4 / 81
第一部
兄弟がいました
しおりを挟む
「ラエリに襲われたですって!?」
父親から状況を説明された母はさっと顔を青ざめさせていた。
ふんふん、あのモンスターはラエリというのか。覚えておこう。あんな目には二度と会いたくないからね。
「でも、すぐに倒したし、ルチアは無事だったぞ?」
「当たり前です!」
ばつの悪そうな顔で母を見下ろした父に対して、母はぷんすかと怒っている。
「ああっ、もう。巣が真っ黒だわ。お引越ししないと……」
巣は父がドラゴンブレスだか、魔法だかでラエリと一緒に焼き払ってしまったのだ。
私もこんな焦げ臭くて、嫌な記憶のある場所では寝たくない。
まだ怒っているらしい母は冷たい態度で父に告げる。
「イーヴォ、一旦家に戻りましょう。今から巣をつくっていては間に合わない」
「ああ、そうしよう」
いつの間にかお引越しが決定していたようです。というか家があるなら、どうして私はこんな場所で育てられているんだろう。今度は安全な場所だといいなぁ。
「キュイ?」
唐突に首筋辺りを噛まれ、身体が持ち上がった。
ふあぁ。視界が高い。
私の身体は母によってネコの子供のように運ばれる。
母は力強く、それでいて優雅に羽ばたいて、どんどん上昇していく。
地平線が見えた。
端っこが丸く見えるということは、やはりここは地球のような惑星なのだろうか。
見渡す限りに険しい山と森が広がっていて、街や海らしきものは見えなかった。ずいぶんと高いところまで昇っているはずなのに、まったく寒さは感じない。
真っ赤に染まった太陽が、すぐそばを飛んでいる父の赤い鱗を照らしていた。
息をするのも忘れたように、私はただただ風景に見とれていた。
やがて母はゆっくりと高度を下げ始めた。
森の真ん中に遠くからでもわかるほど大きな木が生えていて、その枝は天に向かって突き刺さらんばかりに伸びている。
私たちはそこに向かっているようだ。ドラゴンの何十倍もある大きさの木の周囲は、ぽっかりと開けていて、土が見えている。
あそこに着地するのかな。
ふわりと地面へ足を踏み下ろした母の隣に、父が大きな音をたてて着地する。
ズシーン。
地響きが森の木々の間に吸い込まれていった。
あれ?
私は周囲を見回してみたけれど、どこにも家らしきものは見えない。
さっきは家に帰ると言っていた気がしたけれど……。
がさがさと音がして、大きな木の幹の間から小さなドラゴンが二匹姿を現した。そのドラゴンたちは母の半分以下の大きさくらいに見える。
「お母さん! おかえりなさい」
「お父さん! おかえりなさあい」
深い緑色の鱗を持つドラゴンと、それよりもひと回り小さなオレンジ色の鱗のドラゴンが、ものすごいスピードでこちらへ飛ぶように近づいてくる。
「マウロ、ティート。ただいま」
母が嬉しそうに小さなドラゴンに挨拶をしている。
もしかして、このドラゴンたちは私のお兄ちゃんになのだろうか? というか兄弟がいたんだね。びっくり。
「わあ、赤ちゃんを連れて来たんだね」
「ちっさ!」
小さなドラゴンたちはわあわあと騒ぎながら私に顔を近づけてくる。あまりにも遠慮なく鼻先でつついてくるので、ちょっと怖くなる。
「ダメよ! この子はまだ小さいのだから」
母は慌てて私の首根っこをくわえて兄弟たちから遠ざけた。
「イーヴォ、見てないで手伝って!」
「ああ、すまん」
それまで存在を忘れ去られていた父が、私を母から受け取った。
「今夜はとりあえずここで休むけれど、明日にはもっといい場所を探しに行くわ」
「どうしてここじゃダメなのさ」
母の宣言に、不満そうなオレンジのドラゴンが口をとがらせる。
「今みたいに、ルチアがもみくちゃにされてしまうからよ、ティート。あなたはルチアに触れずにいられる自信があるの?」
「だってかわいいじゃないか」
かわいいは正義だと言わんばかりに胸を反らせている。
私はドラゴンのかわいいという認識がすごくずれている気がして不安になる。ペルシャ猫みたいに鼻がつぶれているほどかわいいという基準だったらどうしようかと思う。
まあ、ペルシャ猫はかわいいけど、この世界にもいるんだろうか。
自分の顔が見えないので、どんな顔をしているのか全く分からない。鏡とかがあればわかるのになぁ……。
「だからこそなの。ここにいては一族のみんなが押しかけてきてしまうでしょう? こんなに小さいのにみんなにつつき回されては、すぐに死んでしまうの。この子がもう少し大きくなったら大丈夫でしょうけど、今は少し離れている方がいいの」
母は兄弟たちをなだめている。
つまりかわいがり過ぎて、赤ちゃんが死にそうになるから、わざわざ家を離れて子育てをしているということなのだろうか。
わあ、ドラゴンの愛って重すぎる。
兄弟たちのはしゃぐ姿を見ていると、まんざら嘘でもないという気がしてくる。
そんなことを考えていたら、いつの間にか父にくわえられたまま、木の根元にあるうろから内部に入っていた。
来るときに見えた大きな木は内部が空洞になっていた。
せり出したような部分がいくつかあって、寝床になりそうだ。
父はぐっと沈み込むと軽くジャンプして、そのせり出した床の一つに飛び乗った。
そこでようやく首を離してもらって、私は足を床に付けることができた。
床には何かの毛皮が敷かれていて、とても柔らかい。
ふわふわの感触がとても気に入って、私はころりと床に寝転んだ。
「ルチア、まだ寝るんじゃない」
だって眠いんだもん。
「きゅぅ……」
もう、目を開けていられない。
おやすみなさい。ぐぅ……。
眠りながら、なんだかいろんなドラゴンに囲まれていたような気がしたけれど、眠くて気にするどころではない。
食べて、眠って、私は早く大きなドラゴンになるんだからね。
父親から状況を説明された母はさっと顔を青ざめさせていた。
ふんふん、あのモンスターはラエリというのか。覚えておこう。あんな目には二度と会いたくないからね。
「でも、すぐに倒したし、ルチアは無事だったぞ?」
「当たり前です!」
ばつの悪そうな顔で母を見下ろした父に対して、母はぷんすかと怒っている。
「ああっ、もう。巣が真っ黒だわ。お引越ししないと……」
巣は父がドラゴンブレスだか、魔法だかでラエリと一緒に焼き払ってしまったのだ。
私もこんな焦げ臭くて、嫌な記憶のある場所では寝たくない。
まだ怒っているらしい母は冷たい態度で父に告げる。
「イーヴォ、一旦家に戻りましょう。今から巣をつくっていては間に合わない」
「ああ、そうしよう」
いつの間にかお引越しが決定していたようです。というか家があるなら、どうして私はこんな場所で育てられているんだろう。今度は安全な場所だといいなぁ。
「キュイ?」
唐突に首筋辺りを噛まれ、身体が持ち上がった。
ふあぁ。視界が高い。
私の身体は母によってネコの子供のように運ばれる。
母は力強く、それでいて優雅に羽ばたいて、どんどん上昇していく。
地平線が見えた。
端っこが丸く見えるということは、やはりここは地球のような惑星なのだろうか。
見渡す限りに険しい山と森が広がっていて、街や海らしきものは見えなかった。ずいぶんと高いところまで昇っているはずなのに、まったく寒さは感じない。
真っ赤に染まった太陽が、すぐそばを飛んでいる父の赤い鱗を照らしていた。
息をするのも忘れたように、私はただただ風景に見とれていた。
やがて母はゆっくりと高度を下げ始めた。
森の真ん中に遠くからでもわかるほど大きな木が生えていて、その枝は天に向かって突き刺さらんばかりに伸びている。
私たちはそこに向かっているようだ。ドラゴンの何十倍もある大きさの木の周囲は、ぽっかりと開けていて、土が見えている。
あそこに着地するのかな。
ふわりと地面へ足を踏み下ろした母の隣に、父が大きな音をたてて着地する。
ズシーン。
地響きが森の木々の間に吸い込まれていった。
あれ?
私は周囲を見回してみたけれど、どこにも家らしきものは見えない。
さっきは家に帰ると言っていた気がしたけれど……。
がさがさと音がして、大きな木の幹の間から小さなドラゴンが二匹姿を現した。そのドラゴンたちは母の半分以下の大きさくらいに見える。
「お母さん! おかえりなさい」
「お父さん! おかえりなさあい」
深い緑色の鱗を持つドラゴンと、それよりもひと回り小さなオレンジ色の鱗のドラゴンが、ものすごいスピードでこちらへ飛ぶように近づいてくる。
「マウロ、ティート。ただいま」
母が嬉しそうに小さなドラゴンに挨拶をしている。
もしかして、このドラゴンたちは私のお兄ちゃんになのだろうか? というか兄弟がいたんだね。びっくり。
「わあ、赤ちゃんを連れて来たんだね」
「ちっさ!」
小さなドラゴンたちはわあわあと騒ぎながら私に顔を近づけてくる。あまりにも遠慮なく鼻先でつついてくるので、ちょっと怖くなる。
「ダメよ! この子はまだ小さいのだから」
母は慌てて私の首根っこをくわえて兄弟たちから遠ざけた。
「イーヴォ、見てないで手伝って!」
「ああ、すまん」
それまで存在を忘れ去られていた父が、私を母から受け取った。
「今夜はとりあえずここで休むけれど、明日にはもっといい場所を探しに行くわ」
「どうしてここじゃダメなのさ」
母の宣言に、不満そうなオレンジのドラゴンが口をとがらせる。
「今みたいに、ルチアがもみくちゃにされてしまうからよ、ティート。あなたはルチアに触れずにいられる自信があるの?」
「だってかわいいじゃないか」
かわいいは正義だと言わんばかりに胸を反らせている。
私はドラゴンのかわいいという認識がすごくずれている気がして不安になる。ペルシャ猫みたいに鼻がつぶれているほどかわいいという基準だったらどうしようかと思う。
まあ、ペルシャ猫はかわいいけど、この世界にもいるんだろうか。
自分の顔が見えないので、どんな顔をしているのか全く分からない。鏡とかがあればわかるのになぁ……。
「だからこそなの。ここにいては一族のみんなが押しかけてきてしまうでしょう? こんなに小さいのにみんなにつつき回されては、すぐに死んでしまうの。この子がもう少し大きくなったら大丈夫でしょうけど、今は少し離れている方がいいの」
母は兄弟たちをなだめている。
つまりかわいがり過ぎて、赤ちゃんが死にそうになるから、わざわざ家を離れて子育てをしているということなのだろうか。
わあ、ドラゴンの愛って重すぎる。
兄弟たちのはしゃぐ姿を見ていると、まんざら嘘でもないという気がしてくる。
そんなことを考えていたら、いつの間にか父にくわえられたまま、木の根元にあるうろから内部に入っていた。
来るときに見えた大きな木は内部が空洞になっていた。
せり出したような部分がいくつかあって、寝床になりそうだ。
父はぐっと沈み込むと軽くジャンプして、そのせり出した床の一つに飛び乗った。
そこでようやく首を離してもらって、私は足を床に付けることができた。
床には何かの毛皮が敷かれていて、とても柔らかい。
ふわふわの感触がとても気に入って、私はころりと床に寝転んだ。
「ルチア、まだ寝るんじゃない」
だって眠いんだもん。
「きゅぅ……」
もう、目を開けていられない。
おやすみなさい。ぐぅ……。
眠りながら、なんだかいろんなドラゴンに囲まれていたような気がしたけれど、眠くて気にするどころではない。
食べて、眠って、私は早く大きなドラゴンになるんだからね。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる