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第四章 ~王子の旅・天空路~
〈220〉改名は蜂蜜入りのお茶を飲みながら
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ドルジは無事にロードランダに入れて、急遽アリサに買い物とかを付き合ってもらって、ロードランダの方の王都の冒険者ギルドの宿舎に滞在することになった。
「もう、これからもっと寒くなるって言うのに!さらに北国のロードランダなのに、衣類がないなんて」
「古着でいいから!お買い物助けてあげて!」
「アリサさん宜しくお願いします」
「もちろんいいわよ。女同士買い物楽しみましょう!」
「はい!」
“あたしもかいものつきあうぅ”
「黄色ちゃんはお菓子でしょ」
“てへ”
“ろーどらんだの、おしゃれなふるぎやさんしってるわよ!”
「ほんと?緑色ちゃん!」
“こーでぃねーとはまかせて”
「まあ、たのしみ!紫色ちゃん」
女の子精霊ちゃんもショッピングが好きだったのか。
ドルジへの当面の生活費や小遣いは父さんのポケットマネーから出していただきました。内緒だよ。
そして俺は今度は、ペルジャー王国の二人に会いに行った。
ドルジやアーリマンの話を纏めてたのと、シュメル山脈の内側の自然が復活したので、そこにも精霊ちゃんが沢山滞在できるようになった。
精霊ちゃん達によると、束縛から解放されたミノタウロスは西側の森や内側のもりで穏やかにすごしているようだ。
そこで問題が一つ。俺はあの穏やかになっていったミノタウロスとコミュニケーションしたことで、もうあいつらが食材には見えなくなっちゃったって事かな。まあ、この世界に旨いものはたくさんあるので、良いけどさ。
動物とかと話せるようになるスキルもあまり使わない方がいいよな。自重しよう。
それから、ベルアベルで悪魔に操られていたゴブリンを数人スカウトしている。
あっちこっちで作業させているゴブリンは十人だけじゃ全然足りないんだもん。
まずは、アナザーワールドの進化済みの先住先輩のホブゴブリンに指導してもらいながら、ゴブリン舎を増設。そして、簡単な読み書きと計算も指導。もちろん避妊の投薬もね。
ペルジャーの要人全員を集めて要所が手薄になると困るので、王太子のカラコルム フォン ペルジャーと、ベルアベル町のギルマスのラシアンを呼んで、アナザーワールドの食堂で、これまでの経緯を伝えた。食堂って応接よりミーティングに向いてるよね。
アナザーワールドでペルジャーの王太子とギルマスのラシアンに、四千年前の話と、千五百年前の話をした。もちろん俺の夢で見たものじゃなくて、きちんと父さんやアマビリータから聞いた話としてね。
「と、言うことはアーリマンは四千年前には世界樹の中で保護されていて、今、その名前を騙るのは他の存在だと」
王太子も王家に代々伝わる戦の歴史の中の事実との違い驚いていた。
「うん、だってアーリマンってこの人」
俺の隣の席で俯いている中位妖精の本人を示す。
「確かに悪魔ではなくて、若いエルフという感じですな」
「でしょ?それにほら見える?アーリマンは妖精だから、それっぽい羽が生えてるんですよ」
と言いながら本人にすこし上半身をひねってもらう。
「おお、シュバイツ殿下とはまた違った美しさですな」
そう言われてすこし耳が赤くなるアーリマン。
「そ、そんなことはないぜ」
俺も今朝気が付いたんだけど、おっさん妖精と違ってアーリマンには羽が生えていたんだ薄っすら。トンボや虫のような俺の翅とは違って、ホロセロファンみたいな虹色の四枚翅。
ただ、この羽根は魔法の補助的な役目があるだけで、飛翔にはつかえないそうだ。
「我々も、対アーリマンとして武器や物資を流しておりました」
「うん。だからね、俺はこの後プリネイ国とキティー公国へ真実を見に行ってこようと思っているんだ」
「……ウリサとお二人でですか?」
「うん」
「それは少なすぎないか。ギルドからSランクを紹介して同行しても」
「ああ、もちろんペルジャー共和国から依頼料をかき集めて依頼するよ!」
「大丈夫、二人に見えてすごく沢山いるんだよ」
“たくさんいるよ~”
“あたしもてつだう”
“がおけれなさまのまわりにもふえた!”
“てつだうぜ”
“まかせろ”
「ははは、確かに数えきれないな」
「だよね」
ウリサが精霊ちゃん達皆と笑っている。尊い風景だ。
「お願いしたいのは、あなた達は今まで通り、悪魔の手下の雑魚から人々を守ってほしいぐらいかな。プリネイ国にはまだ一般国民もいるようだからそっちも心配だしね」
「それはもちろんです。
父からは我が国と共和国全体として報酬をご用意すると言ってますので、何卒よろしくお願いします」
「それから、このアーリマンは改名させるんだ」
「改名ですか?」
「名前のある妖精の改名ってどうするんだ?って思ってたんだけど、妖精王が上書きしたら出来るらしくって、いまアマビリータさんが考え中なんだよね」
そうしてアーリマンを見る。
「はい。もともとこの名前はあのタローマティがつけたもの。だけど、一度名前を得たら捨てることはできないそうで、上書きならできそうだと」
「なるほど、妖精王が……」
「うん……って、あ、もういいの?」
黄色ちゃんから合図。
食堂の扉をガオケレナの空間へつなげる。
コンコンコン
「はいどうぞ!」
ガチャリ……ってあれ?
「父さんも?」
「うん、なじむまでこれがあった方がいいと思って」
冒険者ギルドにもある、ステータスのタグを作る道具一式を持ってきた。
そう、身分証はもちろん国家のトップの元で作ることが出来るからね。
「これは、ブランネージュ国王陛下とアマビリータ妖精王」
「すごい、元精霊王と妖精王が揃うなんて」
「こんにちはえっと、カラコルム フォン ペルジャー王太子殿下だね。初めまして」
「初めまして。宜しくお願いします」
「それと、ラシアン、眼帯取れたんだね良かった」
「シュバイツ殿下のお蔭です」
「そっか」
『シュンスケ、場所を提供してくれてありがと』
「もちろんだよアマビリータ。こっちへどうぞ」
精霊王の椅子を俺が引く。
『うん』
そこへスフィンクスが紅茶を皆に入れ直していく。
父さんが蜂蜜の瓶を開けてアマビリータに入れてやってる。
『ありがと』
「ミルクもいるでしょ」
『うん』
新たに増えた二人が座って落ち着いた後で、
「じゃあ、始めようか」
そう言って父さんがアーリマンの前に例の道具を置く。
「ここに右手でいいかな、掌を真ん中においてね」
「はい……」
魔道具の上に表示されたアーリマンのステータスを、身を乗り出した精霊王《アマビリータ》がちょいちょいと書き換えていく。
“俺のステータスもあーやって書き換えてくれたらいいのに”
父さんに念話をとばす。
“駿介みたいな複雑な数字のステータスは無理だよ”
“そうなの?”
“僕の何倍も項目があるんだもん”
“へ?”
“駿介のスキルの種類だって僕の三倍ぐらいあるし”
父さんをある意味超えてた?
念話の会話で知った事実。
“たとえば、僕は料理は出来ないしね、錬金術とか絶対無理だし”
“本当?”
“ふふふ、自慢の息子だよ”
“ちょ!恥ずかしいからやめて”
“誰も聞いてないって!”
そうかな?
“さすがシュンスケだな”
!ウリサには聞こえてたみたい!
父さん!念話のチャンネルをオープンにしないで!
“うっ……、内緒でお願いします”
「ふっ」
ピーガチャガチャ ガコン
『出来たほら、握ってみて』
「はい」
「どれどれ……マナザダンって名前にしたんだ」
「マナザダン、マナザダン、マナザダン」
アーリマンだった人が何度も唱えている。
『マナザダン。解放された人って意味だよ』
アマビリータが美しくも可愛い笑顔で言う。
「マナザダン。いい名前ジャン」
「うん、マナザダンって言いにくいけど、アマビリータ様が考えてくれたのがとても嬉しい」
『そうだな、僕も妖精の名前を考えたのなんて初めて!』
「そうなの?」
『そう。ブランネージュみたいに親になったことも無いしね』
「ふふふ」
父さんが俺を見て笑ってるのが少しくすぐったいぜ。
『ただ、まだマナザダンは完全に解放するわけにはいかないけどね』
「わかってる、アマビリータ様」
テーブルで俯くマナザダンの肩に手を置く。
「もうちょっと待ってね、何千年も不自由だっただろうけど、解放してもらえるように頑張るから」
「シュンスケ。ありがとう。でも無理するなよ」
「うん。もちろん」
『じゃあそろそろ戻ろうか。行こうマナザダン』
手を差し伸べる妖精王についていく解放された妖精。
立場や年齢?の差はあるだろうけど、仲良く出来るならちょっとうらやましいかも。
「シュンスケたのむよ」
「アマビリータ様これを」
ウリサが事前に準備していた袋を渡す。
『これは?』
「スフィンクス様たちがそこの畑で育てた野菜と、塩や食用油、調味料類です」
『わあ!ありがとう』
「悪魔たちを討伐するまでは出られないかもと思って。でも必要なものがあればいつでも言って。もうあっちには風の精霊もいるし」
『うん!』
ガチャリ
『おや、お帰り。二人とも』
『只今ガオケレナ』
「ただいまです」
お母ちゃんと二人の息子って感じか。
『王子もありがと。まだお願いすることがあるみたいやけど』
「うん、まかせて!」
『また、いつでもチャイを飲みに来てな』
「お伺いするね!」
扉を開けたまま、俺のアナザーワールドとガオケレナの中の部屋で会話。
『「じゃ!」』
バタン
「ふう、よかったね」
「うん」
「今の方が?」
カラコルム殿下が猫耳をぴくぴくしながら聞く。
「ガオケレナ様だよ」
「〈包容力〉って感じの方ですな」
ラシアンの表現がぴったりなので皆で頷く。
「でしょ、あのあたり一帯の皆のお母さんだよね」
「さて、僕も帰るよ」
父さんが立ち上がる。
国王陛下は忙しいのだ。
「うん、じゃあ」
「あまり無茶をするなよ」
空間魔法が得意な父さんでも俺の固有空間から自分では出入りできないらしい。
スフィンクスやクインビーは出来るんだけどねぇ。
ガチャリ
扉の向こうから冬の風が入り込んできた。
「もう、これからもっと寒くなるって言うのに!さらに北国のロードランダなのに、衣類がないなんて」
「古着でいいから!お買い物助けてあげて!」
「アリサさん宜しくお願いします」
「もちろんいいわよ。女同士買い物楽しみましょう!」
「はい!」
“あたしもかいものつきあうぅ”
「黄色ちゃんはお菓子でしょ」
“てへ”
“ろーどらんだの、おしゃれなふるぎやさんしってるわよ!”
「ほんと?緑色ちゃん!」
“こーでぃねーとはまかせて”
「まあ、たのしみ!紫色ちゃん」
女の子精霊ちゃんもショッピングが好きだったのか。
ドルジへの当面の生活費や小遣いは父さんのポケットマネーから出していただきました。内緒だよ。
そして俺は今度は、ペルジャー王国の二人に会いに行った。
ドルジやアーリマンの話を纏めてたのと、シュメル山脈の内側の自然が復活したので、そこにも精霊ちゃんが沢山滞在できるようになった。
精霊ちゃん達によると、束縛から解放されたミノタウロスは西側の森や内側のもりで穏やかにすごしているようだ。
そこで問題が一つ。俺はあの穏やかになっていったミノタウロスとコミュニケーションしたことで、もうあいつらが食材には見えなくなっちゃったって事かな。まあ、この世界に旨いものはたくさんあるので、良いけどさ。
動物とかと話せるようになるスキルもあまり使わない方がいいよな。自重しよう。
それから、ベルアベルで悪魔に操られていたゴブリンを数人スカウトしている。
あっちこっちで作業させているゴブリンは十人だけじゃ全然足りないんだもん。
まずは、アナザーワールドの進化済みの先住先輩のホブゴブリンに指導してもらいながら、ゴブリン舎を増設。そして、簡単な読み書きと計算も指導。もちろん避妊の投薬もね。
ペルジャーの要人全員を集めて要所が手薄になると困るので、王太子のカラコルム フォン ペルジャーと、ベルアベル町のギルマスのラシアンを呼んで、アナザーワールドの食堂で、これまでの経緯を伝えた。食堂って応接よりミーティングに向いてるよね。
アナザーワールドでペルジャーの王太子とギルマスのラシアンに、四千年前の話と、千五百年前の話をした。もちろん俺の夢で見たものじゃなくて、きちんと父さんやアマビリータから聞いた話としてね。
「と、言うことはアーリマンは四千年前には世界樹の中で保護されていて、今、その名前を騙るのは他の存在だと」
王太子も王家に代々伝わる戦の歴史の中の事実との違い驚いていた。
「うん、だってアーリマンってこの人」
俺の隣の席で俯いている中位妖精の本人を示す。
「確かに悪魔ではなくて、若いエルフという感じですな」
「でしょ?それにほら見える?アーリマンは妖精だから、それっぽい羽が生えてるんですよ」
と言いながら本人にすこし上半身をひねってもらう。
「おお、シュバイツ殿下とはまた違った美しさですな」
そう言われてすこし耳が赤くなるアーリマン。
「そ、そんなことはないぜ」
俺も今朝気が付いたんだけど、おっさん妖精と違ってアーリマンには羽が生えていたんだ薄っすら。トンボや虫のような俺の翅とは違って、ホロセロファンみたいな虹色の四枚翅。
ただ、この羽根は魔法の補助的な役目があるだけで、飛翔にはつかえないそうだ。
「我々も、対アーリマンとして武器や物資を流しておりました」
「うん。だからね、俺はこの後プリネイ国とキティー公国へ真実を見に行ってこようと思っているんだ」
「……ウリサとお二人でですか?」
「うん」
「それは少なすぎないか。ギルドからSランクを紹介して同行しても」
「ああ、もちろんペルジャー共和国から依頼料をかき集めて依頼するよ!」
「大丈夫、二人に見えてすごく沢山いるんだよ」
“たくさんいるよ~”
“あたしもてつだう”
“がおけれなさまのまわりにもふえた!”
“てつだうぜ”
“まかせろ”
「ははは、確かに数えきれないな」
「だよね」
ウリサが精霊ちゃん達皆と笑っている。尊い風景だ。
「お願いしたいのは、あなた達は今まで通り、悪魔の手下の雑魚から人々を守ってほしいぐらいかな。プリネイ国にはまだ一般国民もいるようだからそっちも心配だしね」
「それはもちろんです。
父からは我が国と共和国全体として報酬をご用意すると言ってますので、何卒よろしくお願いします」
「それから、このアーリマンは改名させるんだ」
「改名ですか?」
「名前のある妖精の改名ってどうするんだ?って思ってたんだけど、妖精王が上書きしたら出来るらしくって、いまアマビリータさんが考え中なんだよね」
そうしてアーリマンを見る。
「はい。もともとこの名前はあのタローマティがつけたもの。だけど、一度名前を得たら捨てることはできないそうで、上書きならできそうだと」
「なるほど、妖精王が……」
「うん……って、あ、もういいの?」
黄色ちゃんから合図。
食堂の扉をガオケレナの空間へつなげる。
コンコンコン
「はいどうぞ!」
ガチャリ……ってあれ?
「父さんも?」
「うん、なじむまでこれがあった方がいいと思って」
冒険者ギルドにもある、ステータスのタグを作る道具一式を持ってきた。
そう、身分証はもちろん国家のトップの元で作ることが出来るからね。
「これは、ブランネージュ国王陛下とアマビリータ妖精王」
「すごい、元精霊王と妖精王が揃うなんて」
「こんにちはえっと、カラコルム フォン ペルジャー王太子殿下だね。初めまして」
「初めまして。宜しくお願いします」
「それと、ラシアン、眼帯取れたんだね良かった」
「シュバイツ殿下のお蔭です」
「そっか」
『シュンスケ、場所を提供してくれてありがと』
「もちろんだよアマビリータ。こっちへどうぞ」
精霊王の椅子を俺が引く。
『うん』
そこへスフィンクスが紅茶を皆に入れ直していく。
父さんが蜂蜜の瓶を開けてアマビリータに入れてやってる。
『ありがと』
「ミルクもいるでしょ」
『うん』
新たに増えた二人が座って落ち着いた後で、
「じゃあ、始めようか」
そう言って父さんがアーリマンの前に例の道具を置く。
「ここに右手でいいかな、掌を真ん中においてね」
「はい……」
魔道具の上に表示されたアーリマンのステータスを、身を乗り出した精霊王《アマビリータ》がちょいちょいと書き換えていく。
“俺のステータスもあーやって書き換えてくれたらいいのに”
父さんに念話をとばす。
“駿介みたいな複雑な数字のステータスは無理だよ”
“そうなの?”
“僕の何倍も項目があるんだもん”
“へ?”
“駿介のスキルの種類だって僕の三倍ぐらいあるし”
父さんをある意味超えてた?
念話の会話で知った事実。
“たとえば、僕は料理は出来ないしね、錬金術とか絶対無理だし”
“本当?”
“ふふふ、自慢の息子だよ”
“ちょ!恥ずかしいからやめて”
“誰も聞いてないって!”
そうかな?
“さすがシュンスケだな”
!ウリサには聞こえてたみたい!
父さん!念話のチャンネルをオープンにしないで!
“うっ……、内緒でお願いします”
「ふっ」
ピーガチャガチャ ガコン
『出来たほら、握ってみて』
「はい」
「どれどれ……マナザダンって名前にしたんだ」
「マナザダン、マナザダン、マナザダン」
アーリマンだった人が何度も唱えている。
『マナザダン。解放された人って意味だよ』
アマビリータが美しくも可愛い笑顔で言う。
「マナザダン。いい名前ジャン」
「うん、マナザダンって言いにくいけど、アマビリータ様が考えてくれたのがとても嬉しい」
『そうだな、僕も妖精の名前を考えたのなんて初めて!』
「そうなの?」
『そう。ブランネージュみたいに親になったことも無いしね』
「ふふふ」
父さんが俺を見て笑ってるのが少しくすぐったいぜ。
『ただ、まだマナザダンは完全に解放するわけにはいかないけどね』
「わかってる、アマビリータ様」
テーブルで俯くマナザダンの肩に手を置く。
「もうちょっと待ってね、何千年も不自由だっただろうけど、解放してもらえるように頑張るから」
「シュンスケ。ありがとう。でも無理するなよ」
「うん。もちろん」
『じゃあそろそろ戻ろうか。行こうマナザダン』
手を差し伸べる妖精王についていく解放された妖精。
立場や年齢?の差はあるだろうけど、仲良く出来るならちょっとうらやましいかも。
「シュンスケたのむよ」
「アマビリータ様これを」
ウリサが事前に準備していた袋を渡す。
『これは?』
「スフィンクス様たちがそこの畑で育てた野菜と、塩や食用油、調味料類です」
『わあ!ありがとう』
「悪魔たちを討伐するまでは出られないかもと思って。でも必要なものがあればいつでも言って。もうあっちには風の精霊もいるし」
『うん!』
ガチャリ
『おや、お帰り。二人とも』
『只今ガオケレナ』
「ただいまです」
お母ちゃんと二人の息子って感じか。
『王子もありがと。まだお願いすることがあるみたいやけど』
「うん、まかせて!」
『また、いつでもチャイを飲みに来てな』
「お伺いするね!」
扉を開けたまま、俺のアナザーワールドとガオケレナの中の部屋で会話。
『「じゃ!」』
バタン
「ふう、よかったね」
「うん」
「今の方が?」
カラコルム殿下が猫耳をぴくぴくしながら聞く。
「ガオケレナ様だよ」
「〈包容力〉って感じの方ですな」
ラシアンの表現がぴったりなので皆で頷く。
「でしょ、あのあたり一帯の皆のお母さんだよね」
「さて、僕も帰るよ」
父さんが立ち上がる。
国王陛下は忙しいのだ。
「うん、じゃあ」
「あまり無茶をするなよ」
空間魔法が得意な父さんでも俺の固有空間から自分では出入りできないらしい。
スフィンクスやクインビーは出来るんだけどねぇ。
ガチャリ
扉の向こうから冬の風が入り込んできた。
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