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17 採取場所で魔物出現
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千代とクラインは、翌日も採取場所でカイエンと従者に出会った。
偶々ではなく、彼らが待ち構えていたようだ。
「「おはようございます」」
千代とクラインからカイエンに挨拶する。
「おい小娘、ローリーの珪砂は何故高品質で高く売れるんだ?」
「はい……不純物が少ないからだと思います」
「ふん、採取してる物は同じなのだな?」
「はい、そうです」
「誰が珪砂を精製してるのだ?」
「「……」」
千代とクラインは、お互いに顔を見合わせて黙り込んだ。
「言え、言わんか!」
千代が躊躇いながら口を開く。
「あの……皆さん見習いの時に採取と精製を経験します。誰がという事では無く、皆さん出来ます」
「そうか……という事は、ここ最近はお前が精製していたのだな?」
「……」
「最近、急にローリー工房の製品が注目されるようになったのは、お前が工房に来てからだ。お前が精製しているからだろう?」
「……」
「よし、わしが可愛がってやろう。綺麗な服を着せてやる、美味い物も食べさせてやろう。俺の妾に成れるのだぞ」
千代の体にブルブルと悪寒が走った。
クラインが千代を庇うように前に出る。
「失礼な事を言うな!」
「黙れ小僧、お前には用は無い。おい、痛い目にあわせてやれ」
「へい、旦那」
「あ痛ててっ!」
掴みかかろうとした従者の腕を、逆にクラインがねじ上げた。
「は、離しやがれっ!」
「おチヨちゃんに手を出さないと約束するなら放しましょう」
それを見ていたカイエンが「チッ…」と舌打ちすると、魔石の嵌め込まれた杖をこちらに向けて、何かの呪文詠唱を始める。
「生意気な小僧め、懲らしめてやる。ブツブツブツブツ……」
「遅いっ!」
ドスンッ!
クラインは従者の手を離すと同時に大きく踏み込んで、カイエンの鳩尾に拳を打ち込んだ。そのせいで詠唱はキャンセルされてしまった。
「ウウウ……、こんな事して只で住むと思うなよ!」
「あはは、正当防衛ですよ。先に暴力を揮ってきたのは貴方達ですからね」
「くそっ、引き上げるぞ!」
「へい」
「覚えてやげれ!」
そう言って、カイエン達は小走りで逃げて行ったが……。
「ウギャアアアッ!」
逃げた2人の前を大きな3匹の魔物が遮る。
それは恐ろしい、正しく鬼の形相のオーガだった。
身の丈3メートルはあるだろうか? 手には鉈や鎌を握っている。
1匹のオーガは、片手に人の生首をぶら下げていた。髪の毛を鷲掴みにして、首からドクドクと血がしたたり落ちている。
「ヒィイイイッ! 助けてくれぇぇぇ」
カイエンは腰が抜けて失禁し、口から泡を吹いて気を失った。
従者が1人で逃げようとした瞬間、1匹のオーガの鎌がその脳天に深く突き刺さる。
ズガッ!
「ウギャアアアッ!」
従者は前のめりに倒れて、そのまま動かなくなってしまった。
「おチヨちゃん、僕が時間を稼ぐから早く逃げて!」
「いいえ大丈夫です、一緒に戦います。 【火弾】ファイヤーボール!」
ドドドオオオンッ!
「「「アギャァアアアッ!」」」
千代は連続して3発の【火弾】を放って、3匹のオーガに命中させる。
しかし、大きなダメージを与えたが致命傷には成らなかった。
「インベントリ内の岩を全てオーガの上に取り出し!」
ガラガラガラッ、ドカドカドカッ!
「「「ウガガガガアアアッ……」」」
オーガ達は岩の下敷きに成り、動けず苦しみ呻いている。
「僕が止めを刺そう!」
グサッ、ズガッ、ズッシャッ!
クラインが倒れてるオーガ達の首を剣で斬り、息の根を止めた。
「それにしても、おチヨちゃんの魔法攻撃は……何と言うか……ハンパないね」
「え、怖かったから。夢中になってしまって……」
「そうだよねぇ、怖かったよね」
「……はい」
「しかし、あんなに威力のあるファイヤーボールの三連弾って初めて見たよ」
「そうですか……」
「普通は詠唱するし、クールタイムもあるから、続けて魔法を撃てないよね?」
「まぁ、そうだったんですね」
「こういう魔法は他の人に見せない方がいいよ、勇者としてお城に連れて行かれちゃうかもね」
「それは、絶対に嫌です」
クラインは失神しているカイエンと従者の遺体をロッティの曳く荷車に乗せて、オーガの遺体をマジックバッグに収納した。
「オーガの出現を工房と町に報告しないとね、何かが山で起きてるのだと思うよ」
「はい……」
オーガの遺体を確認したカタランヌ町の長老は、この地域で1番大きな街エルレイダに行き、冒険者ギルドに調査依頼を出した。
早くも翌日、調査依頼を受けた冒険者グループがカタランヌ町にやって来た。
男ばかり4人の冒険者グループ『荒鷲の爪』というパーティだ。
彼らは真っ直ぐに長老の家を訪れた。
「オーガ発生原因を調査に来ました。今回の事はギルドの重要案件と成っています。目撃者に会って詳しい情報を聞かせて頂きたいのじゃが?」
「分かりました。目撃者のいる場所に御案内致しましょう」
長老は彼らをローリー工房に案内して、クラインと千代に引き合わせた。
「オーガに遭遇した場所を詳しく教えてほしい。我々は土地勘が無いので、出来たら案内をお願いしたいんじゃが?」
クラインと千代は顔を見合わせて、
「それでは僕とおチヨちゃんが御案内いたします」
と、言った。
「ん~、危険だから男の子だけでいいじゃろう?」
「いいえ、僕はここに来てまだ日が浅いので、あまり土地に詳しくありません。おチヨちゃんが行った方が良いと思います」
「う~む」
顎の長いリーダーらしき男が、他のメンバーの顔色を窺っている。
「あの、私は大丈夫です。御案内致します」
「そうじゃのぅ……それじゃあ御嬢さんを最優先でお守りするという事で、お願いしようかのぅ。今回は討伐では無く調査だけという事で徹底するとしよう」
「はい」
翌日の早朝、クラインと千代は、冒険者4人と採取場所に向かう事になった。
偶々ではなく、彼らが待ち構えていたようだ。
「「おはようございます」」
千代とクラインからカイエンに挨拶する。
「おい小娘、ローリーの珪砂は何故高品質で高く売れるんだ?」
「はい……不純物が少ないからだと思います」
「ふん、採取してる物は同じなのだな?」
「はい、そうです」
「誰が珪砂を精製してるのだ?」
「「……」」
千代とクラインは、お互いに顔を見合わせて黙り込んだ。
「言え、言わんか!」
千代が躊躇いながら口を開く。
「あの……皆さん見習いの時に採取と精製を経験します。誰がという事では無く、皆さん出来ます」
「そうか……という事は、ここ最近はお前が精製していたのだな?」
「……」
「最近、急にローリー工房の製品が注目されるようになったのは、お前が工房に来てからだ。お前が精製しているからだろう?」
「……」
「よし、わしが可愛がってやろう。綺麗な服を着せてやる、美味い物も食べさせてやろう。俺の妾に成れるのだぞ」
千代の体にブルブルと悪寒が走った。
クラインが千代を庇うように前に出る。
「失礼な事を言うな!」
「黙れ小僧、お前には用は無い。おい、痛い目にあわせてやれ」
「へい、旦那」
「あ痛ててっ!」
掴みかかろうとした従者の腕を、逆にクラインがねじ上げた。
「は、離しやがれっ!」
「おチヨちゃんに手を出さないと約束するなら放しましょう」
それを見ていたカイエンが「チッ…」と舌打ちすると、魔石の嵌め込まれた杖をこちらに向けて、何かの呪文詠唱を始める。
「生意気な小僧め、懲らしめてやる。ブツブツブツブツ……」
「遅いっ!」
ドスンッ!
クラインは従者の手を離すと同時に大きく踏み込んで、カイエンの鳩尾に拳を打ち込んだ。そのせいで詠唱はキャンセルされてしまった。
「ウウウ……、こんな事して只で住むと思うなよ!」
「あはは、正当防衛ですよ。先に暴力を揮ってきたのは貴方達ですからね」
「くそっ、引き上げるぞ!」
「へい」
「覚えてやげれ!」
そう言って、カイエン達は小走りで逃げて行ったが……。
「ウギャアアアッ!」
逃げた2人の前を大きな3匹の魔物が遮る。
それは恐ろしい、正しく鬼の形相のオーガだった。
身の丈3メートルはあるだろうか? 手には鉈や鎌を握っている。
1匹のオーガは、片手に人の生首をぶら下げていた。髪の毛を鷲掴みにして、首からドクドクと血がしたたり落ちている。
「ヒィイイイッ! 助けてくれぇぇぇ」
カイエンは腰が抜けて失禁し、口から泡を吹いて気を失った。
従者が1人で逃げようとした瞬間、1匹のオーガの鎌がその脳天に深く突き刺さる。
ズガッ!
「ウギャアアアッ!」
従者は前のめりに倒れて、そのまま動かなくなってしまった。
「おチヨちゃん、僕が時間を稼ぐから早く逃げて!」
「いいえ大丈夫です、一緒に戦います。 【火弾】ファイヤーボール!」
ドドドオオオンッ!
「「「アギャァアアアッ!」」」
千代は連続して3発の【火弾】を放って、3匹のオーガに命中させる。
しかし、大きなダメージを与えたが致命傷には成らなかった。
「インベントリ内の岩を全てオーガの上に取り出し!」
ガラガラガラッ、ドカドカドカッ!
「「「ウガガガガアアアッ……」」」
オーガ達は岩の下敷きに成り、動けず苦しみ呻いている。
「僕が止めを刺そう!」
グサッ、ズガッ、ズッシャッ!
クラインが倒れてるオーガ達の首を剣で斬り、息の根を止めた。
「それにしても、おチヨちゃんの魔法攻撃は……何と言うか……ハンパないね」
「え、怖かったから。夢中になってしまって……」
「そうだよねぇ、怖かったよね」
「……はい」
「しかし、あんなに威力のあるファイヤーボールの三連弾って初めて見たよ」
「そうですか……」
「普通は詠唱するし、クールタイムもあるから、続けて魔法を撃てないよね?」
「まぁ、そうだったんですね」
「こういう魔法は他の人に見せない方がいいよ、勇者としてお城に連れて行かれちゃうかもね」
「それは、絶対に嫌です」
クラインは失神しているカイエンと従者の遺体をロッティの曳く荷車に乗せて、オーガの遺体をマジックバッグに収納した。
「オーガの出現を工房と町に報告しないとね、何かが山で起きてるのだと思うよ」
「はい……」
オーガの遺体を確認したカタランヌ町の長老は、この地域で1番大きな街エルレイダに行き、冒険者ギルドに調査依頼を出した。
早くも翌日、調査依頼を受けた冒険者グループがカタランヌ町にやって来た。
男ばかり4人の冒険者グループ『荒鷲の爪』というパーティだ。
彼らは真っ直ぐに長老の家を訪れた。
「オーガ発生原因を調査に来ました。今回の事はギルドの重要案件と成っています。目撃者に会って詳しい情報を聞かせて頂きたいのじゃが?」
「分かりました。目撃者のいる場所に御案内致しましょう」
長老は彼らをローリー工房に案内して、クラインと千代に引き合わせた。
「オーガに遭遇した場所を詳しく教えてほしい。我々は土地勘が無いので、出来たら案内をお願いしたいんじゃが?」
クラインと千代は顔を見合わせて、
「それでは僕とおチヨちゃんが御案内いたします」
と、言った。
「ん~、危険だから男の子だけでいいじゃろう?」
「いいえ、僕はここに来てまだ日が浅いので、あまり土地に詳しくありません。おチヨちゃんが行った方が良いと思います」
「う~む」
顎の長いリーダーらしき男が、他のメンバーの顔色を窺っている。
「あの、私は大丈夫です。御案内致します」
「そうじゃのぅ……それじゃあ御嬢さんを最優先でお守りするという事で、お願いしようかのぅ。今回は討伐では無く調査だけという事で徹底するとしよう」
「はい」
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