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第一章 ~始まりの章~
〈7〉初めての夜。異世界の。
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食堂でほかの冒険者と話してたゴダを拾って、ギルドからほど近い二階建てのテラスハウスの彼らの宿に来た。日本の下町にあるようなアパートみたいな外観だった。
二階に上がってドアを開けると2DKの一口しかないコンロと流しのキッチン、トイレとシャワーのついた住戸だ。中は思ったより広い。
異世界ものではよくライフラインが未発達なんてお話があるけど、ここは、上水道と下水道がしっかりしていて、それだけでも潤いのある生活ができるってもんだよね。
ただ、上水道は川の上流のほうから引っ張っているらしくて、時々フィルターというかゴミ除けネットが破れて、蛇口から小魚が出てきたりシャワーが詰まったりするそうだ。それはちょっと怖い。
それでも、シャワーや風呂付きって異世界じゃ珍しいのでは?母さんのコレクションの本とかで読んだ限り。
「このシャワー、水しか出ないから」
なぬ。
荷物を置いて服を着たままで水回りの説明をされる。
「お湯は、火魔法の属性のある人用の蛇口がこっちにあってね、私たちはそれをひねっても何も出ないんだ。キッチンで沸かしたお湯を持っていくしかないんだよね」
「ふーん」
と言いながら、肩ぐらいの位置にある二つ並んだカランのうち、赤いぽっちの付いた方に手を触れてみる。
ザー
触れただけだよ?ひねってないよ。
「ひゃあ!」
「うぁ。ごめんなさい!」
思わず手を放す。
「大丈夫!って、温かいお湯が出るじゃん。シュンスケ、火の属性あるのね」
そういえばさっきステータスに全属性とあったな。
「じゃあ、シュンスケそこにいて!」
アリサだけがさっとシャワー室から出る。
「はい?え、うわ」ちょっと。俺も濡れてて気持ち悪いんだけど!このままって。
バサバサバサと音がしたと思ったら、全裸になったアリサがシャワーに入ってきた。
「これで暖かいシャワーが浴びれるぅ♪」
ちょ、俺がいるんだけど。思わず手で目を隠す。
「シュンスケも!」
と言いながらアリサが俺の服を脱がしにかかる。
「え、ちょっと、アリサさん」
「いいから!ハイ万歳!」
万歳のポーズはこっちでも同じなのか。
抵抗しようとしたら、アリサのあっちこっちを触ってしまうので観念して脱がされる。
そして、衝撃の事実が。
アリサは革鎧で締め付けてたのか、結構な大きさだった。背が低めのグラマーさん。
そして、俺の息子はつるつるになって小さくなっていた。大ショック。
まあ、さっきトイレで分かってたけどな。
お湯のほうのカランを持たされる。だんだん熱くなってきて、途中から水のカランをひねって丁度良い加減のお湯に調節した。このシャワーって、押さえ続けていないとお湯でないのかな。
石鹸はない。あら塩を振りかけられた。口にお湯と一緒に入ってきて、しょっぱい!その上ヘチマのような束子で背中をこすられる。ちびっこになってしまった柔肌には結構きついかも。
「痛いです」
「がまんがまん。あーそれにしてもいいお湯ね」
俺を洗い終えると、
「ちょっと悪いけどもう少しお湯出してて」
ずっと押さえてて、だるいんですけど。
一応腰回りだけはタオルで隠させてもらって、アリサを見ないように目をつぶってお湯だし係を続ける。
石鹸はないのに、暖かい湯気とともにアリサから良い匂いがする。こんなシチュエーションで・・・子供でよかった。
アリサがシャワーから出ても、続けざまにウリサとゴダの給湯器をさせられて、最後のほうはちょっとのぼせかけた。
ゴダの体臭は、ヘチマでこすってもそんなに良くならない。めっちゃ臭いってわけではないけど、男臭が残ってた。従弟って言ってたけど、ウリサとはDNA全然違うのか?
「ウリサの兄貴も魔法使えるけど、風魔法だけだからな。久しぶりにお湯で洗えてよかったよ」
ゴダの笑顔に思わず笑い返す。お役に立てて、ヨカッタデス。
ポーチから出した昔のパジャマに着替えが終わって湯冷ましを飲んでいると、ウリサに聞かれる。
「ずっと湯を出してくれていたけど、疲れたとかないか?」
どうだろ。今日は色んな事が有り過ぎた割にはアドレナリンでも出ているのか、疲れなんか感じてない。
「疲れとか?良くわからないです」
「そうか。子供ってのは、ぶっ倒れるぎりぎりまで疲れを自覚することなく動くんだ。
疲れたと自覚する前に休めよ」
今日あったばかりの俺にも、兄ちゃんのように気遣って、また、頭を撫でてくれる。
出会った時と違って優しいのがちょっとくすぐったい。
「はい、ありがとうございます」
「あと、もうちょっと、砕けた言葉遣いでも良いんだけど、ま、そのうち馴染むかな」
その後、アリサがひとりで使っている方の部屋で寝ることになって、危うく抱き枕にされかけたけど、二段ベットなので、上の空いている段に逃げて布団に潜った。
このまま朝が来て、夢落ちだった目覚めを半分期待しながら、目覚めても異世界に入れることを残りで期待して。さすがに色々疲れていたのか、枕が変わったというのに秒で寝落ちた。
そうして、異世界に来ての一日目が終わった。
二階に上がってドアを開けると2DKの一口しかないコンロと流しのキッチン、トイレとシャワーのついた住戸だ。中は思ったより広い。
異世界ものではよくライフラインが未発達なんてお話があるけど、ここは、上水道と下水道がしっかりしていて、それだけでも潤いのある生活ができるってもんだよね。
ただ、上水道は川の上流のほうから引っ張っているらしくて、時々フィルターというかゴミ除けネットが破れて、蛇口から小魚が出てきたりシャワーが詰まったりするそうだ。それはちょっと怖い。
それでも、シャワーや風呂付きって異世界じゃ珍しいのでは?母さんのコレクションの本とかで読んだ限り。
「このシャワー、水しか出ないから」
なぬ。
荷物を置いて服を着たままで水回りの説明をされる。
「お湯は、火魔法の属性のある人用の蛇口がこっちにあってね、私たちはそれをひねっても何も出ないんだ。キッチンで沸かしたお湯を持っていくしかないんだよね」
「ふーん」
と言いながら、肩ぐらいの位置にある二つ並んだカランのうち、赤いぽっちの付いた方に手を触れてみる。
ザー
触れただけだよ?ひねってないよ。
「ひゃあ!」
「うぁ。ごめんなさい!」
思わず手を放す。
「大丈夫!って、温かいお湯が出るじゃん。シュンスケ、火の属性あるのね」
そういえばさっきステータスに全属性とあったな。
「じゃあ、シュンスケそこにいて!」
アリサだけがさっとシャワー室から出る。
「はい?え、うわ」ちょっと。俺も濡れてて気持ち悪いんだけど!このままって。
バサバサバサと音がしたと思ったら、全裸になったアリサがシャワーに入ってきた。
「これで暖かいシャワーが浴びれるぅ♪」
ちょ、俺がいるんだけど。思わず手で目を隠す。
「シュンスケも!」
と言いながらアリサが俺の服を脱がしにかかる。
「え、ちょっと、アリサさん」
「いいから!ハイ万歳!」
万歳のポーズはこっちでも同じなのか。
抵抗しようとしたら、アリサのあっちこっちを触ってしまうので観念して脱がされる。
そして、衝撃の事実が。
アリサは革鎧で締め付けてたのか、結構な大きさだった。背が低めのグラマーさん。
そして、俺の息子はつるつるになって小さくなっていた。大ショック。
まあ、さっきトイレで分かってたけどな。
お湯のほうのカランを持たされる。だんだん熱くなってきて、途中から水のカランをひねって丁度良い加減のお湯に調節した。このシャワーって、押さえ続けていないとお湯でないのかな。
石鹸はない。あら塩を振りかけられた。口にお湯と一緒に入ってきて、しょっぱい!その上ヘチマのような束子で背中をこすられる。ちびっこになってしまった柔肌には結構きついかも。
「痛いです」
「がまんがまん。あーそれにしてもいいお湯ね」
俺を洗い終えると、
「ちょっと悪いけどもう少しお湯出してて」
ずっと押さえてて、だるいんですけど。
一応腰回りだけはタオルで隠させてもらって、アリサを見ないように目をつぶってお湯だし係を続ける。
石鹸はないのに、暖かい湯気とともにアリサから良い匂いがする。こんなシチュエーションで・・・子供でよかった。
アリサがシャワーから出ても、続けざまにウリサとゴダの給湯器をさせられて、最後のほうはちょっとのぼせかけた。
ゴダの体臭は、ヘチマでこすってもそんなに良くならない。めっちゃ臭いってわけではないけど、男臭が残ってた。従弟って言ってたけど、ウリサとはDNA全然違うのか?
「ウリサの兄貴も魔法使えるけど、風魔法だけだからな。久しぶりにお湯で洗えてよかったよ」
ゴダの笑顔に思わず笑い返す。お役に立てて、ヨカッタデス。
ポーチから出した昔のパジャマに着替えが終わって湯冷ましを飲んでいると、ウリサに聞かれる。
「ずっと湯を出してくれていたけど、疲れたとかないか?」
どうだろ。今日は色んな事が有り過ぎた割にはアドレナリンでも出ているのか、疲れなんか感じてない。
「疲れとか?良くわからないです」
「そうか。子供ってのは、ぶっ倒れるぎりぎりまで疲れを自覚することなく動くんだ。
疲れたと自覚する前に休めよ」
今日あったばかりの俺にも、兄ちゃんのように気遣って、また、頭を撫でてくれる。
出会った時と違って優しいのがちょっとくすぐったい。
「はい、ありがとうございます」
「あと、もうちょっと、砕けた言葉遣いでも良いんだけど、ま、そのうち馴染むかな」
その後、アリサがひとりで使っている方の部屋で寝ることになって、危うく抱き枕にされかけたけど、二段ベットなので、上の空いている段に逃げて布団に潜った。
このまま朝が来て、夢落ちだった目覚めを半分期待しながら、目覚めても異世界に入れることを残りで期待して。さすがに色々疲れていたのか、枕が変わったというのに秒で寝落ちた。
そうして、異世界に来ての一日目が終わった。
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