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第4章
篠宮誠の秘密
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体育祭から2週間ほどが経ち、もうじき中間試験。その頃になると、騒がしかった俺らの周りもだいぶ静かになってきていた。
試験前ということもあって、校庭や校舎もいつもより人が少なく静かだ。
俺と真生と佳奈、そして優珠と誠と恵の6人は図書室に集まってテスト勉強をしていた。
「あー、もう嫌だ。英語の単語全然覚えらんないし……」
「誠、覚えないと点数が取れないぞ」
「頭に入っていかないんだよ」
「ひたすら繰り返して覚えるしかない」
俺と誠がそう会話してると、恵はため息を着いて言った。
「優希と真生はいいよね~。学年ワン・ツーの成績でスポーツも出来てさ。悩みなんてないんじゃない?」
その言葉に真生が真面目な顔をして答える。
「悩みはあるぞ」
「どんな悩み?」
優珠が聞くと真生は机に突っ伏して俺を見た。
「どーやったら優希を倒せるか……」
「またそれかよ!」
誠の突っ込みに皆がクスクス静かに笑う。
「こいつらは頭はいいけどバカだから放っておいて良いよ」
佳奈の言葉に「ひどっ!」と真生が言う。そんな小さなやり取りも、もう日常のひとつになっていた。
「なあ、優希~、ここの英文なんだけど……」
誠がそう言いかけた時、勢いよくガラッと図書室のドアが開いてデカい話し声が静かな空間に響く。
「本当にここにいるのかよ?」
「さっきのやつ、そう言ってたじゃん」
俺は気にすることなく「どの英文?」と聞いて誠を見ると、誠は入口の方を見て固まっていた。
「おいおい! まじでいたよ!」
そう笑いながら誰かが近づいてくる気配がした。周りの生徒も皆驚いて……いや怖がっている。
今まで嗅いだことのない、性根が腐りきった匂いに俺と真生は顔をしかめた。
その気配は俺達のところでピタッと止まる。恵と優珠は完全にビビって小さくなり、俯いたまま固まっている。
俺はチラッと横目でそいつらを見ると、そこには地球に来てから1度も見たことない醜いツラをした3人組が立っていた。
ーー制服が違うな。他校の生徒か?
「よう、誠」
「なに勉強とかしてんの?」
「真面目かよ」
そう声をかけられた誠は諦めたようにため息をついて、そいつらと会話を始めた。
「学校には来ない約束でしたよね……」
「最近全く集まりに来ないし、連絡しても出ないからじゃん」
「さーせん。とりあえずここはダメっす先輩。俺も外に行くんで」
「えー、せっかくここまで来たんだし。ちょっと遊びたいんだけど」
そう言ってそいつら3人は俺らを舐めるように見た。
「こいつら、お前の友達?」
そう聞かれると、誠は「違いますよ。もう外行きません?」と言って俺たちから視線を外したまま席を立った。だがそいつらは誠の話など聞いていない。
「女子可愛いじゃん」
「ひゅ~。見ろよ、あの子銀髪!」
「誠~! この子たち連れてっていいよな」
そう言うと誠は少し焦った様子で「えっ、いや……それは」と言う。
「俺、この子好み~」
そう言って奴らの1人が震える優珠に手を伸ばした次の瞬間。
俺はペンを一瞬で左手に持ち替えて、そいつの手首を掴んだ。
「あ? なんだよ」
優珠は俺を見て初めはビックリしていたが、その顔は徐々に安心した顔になり、そして少し嬉しそうに俯いた。
手を掴みながら無視して参考書を読み続ける俺に「聞いてんのかよ、てめえ!」と、もう1人のヤツが俺の肩を掴む。けれど俺はピクリとも動かず、そのまま参考書を読んでいた。
「おい、こいつビビって動けないんじゃね?」
「だっせ」
「なあ、いい加減手ぇ放せよチビ」
すると真生が「あのさあ~」と言いながら静かに立ち上がってゆっくり歩いてくる。
そしてニコッと王子スマイルをするとヤツらは少し頬を染めた。
ーーおいおい……
だが、その王子スマイルは一瞬でマジ顔になる。
「鬱陶しい。気安く触んな」
真生がそう言うと、俺の肩に置かれた手をバッと払った。
「んだ? てめえ!!」と、手を払われた奴が凄い形相で真生の胸ぐらを掴む。
図書室内に緊張が走り、ザワつく。
俺はため息を着くと、手首を掴んだまま静かに立ち上がった。
真生も胸ぐらを掴まれていたその腕をつかみ返す。
そして、俺と真生はそいつらを掴んでいた手に少し力を入れ、乱暴に振り払った。
振り払われた2人は「うわっ」とよろけて、そして俺らを睨む。
『女神、いいか?』
『暴力はダメ』
『手を使うまでもない』
女神の許可を得た俺と真生は、やつらに向けてドンッと目に見えない殺気を放った。それは俺ら2人を中心に図書室を覆い、周りの人達をもゾッとさせた。
「「消えろ」」
するとヤツらは3人とも、その場に腰を抜かしたように尻もちをついて青ざめた。
「お、おい。……こいつら、なんか、やべえよ」
1人が他の2人にそう言うと、ヨロヨロと立ち上がり「誠、連絡するから絶対に来いよ!」とだけ言って逃げるように図書室から出ていった。
シン……と静まり返った図書室。
真生は誠を睨んで言った。
「おい、誠。さっきのなんだよ?」
「悪ぃ。俺もう帰るな」
誠は真生の質問にも答えず、俺達と目も合わさずに1人で帰っていった。
試験前ということもあって、校庭や校舎もいつもより人が少なく静かだ。
俺と真生と佳奈、そして優珠と誠と恵の6人は図書室に集まってテスト勉強をしていた。
「あー、もう嫌だ。英語の単語全然覚えらんないし……」
「誠、覚えないと点数が取れないぞ」
「頭に入っていかないんだよ」
「ひたすら繰り返して覚えるしかない」
俺と誠がそう会話してると、恵はため息を着いて言った。
「優希と真生はいいよね~。学年ワン・ツーの成績でスポーツも出来てさ。悩みなんてないんじゃない?」
その言葉に真生が真面目な顔をして答える。
「悩みはあるぞ」
「どんな悩み?」
優珠が聞くと真生は机に突っ伏して俺を見た。
「どーやったら優希を倒せるか……」
「またそれかよ!」
誠の突っ込みに皆がクスクス静かに笑う。
「こいつらは頭はいいけどバカだから放っておいて良いよ」
佳奈の言葉に「ひどっ!」と真生が言う。そんな小さなやり取りも、もう日常のひとつになっていた。
「なあ、優希~、ここの英文なんだけど……」
誠がそう言いかけた時、勢いよくガラッと図書室のドアが開いてデカい話し声が静かな空間に響く。
「本当にここにいるのかよ?」
「さっきのやつ、そう言ってたじゃん」
俺は気にすることなく「どの英文?」と聞いて誠を見ると、誠は入口の方を見て固まっていた。
「おいおい! まじでいたよ!」
そう笑いながら誰かが近づいてくる気配がした。周りの生徒も皆驚いて……いや怖がっている。
今まで嗅いだことのない、性根が腐りきった匂いに俺と真生は顔をしかめた。
その気配は俺達のところでピタッと止まる。恵と優珠は完全にビビって小さくなり、俯いたまま固まっている。
俺はチラッと横目でそいつらを見ると、そこには地球に来てから1度も見たことない醜いツラをした3人組が立っていた。
ーー制服が違うな。他校の生徒か?
「よう、誠」
「なに勉強とかしてんの?」
「真面目かよ」
そう声をかけられた誠は諦めたようにため息をついて、そいつらと会話を始めた。
「学校には来ない約束でしたよね……」
「最近全く集まりに来ないし、連絡しても出ないからじゃん」
「さーせん。とりあえずここはダメっす先輩。俺も外に行くんで」
「えー、せっかくここまで来たんだし。ちょっと遊びたいんだけど」
そう言ってそいつら3人は俺らを舐めるように見た。
「こいつら、お前の友達?」
そう聞かれると、誠は「違いますよ。もう外行きません?」と言って俺たちから視線を外したまま席を立った。だがそいつらは誠の話など聞いていない。
「女子可愛いじゃん」
「ひゅ~。見ろよ、あの子銀髪!」
「誠~! この子たち連れてっていいよな」
そう言うと誠は少し焦った様子で「えっ、いや……それは」と言う。
「俺、この子好み~」
そう言って奴らの1人が震える優珠に手を伸ばした次の瞬間。
俺はペンを一瞬で左手に持ち替えて、そいつの手首を掴んだ。
「あ? なんだよ」
優珠は俺を見て初めはビックリしていたが、その顔は徐々に安心した顔になり、そして少し嬉しそうに俯いた。
手を掴みながら無視して参考書を読み続ける俺に「聞いてんのかよ、てめえ!」と、もう1人のヤツが俺の肩を掴む。けれど俺はピクリとも動かず、そのまま参考書を読んでいた。
「おい、こいつビビって動けないんじゃね?」
「だっせ」
「なあ、いい加減手ぇ放せよチビ」
すると真生が「あのさあ~」と言いながら静かに立ち上がってゆっくり歩いてくる。
そしてニコッと王子スマイルをするとヤツらは少し頬を染めた。
ーーおいおい……
だが、その王子スマイルは一瞬でマジ顔になる。
「鬱陶しい。気安く触んな」
真生がそう言うと、俺の肩に置かれた手をバッと払った。
「んだ? てめえ!!」と、手を払われた奴が凄い形相で真生の胸ぐらを掴む。
図書室内に緊張が走り、ザワつく。
俺はため息を着くと、手首を掴んだまま静かに立ち上がった。
真生も胸ぐらを掴まれていたその腕をつかみ返す。
そして、俺と真生はそいつらを掴んでいた手に少し力を入れ、乱暴に振り払った。
振り払われた2人は「うわっ」とよろけて、そして俺らを睨む。
『女神、いいか?』
『暴力はダメ』
『手を使うまでもない』
女神の許可を得た俺と真生は、やつらに向けてドンッと目に見えない殺気を放った。それは俺ら2人を中心に図書室を覆い、周りの人達をもゾッとさせた。
「「消えろ」」
するとヤツらは3人とも、その場に腰を抜かしたように尻もちをついて青ざめた。
「お、おい。……こいつら、なんか、やべえよ」
1人が他の2人にそう言うと、ヨロヨロと立ち上がり「誠、連絡するから絶対に来いよ!」とだけ言って逃げるように図書室から出ていった。
シン……と静まり返った図書室。
真生は誠を睨んで言った。
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