
 「これなら使いやすいよ」
 って、ちいさなフォークをいつものぽーちから出してくれたの。
 それは、白っぽいもち手で、き色いうさぎさんの顔がついてたの。それでれんしゅうしたら、あたしもフォークがとくいになった!

 なんて思い出していたら、き色ちゃんがそわそわしだした。

 「きいろちゃん、どうしたの!」
 「なあに?なにかあった?」
 お姉ちゃんもきいてる。

 “てぃきとまつの、おかあさんみつけた!”
 「え?」
 「うそ!」
 びっくりした!
 お姉ちゃんもびっくりしてる。

 “おうじとうりさが”
 「ほんと?」
 “もうすぐぽりごんにつれてくるって!”

 「どうしよ、おねえちゃん」
 「だいじょうぶよ、お母さんはとってもやさしいのよ!」
 “おにいちゃんもくるよ!”

 「おにいちゃん?」
 「ええ、シェドーお兄ちゃんよ」
 「マツにおにいちゃんもいるの?」
 「言ってなかったかしら?」
 「うん、おねえちゃんがいるのも知らなかったんだもん」

 すると、おねえちゃんが少し、かなしそうなへんなわらい顔で、私の頭をなでてくれた。
 「ごめん、言うのわすれてたわね」
 「あやまらなくてもいいの!」
 「でも、わたしも小っちゃい時に見たきりだからおぼえてないの」
 「でも会えちゃう?」
 「すごいわね」

 “きたよ、てぃき、まつ”
 “おうじがかえってきたよ”
 “おかあさんきたよ”
 “おにいちゃんもいるぜ”

 おかあさんってどんな人だろ。
 クリスおにいちゃんのナティエママみたいにやさしい人だったらいいな。
 
 どうしよ、どきどきしてきた。

 ガチャリ

 一かいのげんかんの音がした。
 きた!

 「行くわよマツ」
 「まって、おねえちゃん、手をふいてから」
 “あたしがあらってあげる。ちゅるちゅるちゅる、よし”
 「ありがとうあおいろちゃん」
 “あたしが、かわかす”
 「きいろちゃん、だいすき!」

 二人でそおっとかいだんをおりて、げんかんを見ると、
 あ、ウリサさんと目があっちゃった。
 すぐに王子もこっちをむいて、まぶしいえがおで、ブンブンと手をふってあたしたちを呼んでいる。

 おねえちゃんと手をつないで、そこに言ったけど、初めてあう人にあいさつする勇気がでなくて、つい、王子のうしろにかくれちゃう。あれ?お姉ちゃんはウリサさんの後ろにかくれてる。
 同じことをするなんて、あたしたちは姉妹なのね。ふふふ。

 ただ、初めてあったお母さんはボロボロで、ほっぺたにけがもあって、お兄ちゃんはわかんないけど、ふくはボロボロ。いっしょにいたごえいの三人もけがだらけだった。手がない人もいたし。
 でも、あたしは知ってる。ほら、王子があっというまに治しちゃった。

 「ティキとマツ。お母さんをお風呂に連れてって!」
 「うん!」
 「お母さんの背中に怪我があったんだって。治ってるか見てきて!」
 「わかったー」
 「おかあさん・・・こっち」
 「お母さん、ここのお風呂はすてきよ」
 「ティキ・・・マツ・・・ううっ」
 「おかさん?」
 初めて手をつないだお母さんが泣いている。
 わたしも会いたかったお母さんと手をつなげられて、うれしいなって思ったらへんなの、うれしいのになきたくなっちゃった。
 「おかあさーん」
 「あーん」
 かいだんの下で、しばらく歩けなくなっちゃった。三人ともよ。

 すると、あたまにだれか手をおいた?
 ふりむくと
 「お・・おにいちゃん?」
 「はじめまして、まつ。ぼくが、まつのお兄ちゃんのシェドーだよ」
 「しぇどーおにいちゃん!」
 おにいちゃんはあたしと同じ耳としっぽがあって、見た目は王子よりちょっとおにいさん。でもしょうらいカッコイイおにいちゃんになりそうでうれしい!あたしのおにいちゃん!

 思わず頭にのせられた手に自分の手をのばす。

 きゅっ

 「かわいいなぁ」
 「へへへ、おにいちゃん」
 「まあ、マツ、もうお兄ちゃんとなかよしなのね」
 「そうみたい」
 「よかったわ」
 お母さんもやさしい顔でわらった。すてき。

 「よかったです」
 「ほんとうに」
 セバスチャンとミアもなぜか泣いてた。



 「まあすてきなお風呂。天国みたいね!」
 「でしょ!海がいっぱいなの」
 「海がいっぱいって、へんなの」
 「じゃあどういうの?」
 「水がいっぱいの海でしょ?」
 「そうだった」
 お姉ちゃんと一緒におかあさんとお風呂に入る。

 お風呂に入る前に、お母さんを洗ってあげた。王子がおいてくれてるシャンプーとトリートメントとバディソープで。
 「おかあさん、せなかきれい」
 「まあ、けがが治ってるのね。今朝までは痛かったのよ」
 「さすが、殿下ね」
 「殿下?」
 「シュンスケって、ほんとはロードランダの王子」
 「まあ!じゃあ精霊王の?」
 「うん!マツはねぇ、会ったことあるんだ」
 「まあまあ」
 「ティキも会ったわ。あのお金の横顔のひとよ!すごく奇麗な男の人!」
 「きっと、お父さんも助けてくれるわ」
 「あたしたちのお父さんも会いたいね」

 「王子もずっとお父さんと会えなかったんだって」
 「まあ」
 「だから、お父さんやお母さんに会えなかったあたしのためにがんばってくれたんだと思う」
 「それだけじゃないわ」
 「?」
 「王子はマツが可愛いからがんばるのよ」
 お姉ちゃん?
 「そ・・・そうなの?」
 “まつ、かおあかい”
 “かわいい”
 「な・・・なんのことかな」

 「ふふふ、よかったわね」
 「うん!おかあさんとおふろに入れてうれしい」
 「このお風呂は大きいから、みんなで入れるのよ」
 「本当ね」

 “そろそろ、でないと、のぼせるよ!”
 「あ、そうね」
 「お母さん、お風呂から出よう」
 「はいはい」

 だついじょには、お母さんのためにきれいなワンピースがおいてあった。
 「ドミニク卿の奥方様は、ベスティアランド王国の王女様だった人ですが、その人のお洋服だそうです」
 ミアお姉ちゃんがせつめいする。
 「まあ、いいのかしら」
 「気にせず使ってくださいとのことですよ」
 「じゃあ、お言葉に甘えて」

 王女さまのふくをきたお母さんはすごくきれいになった。まるでお貴族様みたい。

 今日はケティー家だけでご飯なんだって。男ゆから出てきてカッコよくなったお兄ちゃんも加わって、海の見える食どうで、ごちそうを食べた。

 そして、四人で寝るために、王子のお部屋の大きなベッドで寝かせてもらった。

 おかあさんっていいにおい。

 でも、次の日朝起きると、王子とウリサさんはもういなくなっていた。

 行ってらっしゃいぐらい 言いたかったのに。

 王子。むりしちゃだめだよ。
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