チートなんて簡単にあげないんだから~結局チートな突貫令嬢~

まきノ助

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第1章 アストリア王国に転生

2 初参り

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 ママンの体調が回復して、私の健康にも問題が無さそうなので、城下の神殿に初参りする事になりました。
 因みにパパン・ママンと呼ぶのは、私付きの女官がそう言ってるからで、日本時代の私は普通に「パパ・ママ」と呼んでいました。中学生になってからは、「お父さん・お母さん」だったのです。

 パパン・ママンと一緒に神殿に初参りに行くのですが、沢山の侍従や衛兵が付き従っています。

 私達の馬車の前後を騎馬の衛兵が進みます。その後に、侍従や女官がきらびやかな衣装を着て、徒歩で付いて来ます。
 当然、歩く程のスピードでユックリ進む事になります。
 これはパパンの為の示威行動であるらしいのです。


「城から神殿まで近いのですから、歩いても良かったですのに。馬車で向かうのは結婚式だけと思ってましたわ」

「ふんっ、征服者と元領主の娘の間に、子供が生まれた事を見せ付ける為に決まってるだろう」

「アウアウ、ダァダァ」(パパン、考え過ぎると疲れちゃうよ!)


 沿道には見物人が居並んでるようですが、ママンに抱っこされてる私には見えませんでした。

 神殿前に横付けして馬車を降り、白い石の階段を登ります。石段の上まで来ると2人は振り向いて、パパンは集まってる民衆達に手を振りました。
 ママンは私を抱いてる為、手を振らないでニッコリと民衆達に愛想を振舞っています。


「アウアウ、ダァダァ」(民衆達の反応は結構微妙な感じだね)

「そうよねぇ」


「ふんっ、子供をダシにして、ワシに当てつけおって」

「そんな事はありません。気持ちが通じてるんです」



 神官達が出迎え、神殿長の案内で奥に進みます。

「アウア~ウ」(イタリアの歴史遺産みたい)

「そうでちゅねぇ」

 ママンは私に、一々返事をしてくれます。


「神殿の中なのだ、静かにしなさい」

「はい」
「アウ」(はい)


「今、娘が返事をした……様に感じた」

「そうでちゅねぇ」

「アゥェ~」(ネ~)



 神殿奥の部屋の正面には、女神エイルの像が祭られていました。5メートルぐらいの石像です。この世界は、ほぼ全地域で女神エイルをあがたてまつる一神教らしいのです。

 あとで聞いた話ですが、何百年も前に蔓延した疫病から、顕現けんげんした女神エイルが世界を救ったらしいのです。その為にほとんどの地域で、エイルが神とされてると言うことです。


 神殿長と神官達により、洗礼式がおごそかに執り行われました。


「「有難う御座いました」」
「アウアウ~」


 両親と私は、お礼を言って神殿を後にしました。
 パパンは神殿に、少なからず寄進をしたらしいです。



「今日は有難う御座いました」

「ふんっ、このぐらいはしないと、人心が離れてしまうからな」

「それでも、嬉しいです」

「そうか」


 領主館に帰るとパパンはサッサと1人で自室に消えました。
 私とママンは、女官に湯浴みをして貰います。そして装束師によって、館専用の貴人服に着替えさせて貰いました。

「マリエル、お腹すいたでしょう?」

「アウ~」(は~い)


「たんと召し上がれ」

「アウ~」(は~い)

 ママンは授乳が終わると夕食の為に部屋を出ました。



 しばらくすると女官が入って来て、部屋のランプに【着火】して回ります。

 ボワッ
「アウッ」(魔法だわ!)

 異世界に来て初めて魔法を見ます。なんか結構感動しました。
 私も5歳になったら【着火】したいと思いました。


 女官がランプに【着火】する度に、私は声を発します。

 ボワッ
「アウッ」

 ボワッ
「アウッ」


 女官が気味悪そうに私の顔を覗き込みます。
 彼女はランプが無いのに、私に見えるように【着火】魔法を使いました。

 ボワッ
「アウッ」
「ひっ!」

 女官は私の声に驚きました。

「ビックリしたぁ! お嬢様は火が好きなのかしら?」

「ダァダァ」(ちがうちがう)

 日本では、火遊びするとオネショするって言うのだから。


「それとも、お嬢様は魔法が好きなのかしら?」

「アウアウ」(そうそう)

「『そうそう』って言ってるみたいだわ」

「アウアウ」(そうそう)


「やっぱり『女神の御親友』なのかしらね」

「アウアウ」(そうそう)


「……お嬢様、わたしピアスを失くして困ってます。見つけてくださいませんか?」

「アウアウ」(そうなんだ)


「はぁっ。私、赤ちゃんに何をお願いしてるのかしら……」

 女官は溜息を付きました。


『マリエルちゃん、女官のピアスは、ドア横のチェストの後ろにありますよ』

「アウッ」(はいっ! エイルちゃん、ありがとう)


 私が首をひねりドアの方を見ると、横にあるチェストの下が『ホワン』と丸く光っています。
 私は手を差し出し、女官に目で合図をします。

「アウアウ」(そこそこ)

「お嬢様?」

 女官はいぶかしげにマリエルを抱き上げ、チェストの方へ連れて行きます。


「アウアウ」(そこそこ)

 私は再び手を差し出し、体をよじり、目で合図をします。


「お嬢様? チェストの下の段を開けたいのですか?」

「ダァダァ、ヴゥゥヴゥゥ」(ちがうちがう、うしろうしろ)

 私は体を揺らし、顔を動かし、指を差して、女官をチェストのうしろへ誘導します。
 そして、やっと、女官がチェストの下を覗き込みました。


「まぁっ、私のピアスがありました!」

「アウアウ」(よかったね)


「やっぱりマリエルお嬢様は『女神の御親友』なのですね。私、ジュディはお嬢様に一生付いて行きます」

「アウアウ、アウアウ」(よかったね、エイルちゃんのお陰だよ)


 チュッチュッ!

 ジュディに、頬をいっぱいキスされました。




 辺境伯と言うのは結構な身分らしいの、城も館も服もかなり豪華だわ。
 地位で言うと、伯爵よりは上で、侯爵に匹敵するぐらいの地位らしいわ。
 私はそんな事に全然興味がなかったので、もう少し成長する迄、全然分からなかったけど。




「エイルちゃん、お元気ですか? 私は元気です。
 今日は神殿で洗礼式をしました。神殿にはエイルちゃんの石像が飾ってありました。
 結構上手に作ってあって、エイルちゃんに似て綺麗でした。
 あと、ジュディのピアスを見付けてくれて、どうもありがとう。さすが私のエイルちゃんです。
 それから、裕福な家庭に生まれて生活にも困らないと思います。エイルちゃんに感謝してます、ありがとう。
 それでは、おやすみなさい。
 親友マブダチのマリエルより」



「マリエルちゃん、元気でなによりです。
 私はいつも元気です、病気や疲れる事はありません。
 神殿の石像に付いては不本意です。私は神様から授かった能力を使い、この世界を管理してるだけなので、神として崇められる者ではありません。
 そしてマリエルちゃんの家族に付いては、私が意図した事ではありません。
 私はマリエルちゃんを親友として応援してますね。
 おやすみなさい。
 親友マブダチのエイルより」
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