魂×魂 〜魔王が中学生になったら?そりゃやばいでしょ〜

日芽乃

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第4章

友達じゃないなら?

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 誠はきっと全部では無いにしろ、俺らが普通でないことは知っただろう。
 俺の人間離れした力も、真生の力も見た。そして何よりも、建物にいたはずの全ての人間が、俺達の力によって跡形もなく消えたのだ。

「誠、俺らのこと怖くなった?」

 真生が誠に聞くと、誠はフッと笑った。

「……いや、ごめん。むしろ、お前らがなんか……俺達とは違うって、ずっと気づいてたよ」
「え!?」
「真生と出会う前からだよ……。優希の、人間離れした力見てるし」

 真生が少し驚いた顔で俺を見た。

「俺だけじゃないかもよ、気づいてるの。だって、お前らめちゃくちゃじゃん」
「ま、まて、それを知ってたのに、何で俺らに助け求めなかったんだよ!?」

 真生に聞かれて、誠は小さい声で言った。

「俺の問題だから、自分の力で解決したかったんだよ……」

 それを聞いた真生は、ちょっとムッとして「けどお前そんな傷ついて……」と言った言葉に被せて誠は言った。

「お前らの!! そーいう特別な力みたいなの利用しちまったら! もう、一緒にいられなくなっちまう気がして……」

 最後の方は蚊の鳴くような声で、そう言った誠に、真生が言った。

「友達……?」
「え」
「俺ら友達だよな!?」

 俺が呆れたように真生に「おい、真生……」と言いかけたが、俺は言葉に詰まった。

 真生は目に涙を溜めていた。

「俺達は、誠の友達だよなあ?」

 そう言って子供のようにボロボロと涙を流した真生に、誠は笑顔で答えた。

「友達じゃねーって前にも言ったろ」

 それを聞いた真生が真っ白になりショックを受けて固まったが、次の言葉を聞いてめっちゃ嬉しそうに笑った。

「友達じゃなくて、親友だろ」


***

 そして、その翌日。
 俺達は何事も無かったかのように、普通に学校で中間テストを受けていた。
 といっても、誠は傷だらけでその顔にはガーゼや絆創膏だらけ。オマケに頭には包帯を巻いていたから、朝登校してきた時は恵や優珠だけでなくクラスの皆が心配していた。

 実は俺達が消し去ったやつらは消滅させたわけでは無い。
 1度その場から違う島に飛ばし、俺らがその場から去った後また同じ場所、あの倉庫のような建物に戻しておいた。
 そして俺は1枚のメモを残しておいたから、何にも問題にはならないだろう。

 そのメモには3点、警告を書いておいた。
 1つ、このグループは解散すること。
 2つ、今回の事は他言しないこと。
 3つ、今後一切、誠に関わらないこと。
 この3つの約束を破ったら次は間違いなくぶっ潰す、と書いておいた。

ーー俺も優しくなったな……

 そんな雑念があったからか、俺としたことが1問間違えてしまい……。

「うおー!! やった~~! 今回は優希に勝ったぞーー!!」

 4点差で、満点の真生に負けた。

「優希、気にするな。次頑張れよな」
「うっせーよ。そーいう、誠は何位だったんだよ……」

 誠は、ニッと笑って俺に順位の紙を見せた。

「23位!?」

 俺が叫ぶと、クラスメイトが皆集まってきた。
「まじ!?」
「すごいじゃん誠!!」
「篠宮やるー!」

 すると、誠は照れたように頭をかいて言った。

「優希と真生のおかげなんだ」

 俺と真生はそんな誠の言葉に、思わず顔が赤くなって一瞬固まった。
 そして、3人で顔を見合わせて笑い合った。

ーー秘密を共有し合う親友。

 そんなのも、なかなか良いな……と俺は思っていた。


***

 だが、解決したかと思われた誠の件には大きな落とし穴があった。

 テストが終わって6人で歩いていた時の話だ。突然、悪そうな奴ら5人が俺達の目の前に立ちはだかった。

 冷や汗をたらす誠と、怖がる優珠と恵を後ろに隠すように俺と真生が立つ。

「何か用かよ」

 俺がそう言うとそいつらは急に90度腰を曲げてお辞儀をした。

「お2人に惚れました!!弟子にしてください!!!」
「「しねえよ!!!」」

 優珠と恵が目を見開きポカンとしている横で、誠と佳奈はプッと吹き出して笑っていた。

 後で俺達は誠に聞いて知った。
 誠が入っていたグループは『全中高連』という名前で、全国の中学生と高校生の不良や悪いやつらをまとめていたグループだったらしい。
 そして、俺らが倒したボスは高校3年生。しかも全国のグループをまとめていたドンだった。
 オマケにそのドンは、なんか大きな組織の頭の1人息子で舎弟も多いやつらしく、俺らは地球で言うとんでもないヤツを軽々と倒してしまったようだ。

 おかげで今、道を歩けば知らない中学生や高校生の不良グループから道を譲られ「ちーっす!!」なんて頭を下げて挨拶をされる。弟子志望のヤツらも多く、何度お願いされて断ったことか。

「おまえら、ほんとめちゃくちゃ」

 そう言って誠は笑っていた。俺と真生は、そんな誠を見て微笑んだが、俺はそれで済ませるのがなんかシャクだったから、いつもの冷めた真顔でひとこと言ってやった。

「嬉しそうにしてんじゃねーよ、アホ」
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