36 / 56
第4章
友達じゃないなら?
しおりを挟む
誠はきっと全部では無いにしろ、俺らが普通でないことは知っただろう。
俺の人間離れした力も、真生の力も見た。そして何よりも、建物にいたはずの全ての人間が、俺達の力によって跡形もなく消えたのだ。
「誠、俺らのこと怖くなった?」
真生が誠に聞くと、誠はフッと笑った。
「……いや、ごめん。むしろ、お前らがなんか……俺達とは違うって、ずっと気づいてたよ」
「え!?」
「真生と出会う前からだよ……。優希の、人間離れした力見てるし」
真生が少し驚いた顔で俺を見た。
「俺だけじゃないかもよ、気づいてるの。だって、お前らめちゃくちゃじゃん」
「ま、まて、それを知ってたのに、何で俺らに助け求めなかったんだよ!?」
真生に聞かれて、誠は小さい声で言った。
「俺の問題だから、自分の力で解決したかったんだよ……」
それを聞いた真生は、ちょっとムッとして「けどお前そんな傷ついて……」と言った言葉に被せて誠は言った。
「お前らの!! そーいう特別な力みたいなの利用しちまったら! もう、一緒にいられなくなっちまう気がして……」
最後の方は蚊の鳴くような声で、そう言った誠に、真生が言った。
「友達……?」
「え」
「俺ら友達だよな!?」
俺が呆れたように真生に「おい、真生……」と言いかけたが、俺は言葉に詰まった。
真生は目に涙を溜めていた。
「俺達は、誠の友達だよなあ?」
そう言って子供のようにボロボロと涙を流した真生に、誠は笑顔で答えた。
「友達じゃねーって前にも言ったろ」
それを聞いた真生が真っ白になりショックを受けて固まったが、次の言葉を聞いてめっちゃ嬉しそうに笑った。
「友達じゃなくて、親友だろ」
***
そして、その翌日。
俺達は何事も無かったかのように、普通に学校で中間テストを受けていた。
といっても、誠は傷だらけでその顔にはガーゼや絆創膏だらけ。オマケに頭には包帯を巻いていたから、朝登校してきた時は恵や優珠だけでなくクラスの皆が心配していた。
実は俺達が消し去ったやつらは消滅させたわけでは無い。
1度その場から違う島に飛ばし、俺らがその場から去った後また同じ場所、あの倉庫のような建物に戻しておいた。
そして俺は1枚のメモを残しておいたから、何にも問題にはならないだろう。
そのメモには3点、警告を書いておいた。
1つ、このグループは解散すること。
2つ、今回の事は他言しないこと。
3つ、今後一切、誠に関わらないこと。
この3つの約束を破ったら次は間違いなくぶっ潰す、と書いておいた。
ーー俺も優しくなったな……
そんな雑念があったからか、俺としたことが1問間違えてしまい……。
「うおー!! やった~~! 今回は優希に勝ったぞーー!!」
4点差で、満点の真生に負けた。
「優希、気にするな。次頑張れよな」
「うっせーよ。そーいう、誠は何位だったんだよ……」
誠は、ニッと笑って俺に順位の紙を見せた。
「23位!?」
俺が叫ぶと、クラスメイトが皆集まってきた。
「まじ!?」
「すごいじゃん誠!!」
「篠宮やるー!」
すると、誠は照れたように頭をかいて言った。
「優希と真生のおかげなんだ」
俺と真生はそんな誠の言葉に、思わず顔が赤くなって一瞬固まった。
そして、3人で顔を見合わせて笑い合った。
ーー秘密を共有し合う親友。
そんなのも、なかなか良いな……と俺は思っていた。
***
だが、解決したかと思われた誠の件には大きな落とし穴があった。
テストが終わって6人で歩いていた時の話だ。突然、悪そうな奴ら5人が俺達の目の前に立ちはだかった。
冷や汗をたらす誠と、怖がる優珠と恵を後ろに隠すように俺と真生が立つ。
「何か用かよ」
俺がそう言うとそいつらは急に90度腰を曲げてお辞儀をした。
「お2人に惚れました!!弟子にしてください!!!」
「「しねえよ!!!」」
優珠と恵が目を見開きポカンとしている横で、誠と佳奈はプッと吹き出して笑っていた。
後で俺達は誠に聞いて知った。
誠が入っていたグループは『全中高連』という名前で、全国の中学生と高校生の不良や悪いやつらをまとめていたグループだったらしい。
そして、俺らが倒したボスは高校3年生。しかも全国のグループをまとめていたドンだった。
オマケにそのドンは、なんか大きな組織の頭の1人息子で舎弟も多いやつらしく、俺らは地球で言うとんでもないヤツを軽々と倒してしまったようだ。
おかげで今、道を歩けば知らない中学生や高校生の不良グループから道を譲られ「ちーっす!!」なんて頭を下げて挨拶をされる。弟子志望のヤツらも多く、何度お願いされて断ったことか。
「おまえら、ほんとめちゃくちゃ」
そう言って誠は笑っていた。俺と真生は、そんな誠を見て微笑んだが、俺はそれで済ませるのがなんかシャクだったから、いつもの冷めた真顔でひとこと言ってやった。
「嬉しそうにしてんじゃねーよ、アホ」
俺の人間離れした力も、真生の力も見た。そして何よりも、建物にいたはずの全ての人間が、俺達の力によって跡形もなく消えたのだ。
「誠、俺らのこと怖くなった?」
真生が誠に聞くと、誠はフッと笑った。
「……いや、ごめん。むしろ、お前らがなんか……俺達とは違うって、ずっと気づいてたよ」
「え!?」
「真生と出会う前からだよ……。優希の、人間離れした力見てるし」
真生が少し驚いた顔で俺を見た。
「俺だけじゃないかもよ、気づいてるの。だって、お前らめちゃくちゃじゃん」
「ま、まて、それを知ってたのに、何で俺らに助け求めなかったんだよ!?」
真生に聞かれて、誠は小さい声で言った。
「俺の問題だから、自分の力で解決したかったんだよ……」
それを聞いた真生は、ちょっとムッとして「けどお前そんな傷ついて……」と言った言葉に被せて誠は言った。
「お前らの!! そーいう特別な力みたいなの利用しちまったら! もう、一緒にいられなくなっちまう気がして……」
最後の方は蚊の鳴くような声で、そう言った誠に、真生が言った。
「友達……?」
「え」
「俺ら友達だよな!?」
俺が呆れたように真生に「おい、真生……」と言いかけたが、俺は言葉に詰まった。
真生は目に涙を溜めていた。
「俺達は、誠の友達だよなあ?」
そう言って子供のようにボロボロと涙を流した真生に、誠は笑顔で答えた。
「友達じゃねーって前にも言ったろ」
それを聞いた真生が真っ白になりショックを受けて固まったが、次の言葉を聞いてめっちゃ嬉しそうに笑った。
「友達じゃなくて、親友だろ」
***
そして、その翌日。
俺達は何事も無かったかのように、普通に学校で中間テストを受けていた。
といっても、誠は傷だらけでその顔にはガーゼや絆創膏だらけ。オマケに頭には包帯を巻いていたから、朝登校してきた時は恵や優珠だけでなくクラスの皆が心配していた。
実は俺達が消し去ったやつらは消滅させたわけでは無い。
1度その場から違う島に飛ばし、俺らがその場から去った後また同じ場所、あの倉庫のような建物に戻しておいた。
そして俺は1枚のメモを残しておいたから、何にも問題にはならないだろう。
そのメモには3点、警告を書いておいた。
1つ、このグループは解散すること。
2つ、今回の事は他言しないこと。
3つ、今後一切、誠に関わらないこと。
この3つの約束を破ったら次は間違いなくぶっ潰す、と書いておいた。
ーー俺も優しくなったな……
そんな雑念があったからか、俺としたことが1問間違えてしまい……。
「うおー!! やった~~! 今回は優希に勝ったぞーー!!」
4点差で、満点の真生に負けた。
「優希、気にするな。次頑張れよな」
「うっせーよ。そーいう、誠は何位だったんだよ……」
誠は、ニッと笑って俺に順位の紙を見せた。
「23位!?」
俺が叫ぶと、クラスメイトが皆集まってきた。
「まじ!?」
「すごいじゃん誠!!」
「篠宮やるー!」
すると、誠は照れたように頭をかいて言った。
「優希と真生のおかげなんだ」
俺と真生はそんな誠の言葉に、思わず顔が赤くなって一瞬固まった。
そして、3人で顔を見合わせて笑い合った。
ーー秘密を共有し合う親友。
そんなのも、なかなか良いな……と俺は思っていた。
***
だが、解決したかと思われた誠の件には大きな落とし穴があった。
テストが終わって6人で歩いていた時の話だ。突然、悪そうな奴ら5人が俺達の目の前に立ちはだかった。
冷や汗をたらす誠と、怖がる優珠と恵を後ろに隠すように俺と真生が立つ。
「何か用かよ」
俺がそう言うとそいつらは急に90度腰を曲げてお辞儀をした。
「お2人に惚れました!!弟子にしてください!!!」
「「しねえよ!!!」」
優珠と恵が目を見開きポカンとしている横で、誠と佳奈はプッと吹き出して笑っていた。
後で俺達は誠に聞いて知った。
誠が入っていたグループは『全中高連』という名前で、全国の中学生と高校生の不良や悪いやつらをまとめていたグループだったらしい。
そして、俺らが倒したボスは高校3年生。しかも全国のグループをまとめていたドンだった。
オマケにそのドンは、なんか大きな組織の頭の1人息子で舎弟も多いやつらしく、俺らは地球で言うとんでもないヤツを軽々と倒してしまったようだ。
おかげで今、道を歩けば知らない中学生や高校生の不良グループから道を譲られ「ちーっす!!」なんて頭を下げて挨拶をされる。弟子志望のヤツらも多く、何度お願いされて断ったことか。
「おまえら、ほんとめちゃくちゃ」
そう言って誠は笑っていた。俺と真生は、そんな誠を見て微笑んだが、俺はそれで済ませるのがなんかシャクだったから、いつもの冷めた真顔でひとこと言ってやった。
「嬉しそうにしてんじゃねーよ、アホ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる