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第一部
お買い物に行きます
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とりあえずは人の姿になることも、ドラゴンの姿になることも容易に変化できるようになった。
ただ人の姿になると着る服がないので、今のところはドラゴンの姿で過ごしていることが多い。
今日は念願だった下着を調達しに行くのだ。
前世の記憶では綿花を紡いで糸にしたり、羊の毛を紡いで毛糸を作ったりしていた気がするけれど、そこはファンタジーなこの世界。
七色の糸を吐き出す蚕のような魔物や、シルクのような糸を吐き出す蜘蛛がいるそうだ。
けれども、残念なことにその糸を布に加工する技術は私にはない。
ドラゴンは一般的に服を着ることはないので、そういった繊維の加工技術はもちろん、ない。
では変わり者の叔父のように、人の姿で暮らすドラゴンがどうやって服を手に入れているかというと、やはり人の住む街で売っている服を買うということだった。
ならば、私も人の姿に変化して買い物に行きたいと、両親にお願いしたのだが、成竜するまでは人の住むところに行ってはいけないと禁止されてしまった。
あまり両親は人間のことを好きではないようだ。
それも両親の話を聞けば、仕方がないと思う。
人間の中には魔力の高いドラゴンを素材として狩ることを生業とする、ドラゴンハンターなる職業があるらしい。
ドラゴンの爪や角、鱗はもちろん、内臓まですべて魔力を含んでいるので、人間たちが使う魔道具の材料として、かなり高額で取引されるのだそうだ。
もちろんドラゴンと人間が一対一での勝負では圧倒的にドラゴンが強い。
けれども、圧倒的な数で襲われれば負けることもあるし、子供のドラゴンは弱いので狩られてしまうことが何度かあったらしい。
それは怖い。私もできればそんな人とは会いたくない。
成竜となればめったなことで負けることはないので、人が住んでいるところへ行ってもいいと言われた。
ならば叔父に服を買ってきてほしいと頼んでみたのだが、自分のような男が女の子の服を買うのは恥ずかしいと言われ、泣く泣く諦めた。
そんなわけで、他の手段で服を入手する必要があった。
自分で作るのは人間の姿になるのが上手になって、なおかつ機織や裁縫の技術を身につけないと無理だ。
ちょっとばかり私には難易度が高すぎる。
そんな時、母からとてもいいことを聞いた。
森人という種族は服を着ているらしい。
森人は森と共に生きる種族で、ドラゴンに対しても敬意を持っており、共生関係にある。
ドラゴンは森人の町の近くの魔物を退治する見返りに、森人が育てる果物を食料としてもらっているというのだ。
ということは、私がこれまで食べてきた果物は全部森人との取引で得たものだったのだ。
どおりで、いろんな種類の果物があるのにそれを両親が育てている様子はなかったから、どうやって調達しているのかずっと疑問だったが、納得だ。
それを知った私は、両親に頼み込んで森人の住む町に連れて行ってもらうことにした。
ただ人の姿になると着る服がないので、今のところはドラゴンの姿で過ごしていることが多い。
今日は念願だった下着を調達しに行くのだ。
前世の記憶では綿花を紡いで糸にしたり、羊の毛を紡いで毛糸を作ったりしていた気がするけれど、そこはファンタジーなこの世界。
七色の糸を吐き出す蚕のような魔物や、シルクのような糸を吐き出す蜘蛛がいるそうだ。
けれども、残念なことにその糸を布に加工する技術は私にはない。
ドラゴンは一般的に服を着ることはないので、そういった繊維の加工技術はもちろん、ない。
では変わり者の叔父のように、人の姿で暮らすドラゴンがどうやって服を手に入れているかというと、やはり人の住む街で売っている服を買うということだった。
ならば、私も人の姿に変化して買い物に行きたいと、両親にお願いしたのだが、成竜するまでは人の住むところに行ってはいけないと禁止されてしまった。
あまり両親は人間のことを好きではないようだ。
それも両親の話を聞けば、仕方がないと思う。
人間の中には魔力の高いドラゴンを素材として狩ることを生業とする、ドラゴンハンターなる職業があるらしい。
ドラゴンの爪や角、鱗はもちろん、内臓まですべて魔力を含んでいるので、人間たちが使う魔道具の材料として、かなり高額で取引されるのだそうだ。
もちろんドラゴンと人間が一対一での勝負では圧倒的にドラゴンが強い。
けれども、圧倒的な数で襲われれば負けることもあるし、子供のドラゴンは弱いので狩られてしまうことが何度かあったらしい。
それは怖い。私もできればそんな人とは会いたくない。
成竜となればめったなことで負けることはないので、人が住んでいるところへ行ってもいいと言われた。
ならば叔父に服を買ってきてほしいと頼んでみたのだが、自分のような男が女の子の服を買うのは恥ずかしいと言われ、泣く泣く諦めた。
そんなわけで、他の手段で服を入手する必要があった。
自分で作るのは人間の姿になるのが上手になって、なおかつ機織や裁縫の技術を身につけないと無理だ。
ちょっとばかり私には難易度が高すぎる。
そんな時、母からとてもいいことを聞いた。
森人という種族は服を着ているらしい。
森人は森と共に生きる種族で、ドラゴンに対しても敬意を持っており、共生関係にある。
ドラゴンは森人の町の近くの魔物を退治する見返りに、森人が育てる果物を食料としてもらっているというのだ。
ということは、私がこれまで食べてきた果物は全部森人との取引で得たものだったのだ。
どおりで、いろんな種類の果物があるのにそれを両親が育てている様子はなかったから、どうやって調達しているのかずっと疑問だったが、納得だ。
それを知った私は、両親に頼み込んで森人の住む町に連れて行ってもらうことにした。
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