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第9章

英検合格者続出!

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英語専門の塾にした理由のひとつには他の塾との差別化というのもあるが、大山は英検合格者を増やし「大山のいる英語塾に通えば英検に合格できる」というのをアピールしたかった。

英語専門の塾にした頃、大山からうちの塾でも英検が受けられるように日本英語検定協会に資料を送って英検を受験できるようにして、大山の授業を受けている受講生にはほぼ強制的に英検を受けさせるようにした。

当時はまだ小学生の英語が必須科目ではなかったが、大山の授業を受けている小学生のほぼ100%が5級には合格していたし、70%が4級に合格していた。

少数ではあるが、小学生で3級に合格した生徒もいた。

私は英語を専門に教えていたわけではないので全くわからないが、大山の英検に合格させるノウハウは凄かった。

基本、小中高生対象の英語専門の塾ではあったが、大山の評判が広がり、社会人の方から「英検の2級を取りたいので教えていただけますか」といった問い合わせもあった。

少数ではあったが、大学生や社会人を対象とした授業を行っていた。

社会人の方には大山が最も出題しそうな問題集をやってもらって解説していくような感じで進めていた。

大山の英語の指導スタイルを見てもグループ指導の英語と個別指導の英語では全くスタイルが違っていた。

グループは小中学生だったが、「英語は楽しいものなんだよ」とアピールするかのように、みんなが楽しい気分になるような感じで進めていたが、個別の時は個々のレベルに応じて問題をやらせ自らやる気をだして問題を解いていかなければできるようにはならないよと教えていた。

そんな大山の努力もあり、1年で英語専門の塾としてはそこそこ知名度のある塾になった。

大山の大きな欠点といえば片付けられない男なのである。教室内もパッと見たらキレイなのであるが、ブースの裏側は大山の教材等の私物でぐちゃぐちゃなのである。  

大山は多忙だったので、家には帰らず教室で寝泊まりしていたのも汚い原因だったのかも知れないが、ブースの裏側はまるで豚小屋同然だった。

ある日、ブースの裏側があまりにも汚かったので私が片付けようとしたら、1枚のメッセージ付きの手紙が落ちていた。

大山に宛てた女性からのメッセージだったが、「大山さん、今日は癒して頂きとっても楽しかったです。ありがとう♥️また、来てくださいね💖」

そんな感じのメッセージだった。大山が来た時、それを渡すと少し焦っているような表情にも見えた(続)
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