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第54章

美妃の反抗期?

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現在、美晴は中学1年生、美妃は小学校4年生になっていた。

これまで美晴は多少の反抗期はあったものの、美妃はほとんど反抗期もなく素直でやさしい女の子だった。

ミキ「美妃は本当に手がかからないわよね」

ソウハル「そうだね。美晴は家出をしたり、多少なりとも反抗期はあったけど美妃は素直でいい子だよね」

ソウハル一家では赤ん坊の頃からソウハルが美晴や美妃をお風呂に入れて体を洗ってあげることが多かった。現在、美晴は体も発達してきたので小6の頃から一緒にお風呂に入ることもなくなったが、まだ美妃とは一緒にお風呂に入ることも多かった。

ミキ「美妃、おふろ沸いたわよ。お父さんと一緒に入っちゃいなさい」

美妃「そろそろ私一人でお風呂に入りたい」

ミキ「えっ、こないだはお父さんと一緒に入るって言ってなかった?」

美妃「う~ん、だってもうクラスのお友達はみんな一人で入ってるって言ってたよ」

ミキ「わかったわ」

ソウハルはミキから「美妃は一人でお風呂に入りたいみたい」と聞いてショックを受けていた。それはつい先日まで「お父さんと一緒にお風呂に入る」って言って楽しそうな表情をして入っていたからである。もちろん、ソウハルもいずれは美妃と一緒にお風呂に入れなくなるのはわかっていたが、こんなにも早く一緒に入れなくなるとは思ってもいなかった。

美妃が最近急に態度が変わりだしたのにはいくつかの理由があった。1つ目は学校のお友達と話していると「うちのお父さんなんだかちょっとうざいのよね」といっている子も多く、いわれてみると確かにソウハルが少しウザいなって感じることも多かった。ソウハルは学校のことや友達のことなどいろいろ質問してくるので、美妃は「少しホッといてよ」という気持ちになっていた。また、ソウハルのことを私は「お父さん」って読んでいるのに、ソウハルはいつも「美妃ちゃん」と呼んでいるのも気にくわなかった。美妃は自分がずっと子ども扱いされているような感じがして、「美妃ちゃん」って呼ぶソウハルのことをだんだんきもいと感じるようになっていた。

ソウハル「美妃ちゃん、今日の音楽祭どうだった?」

美妃「(はぁ)う~ん、どうにか失敗せずに上手くいったよ」

ソウハル「それなら良かった。美妃ちゃん、一生懸命頑張ってたもんね」

美妃は何も言わずに自分の部屋にいってしまった。小3の頃までは美妃の方からソウハルに学校のことなどについて積極的に話しをしていたが、最近美妃の方から話しかけてこなくなった。

ソウハル「最近、美妃ちゃん自分から話しかけてこないんだよね」

ミキ「あの子も小4でしょ。だんだん大人になってきたのよ」

ソウハル「そうかもしれないね」

ミキ「それとそろそろ美妃ちゃんって呼ぶのはやめたら」

ソウハル「やっぱりちゃんづけだと子ども扱いされているように感じるのかな?」

ミキ「私は母にずっと育てられてきたからわからないけど、女の子ってどうしてもお父さんを避けたがるような時期ってあるのよ」

ソウハル「少しは放っておくぐらいの方がいいのかな?」

ミキ「そうね。様子を見ましょう」

ソウハルとミキは10歳ぐらいから起こる女の子の心理などについても色々調べてみた。女の子は10歳までは恥ずかしがらずに積極的に人と関わり合おうとして自己肯定感が高いのですが、10歳をピークに自己肯定感が下がっていき人と関わり合いたいという気持ちも低下していくようです。また、女の子はヨコにつながった人間関係を心地よく感じる傾向が強く、周りの友達の意見を同調することによって自分の居場所を確保しているようです。

ソウハル「僕が変わらないといけないみたいだね」

ミキ「そうね。これから大人になる一人の人格として認めて、ヨコの関係を築いてあげることね」

ソウハル「少し距離を取って目をかける接し方へとチェンジしていくよ」

ミキ「美妃を一人の女性としてしっかり接してあげないとね」

それ以降、ソウハルは美妃ちゃんと呼ぶのはやめて「美妃」と呼ぶようにした。さらに娘の部屋に勝手に入ったり、裸で部屋をうろついたりすることもやめた。そんな生活を数カ月続けていたので、ほとんどソウハルと美妃が話しをすることはなくなった。

美妃「最近、お父さん少し変わったよね」

ミキ「えっ、どこが変わったの」

美妃「美妃ちゃんとも呼ばなくなったし、お父さん全然、話しかけなくなってきたよ」

ミキ「お父さんも忙しいんじゃないの?」

美妃「そうなのかな?」

ミキ「気になるんなら美妃の方から話しかけてみたら」

美妃「うん」

美妃が学校の友達のことなどについてソウハルに話しかけてみると、ソウハルは親身になって美妃の話しを聞いてくれた。

美妃「お父さん、最近全然話しかけてくれないからどうしたのかなって思ったよ」

ソウハル「美妃もだんだん大人になってきたからあんまり僕の方から話しかけるのもどうなのかなって」

美妃「お父さん、いろいろ気を使ってくれてありがとう」

ソウハル「どういたしまして」

その会話がきっかけで子どもの頃のようではないものの、美妃の方からソウハルに学校での出来事について話すことも多くなり、美妃のソウハルへの反抗期はひとまず終了した(続)



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