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~一節~ 目が覚めると幼なじみと異世界に居ました。
一話 「異世界に災難は付き物」
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「此処は…何処だ?」
理解が追い付かない。
此処はまだ夢なのか?
いや、あまりにも現実味を帯びている。
やはり此処は………、何て考えていると声が耳に入ってきて、思考をシャットダウンする。
「シローてば!」
やっと気付いてくれたと、安堵の表情を薫子は浮かべる。
「ああ、ごめん。少し考え事してた。」
「あれ?何で二人がいるの!?」
後から遅れて朱莉が目を覚ます。
「アカリ、よくこの状況で寝てられるな。」
「ドッキリとか?」
「ワァービックリダナー」
「よく、周りを見ろ!」
まだ寝惚けている朱莉の肩を強めに揺する。
「わぁ!なになに!」
「って、何じゃこりゃあああ!!!」
やっと現状を理解したらしい。朱莉はその場に尻餅を着き、愕然としている。
「まずは状況を整理しましょう」
そう言う薫子だが、視認せずとも焦りと不安感が伝わってくる。
声に震えがみえる。
その提案に皆は賛同し、お互いの状況について覚えている範囲で説明しあった。
そして分かったことが幾つかあった。
まず一つ、皆一様に目を覚ますと此処に居たことだ。
そして二つ、何故この様になったのか三人とも心当たりが無いことだ。
「どうやったら帰れるのかしら?」
「ゲーム的展開で考えると無理なんじゃないか?」
「今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ!」
「ルコの言う通りだよ!」
「ごめん!でも、今は何も分からないだろ?」
「確かにそうだけど…」
「こういう時はまず情報が必要だ」
「例えば前から走ってきてるあの人に聞くとか」
と言い白也は前方を指差し、向こうから走ってくる彼女に視線を集めさせた。
「明らかに様子がおかしくないかな?」
朱莉の言う通り彼女は何かに追われている感じだった。
「そこの人!助けて下さい!」
赤褐色の目を潤ませながら彼女は前方の三人に助けを乞う。
そんな彼女の後ろには「犬」であろうものが、獲物を捉えた様な形相で一直線にこちらへ向かって来ている。
「どどどどうしよう!ヤバい!ヤバいって!」
「アカリ!気を確かに!」
そんな薫子の懇願も空しく、朱莉はその場に倒れ込んでしまう。
「こういう時に!?」
朱莉はテンパったりパニックになってしまうと気を失うことがしばしばある。
まさかこういう時になるとは…。
「アカリは俺が担いで逃げる!」
「ルコはそのままあそこに見える城門に向かって走れ!」
「逃げるの!あの子はどうするの!?」
「あの距離なら大丈夫だ!」
「そこの人!兎に角全力で走って!その距離なら城門までは追い付かれない!その後は何とかする!」
そんな白也の言葉に彼女は、
「はいぃぃ…!」
疲れの混ざった顔で応答する。
「走れえええ!!!」
それを合図に白也、薫子は城門に向かって駆け出していく。
「もっと速く!」
思っていた以上に彼女は限界に近かったらしい。徐々にスピードが落ちていく。獣との距離が明らかに縮まっている。
「無理ですうう!」
「くっそ!アカリを頼む!」
「ええ!分かったわ!」
担いでいた朱莉を薫子の背に預け、白也は走っていた方向と逆走を始める。
「ちょっと!何してるの!」
そんな彼女の静止の言葉は耳に入っていないようで、白也はそのまま走っていく。
「掴まって!」
と、彼女に手を伸ばす。
「はい!」
彼女はその手を固く握る。
白也は彼女の手を引いて走る。
だが、獣との距離は少しずつであるが縮まっている。
「後少しだ!頑張れ!」
兎に角、三人は一心不乱に走り続けた、城門に向かって。
「シロー!早く!」
薫子は無事に城門に入ることができ、遅れている白也達に呼び掛ける。
白也と彼女と獣の距離はもう目と鼻の先だ。城門も同じ距離に近づいて来ている。
(くっそ!このまんまじゃ城門を潜れたとしてもその後が間に合わない…!どうすれば!)
せめて彼女だけでも…!
獣は飛び掛かれる間合いに入ったのか、白也達に飛び掛かってきた。
白也達は城門を潜った。
白也は赤褐色の目をした彼女を薫子の方に突き飛ばした。
(あーあ、異世界に来れたと思い、やっといつもから抜け出せたと思ったのに…
まあ良いか、俺が獣の餌食になっている間に彼女達は助かる。それで良いじゃないか。
ごめん。アカリ、ルコ、一緒に過ごせそうにない…。)
白也がそんな軽めの走馬灯を見て、死を覚悟している眼中で、あり得ない光景が移った。
獣が何かにぶつかったのだ。
そこに壁があると思うだろう?
無いのだ。そこにはただの空間があるだけだ。
獣は見えない壁に体を曲げていた。
そして倒れた。
動かなくなった。
と同時に白也は彼女を突き放した衝撃で前方に豪快に倒れ込んだ。
「助かったぁぁぁ!」
名の知らない彼女は安堵からか肩を撫で下ろした。
「何考えてるの!!」
突っ伏している白也に対して薫子は容赦のない言葉を浴びせた。
「ルコ達を助けるにはこれしかなかったんだ…」
「…った…」
「なん…」
「良かったぁぁぁ!!」
薫子はその整った顔を崩しながら大粒の涙を流した。
「……ん…ここ…どこ?」
朱莉が意識を取り戻したらしい。
「おわ!ルコどうしたの!」
朱莉は涙を流している薫子に驚きの表情を見せるが、直ぐに近寄り、「大丈夫」と彼女を宥めた。何故泣いているかは分からないが。
薫子の涙も収まり、少しして、彼女が声を掛けてくる。
「ありがとうございます!!!」
「貴方様方は命の恩人です!」
「私の出来ることなら何でも致します!」
「俺たちいせか…んぐ!?」
「馬鹿!なに言おうとしてるの!」
その言葉にムクッと顔を上げ、何かを言おうとした白也の口を手で封じ、薫子が応答する。
「先ずは貴方の名前を教えてくれない?」
「すいません!私ったらうっかりしてて!」
「私はミリシア!ミリシア・イーグレストと言います!」
「それじゃミリシア、ここの世界について教えてくれない?」
「あ!お話なら家の宿場でしませんか?」
「そこでならゆっくりお話出来ますよ?」
「それはミリシアの迷惑になるんじゃ…」
「大丈夫です!命も救ってもらっているので、これくらいはさせてください!てか、来て下さい!お願いします!」
と薫子の言葉を遮る様に、ミリシアは薫子に言った。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「やった!どうぞ、こちらです!」
と、ミリシアは城下町を先導していく。
「ちょ……ルコ……死…ぬ…」
「ああ!ごめん!塞ぎっぱなしだった!」
酸欠状態だった白也は一気にその場の空気を吸い込む。
「良かったね!これで行く所が出来たし、この世界について分かるね!」
「そうね、この情報は嬉しいわ」
「アカリは気絶してただけだろ!」
「しょうがないじゃん!」
朱莉と白也は言い争いながら、薫子はその二人を隣で微笑みながら見つめ、ミリシアはその三人が着いてきているかチラチラと後ろを確認しながら、宿場まで案内する。
「何とかなりそうだな!」
理解が追い付かない。
此処はまだ夢なのか?
いや、あまりにも現実味を帯びている。
やはり此処は………、何て考えていると声が耳に入ってきて、思考をシャットダウンする。
「シローてば!」
やっと気付いてくれたと、安堵の表情を薫子は浮かべる。
「ああ、ごめん。少し考え事してた。」
「あれ?何で二人がいるの!?」
後から遅れて朱莉が目を覚ます。
「アカリ、よくこの状況で寝てられるな。」
「ドッキリとか?」
「ワァービックリダナー」
「よく、周りを見ろ!」
まだ寝惚けている朱莉の肩を強めに揺する。
「わぁ!なになに!」
「って、何じゃこりゃあああ!!!」
やっと現状を理解したらしい。朱莉はその場に尻餅を着き、愕然としている。
「まずは状況を整理しましょう」
そう言う薫子だが、視認せずとも焦りと不安感が伝わってくる。
声に震えがみえる。
その提案に皆は賛同し、お互いの状況について覚えている範囲で説明しあった。
そして分かったことが幾つかあった。
まず一つ、皆一様に目を覚ますと此処に居たことだ。
そして二つ、何故この様になったのか三人とも心当たりが無いことだ。
「どうやったら帰れるのかしら?」
「ゲーム的展開で考えると無理なんじゃないか?」
「今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ!」
「ルコの言う通りだよ!」
「ごめん!でも、今は何も分からないだろ?」
「確かにそうだけど…」
「こういう時はまず情報が必要だ」
「例えば前から走ってきてるあの人に聞くとか」
と言い白也は前方を指差し、向こうから走ってくる彼女に視線を集めさせた。
「明らかに様子がおかしくないかな?」
朱莉の言う通り彼女は何かに追われている感じだった。
「そこの人!助けて下さい!」
赤褐色の目を潤ませながら彼女は前方の三人に助けを乞う。
そんな彼女の後ろには「犬」であろうものが、獲物を捉えた様な形相で一直線にこちらへ向かって来ている。
「どどどどうしよう!ヤバい!ヤバいって!」
「アカリ!気を確かに!」
そんな薫子の懇願も空しく、朱莉はその場に倒れ込んでしまう。
「こういう時に!?」
朱莉はテンパったりパニックになってしまうと気を失うことがしばしばある。
まさかこういう時になるとは…。
「アカリは俺が担いで逃げる!」
「ルコはそのままあそこに見える城門に向かって走れ!」
「逃げるの!あの子はどうするの!?」
「あの距離なら大丈夫だ!」
「そこの人!兎に角全力で走って!その距離なら城門までは追い付かれない!その後は何とかする!」
そんな白也の言葉に彼女は、
「はいぃぃ…!」
疲れの混ざった顔で応答する。
「走れえええ!!!」
それを合図に白也、薫子は城門に向かって駆け出していく。
「もっと速く!」
思っていた以上に彼女は限界に近かったらしい。徐々にスピードが落ちていく。獣との距離が明らかに縮まっている。
「無理ですうう!」
「くっそ!アカリを頼む!」
「ええ!分かったわ!」
担いでいた朱莉を薫子の背に預け、白也は走っていた方向と逆走を始める。
「ちょっと!何してるの!」
そんな彼女の静止の言葉は耳に入っていないようで、白也はそのまま走っていく。
「掴まって!」
と、彼女に手を伸ばす。
「はい!」
彼女はその手を固く握る。
白也は彼女の手を引いて走る。
だが、獣との距離は少しずつであるが縮まっている。
「後少しだ!頑張れ!」
兎に角、三人は一心不乱に走り続けた、城門に向かって。
「シロー!早く!」
薫子は無事に城門に入ることができ、遅れている白也達に呼び掛ける。
白也と彼女と獣の距離はもう目と鼻の先だ。城門も同じ距離に近づいて来ている。
(くっそ!このまんまじゃ城門を潜れたとしてもその後が間に合わない…!どうすれば!)
せめて彼女だけでも…!
獣は飛び掛かれる間合いに入ったのか、白也達に飛び掛かってきた。
白也達は城門を潜った。
白也は赤褐色の目をした彼女を薫子の方に突き飛ばした。
(あーあ、異世界に来れたと思い、やっといつもから抜け出せたと思ったのに…
まあ良いか、俺が獣の餌食になっている間に彼女達は助かる。それで良いじゃないか。
ごめん。アカリ、ルコ、一緒に過ごせそうにない…。)
白也がそんな軽めの走馬灯を見て、死を覚悟している眼中で、あり得ない光景が移った。
獣が何かにぶつかったのだ。
そこに壁があると思うだろう?
無いのだ。そこにはただの空間があるだけだ。
獣は見えない壁に体を曲げていた。
そして倒れた。
動かなくなった。
と同時に白也は彼女を突き放した衝撃で前方に豪快に倒れ込んだ。
「助かったぁぁぁ!」
名の知らない彼女は安堵からか肩を撫で下ろした。
「何考えてるの!!」
突っ伏している白也に対して薫子は容赦のない言葉を浴びせた。
「ルコ達を助けるにはこれしかなかったんだ…」
「…った…」
「なん…」
「良かったぁぁぁ!!」
薫子はその整った顔を崩しながら大粒の涙を流した。
「……ん…ここ…どこ?」
朱莉が意識を取り戻したらしい。
「おわ!ルコどうしたの!」
朱莉は涙を流している薫子に驚きの表情を見せるが、直ぐに近寄り、「大丈夫」と彼女を宥めた。何故泣いているかは分からないが。
薫子の涙も収まり、少しして、彼女が声を掛けてくる。
「ありがとうございます!!!」
「貴方様方は命の恩人です!」
「私の出来ることなら何でも致します!」
「俺たちいせか…んぐ!?」
「馬鹿!なに言おうとしてるの!」
その言葉にムクッと顔を上げ、何かを言おうとした白也の口を手で封じ、薫子が応答する。
「先ずは貴方の名前を教えてくれない?」
「すいません!私ったらうっかりしてて!」
「私はミリシア!ミリシア・イーグレストと言います!」
「それじゃミリシア、ここの世界について教えてくれない?」
「あ!お話なら家の宿場でしませんか?」
「そこでならゆっくりお話出来ますよ?」
「それはミリシアの迷惑になるんじゃ…」
「大丈夫です!命も救ってもらっているので、これくらいはさせてください!てか、来て下さい!お願いします!」
と薫子の言葉を遮る様に、ミリシアは薫子に言った。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「やった!どうぞ、こちらです!」
と、ミリシアは城下町を先導していく。
「ちょ……ルコ……死…ぬ…」
「ああ!ごめん!塞ぎっぱなしだった!」
酸欠状態だった白也は一気にその場の空気を吸い込む。
「良かったね!これで行く所が出来たし、この世界について分かるね!」
「そうね、この情報は嬉しいわ」
「アカリは気絶してただけだろ!」
「しょうがないじゃん!」
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