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第1章 アストリア王国に転生

33 治水とトリュフとサービス回?

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 辺境伯領の治水、溜池拡大、用水路拡張工事は、7月中に終わりました。

 お父様と私の魔法で『エイヤッ』って感じで終わらせたのです。
 現世日本の重機を使った同等の工事より『早い安い上手い』と自画自賛しています、テヘペロ。


 具体的な作業を説明しますね。

①.溜池や用水路で【土人形】ゴーレムを作ると、使った土の分だけ穴が空きます。
その結果として掘削が出来ます。
②.【土人形】ゴーレムに掘削後を整地させます。
③.【土人形】ゴーレムを土手や堤防予定地に移動させます。
④.【土人形】ゴーレムを土手や堤防予定地に寝かせて土に戻します。
⑤.①に戻ります。②③の後に前回の【土人形】ゴーレムを土に戻した場所を整地させます。④⑤と進みます。

 以上を【土人形】ゴーレムに全てやって貰いました。

 土手や堤防の表面は、私の【石化】で崩れ難くします。
 橋や水門は、公費を使い建設します。





 公爵領の工事も魔法少女に変身して手伝おうと思っていますけど、どうやって行こうかなぁ?
 一応貴族令嬢だから、侍従も無しで勝手に移動できませんからね。夜中にピーちゃんに乗ってお忍びで行こうかしらね。

『マリエルちゃん。夜にお忍びで行くなんて御令嬢としてどうかしら。それに暗くて危ないわ!』

「こんにちは、エイルちゃん。魔法使いハリーみたいに、ほおきに乗って行けないかなぁ?」

『椅子もシートベルトも無いから危ないよ、落ちるよ!【空間属性魔法】の【空間操作】で支えながら飛ぶ事に成る訳だし、細い箒の上でバランスを取るのは難しいと思うよ。それなら【空間属性魔法】の【転移】を使った方が安全だし、魔力効率も良いし、合理的なんだから』


「【転移】スキルはケンちゃんが持ってるけどぅ……」

『【転移門】スキルが有ればパーティで一緒に移動できるわね。ケンちゃんの【空間魔法】にプラスしてあげましょう』

「エイルちゃん、ありがとう。ケンちゃんもエイルちゃんに、お礼を言ってね」

「女神エイル様、どうもありがとう。って、何のお礼?」
 通常、ケンちゃんにはエイルちゃんの言葉は聞こえないのです、親友の私だけの特権らしいのです。

「【転移門】ゲートスキルを貰えるんだよ」

「やった~! チートスキルだ~!」


『ケンちゃん、チートなんて簡単にあげないんだから! 今回は公爵領の治水作業で沢山の人を助ける為だから、特別ですからね!』

「はい、若くて美しくて優しい女神エイル様。おひさです、感謝感激です、ありがとうございます」


『えへへへへぇ、必要なんだからショウガナイよね。皆の為だからね~』

「はい、御尤ごもっともです。女神エイル様」

『じゃあ、又ね~』
「さようなら~」


「よぉおしっ! ゲートで移動して、大きくなって、ベルセルクになって無双して、『ヒヤッハー!』出来るぞ~!」

「……良かったねぇ、ケンちゃん」

「うん」

「でも、悪い事はしちゃダメだからね」

「うん、もちろんだよぅ」



 ところで、工事の過程でトリュフを見つけました。
 木々の間がポワンって緑に光って見えて、トリュフと文字が浮かんでいたのです。
 そこの土を丁寧にどけるとトリュフが見付かりました。

 私は、トリュフを見付けた近くのドングリを沢山拾い、別荘に持ち帰り庭の外れに植えました。
 テレビで見た事があるけど、トリュフって胞子で繁殖するはずですよね。
 この傍の木のドングリで木が育てば、トリュフの人工栽培が出来るかもしれません。
 勿論、此処の状態に近い環境を整えてあげましょう。
 マンドレイクに続いてトリュフ栽培も成功したら嬉しいなぁ。


「お父様、トリュフを見つけました。宿主のドングリを別荘の傍に植えでもいいですか?」

「高価なトリュフも人口栽培出来るというのか?」

「はい、やってみる価値は有ると思います」

「そうだな、やってみよう。専属の職員を用意せねばな」

「はい」


 私は夏休みの自由研究をしてる気分になりました。
 テレビやカラオケ、インターネットはありませんが工夫次第で楽しみを見つけられます。
 元の世界との文化の違いで色々と考えます。自転車も作れないかな~。風車とか水車もいいな~。
 因みに、穀物を挽く為の水車はここにもあります。
 貴族は魔力が強いから無くても良いけど、庶民の役には立つでしょうね。



 8月の初めに夏祭りが有ります、秋には収穫祭も有るそうです。
 豊作続きなので毎年派手に成り、参加人数も増え続けていて、屋台も沢山出店するそうです。

 夏祭りに合わせて、クラスメート達が遊びに来ました。
 レオポルド領のお祭りは、亜人も参加し他領と違うので有名だそうです。
 まず、マルグレーテ・ロゼリアル公爵令嬢とモモリル・バクルー伯爵令嬢が一緒に来ました。
 翌日には、第1王子レクシと騎士団長の息子ロズと宰相の息子ブランと将軍の息子セフィと侯爵の息子レイが来ます。

 王都から遠いので、屋敷に停まり込みで遊びに来るのです。

「女の子3人で、湖で泳ぎましょうか?」

「そうですわ、王子達が来たら恥かしいから、今の内に泳ぎましょう」

「そうしましょう」

「「「おほほほほ」」」


「マリちゃん、アニメ化されたらサービス回だね」

「ケンちゃんに【ブラインド】!」

 ピッキィイイイイインッ!

「アグッ! マリちゃん酷いよぅ。ドロワーズにワンピースを着てるだけの水着で、見えてもいいでしょうにぃ!?」

「ダメよ、ケンちゃん。令嬢の裸を見たら不敬罪よ!」

「チェッ、10歳の女の子なのに……可愛いけど、本当は見たいけどさ」


「お嬢様、私はケンちゃんと屋敷でお待ちしてますね」

 専属護衛騎士のルイスがケンちゃんを抱き上げて、別荘に帰って行きました。


 ジュディとメアリィとそれぞれの令嬢の女性傍仕え達が、タオルを持って控えています。
 その他に、それぞれの令嬢付きの女騎士3人が、令嬢3人の護衛に当っているのです。

 実は私にも、新しく女騎士が夏休みから仕えています。
 未婚の令嬢は、女騎士が護衛するものらしいです。

 私の新しい女護衛騎士は、お父様の長兄の娘で、エリザ17歳です。
 彼女は、お父様の長兄エリファズ王国騎士団第9小隊隊長の長女で、私マリエルの専属護衛騎士になりました。

 騎士爵は1代限りの貴族籍で世襲する事が出来ないそうです。
 お父様のご兄弟は皆さん騎士なのですが、子孫の安定の為には上級貴族である辺境伯との繋がりを維持したいようです。

「今更、一族便乗で子孫の安定と出世を狙ってるようじゃ」
 と、お父様がお母様に言ってました。

「仲が悪くても、血縁は切れません。理由は詮索せずに雇って差し上げましょう」

「うむ、良かろう」



 3人は、湖の渚でキャッキャと遊んでいます。
 私は、少し沖に行って平泳ぎを始めました。

「まぁ、マリーは泳げるのですね?」

「はい。2人は泳いだ事は無いのですか?」

「「ありませんわ」」


「泳げるおない年の子供を始めて見ましたわ!」

「大人でも、騎士学校の授業で訓練した者だけが、泳げると聞いてますのに!」

「まぁ、知りませんでした。恥かしいから泳げない事にしといてくださいね」


「王子様にも内緒にするのですか?」

「はい……お願いします」

「おほほほほ、1つ貸しですわね。おほほほほ……」

 モモちゃんが、有利な気分に成ったのか嬉しそうです。
 私は不意にモモちゃんに抱き付き【魅了】しながら囁きます。

「私達は親友ですわ。信頼してますわ!」

「ウグゥ、ドッキンチョですわ……はぁぁ♡」


「マリーったら、水着で抱きついてはいけませんよ! 私なら大丈夫ですけど」
 と言って、グレーテちゃんも私に抱きついてきました。

「まぁ、グレーテも親友ですわ」

「はぁぁ♡そうですわ。ズット親友ですわよ」

 2人供、暫くウットリと余韻に慕ってました。



 浜辺に張ったターフの日陰で、昼食のサンドイッチを食べます。
 午後はお茶をしながら、お喋りを楽しみました。
 クラスメートの噂等をしてる内に3時のティータイムになり、そのまま湖に入らずに別荘に帰りました。

 明日は、王子と男の子達が遊びに来ます。
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