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初めての話 - 2
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「バージンを相手にするのは何年ぶりかな」
奥の戸棚からローションやらスキンやらを取り出したが、いらないなと放り投げてから行為の準備にとりかかるダーヴィド。
「からかわないでください。」
ヨナタンは口を噤んで不服な態度を示したが、彼には伝わらない。
「はは、悪いな。気にしていたか?」
テーブルに置かれたデジタル時計。表示された水色の数字は、深夜を指していた。
「そんなこと……!そもそも悪いなんて微塵も思ってないだろ……でしょう」
相変わらずむすっとした顔で横になっていたヨナタンの頭を撫でてダーヴィドは彼をからかい続けた。
「だいぶ丁寧な言葉遣いも様になってきたね」
「いつだって崩せますよ」
姿勢を元に戻したヨナタンの顔はダーヴィドの目に見えない。だが、不機嫌を"装っている"のは察していた。
「そんな事言わないでよ、折角ここまで来たのだから崩さないでほしいな」
まるで恋人に語りかけるように優しく彼は言った。ひくり、相手の身体が反応する。
「やだ」
「もう……言ったね?」
彼らはなんだかこの状況を楽しんでいるようにも見えた。まるで愛し合った初恋の彼氏と彼女が、初めて床を共にする夜のようだった。
実際がそれよりも、残酷だとしても。
「自分以外のを触るのは初めてだな……」
「俺も触られるのは初めてだ。ほら、君の手で慣らして」
ベッドに座ったダーヴィドの自身を、向かい合うように座ってから触手で扱いていくヨナタン。人のモノに自分の改造された腕を絡みつけるのが、彼をおかしな気持ちにさせる。
「興奮する?」
「こんな悪趣味な男、オレは軽蔑します」
さり気なく変態だと言ったヨナタンに、ダーヴィドは落ち込んだフリをして笑う。
「ひどいなぁ」
ぴちゃ、ぴちゃと水音が鳴る部屋。
「でも君はその変態に犯されたいって、自分で言っちゃったよね」
息を詰まらせるヨナタン。なんて自分は恥ずかしいことを言ってしまったんだろうと後悔の念に襲われた。思わず手が止まる。
「ほら動かして。しないならこっちから操っちゃうよ?」
また、脅される。ヨナタンは、はぁとため息をついて行為を再開した。
「あ……すごいな、」
彼は次第に動かすスピードを上げていくと、相手のモノが硬さを帯び始めたのが分かった。不思議と嫌悪感はなかった。代わりに、好奇心が芽生える。粘液の残った部分で、厭らしく撫で始めたのだ。
「……まて、っ!ヨナっ……そんなことをしたら」
ヨナタンにも分かる。熱いものが迸ろうとしていることが。
「ダーヴィドさん、まさかオレの手コキでイっちゃうんですか?」
軽蔑と、悦楽に歪んだ顔。二人は妙な高揚感に溺れていた。
「っ、出るって」
「出せばいいじゃないですか、オレの手に……」
行為によって触りもしないのに再び芯を持ち始めたヨナタンの自身を、彼は自分の左手で軽く撫でた。
「違うんだヨナ。今からこれを、」
自身を持ち、ヨナタンの尻を撫でるダーヴィド。
「君も夢中になってほしいんだ」
それが何を意味するのか分からないヨナタンではなかった。
「……っは、ダーヴィド、さん!」
触手で慣らされた腔内を膣代わりに使うのは、存外容易いことであった。淫靡な水音と共に背後から何度も穿たれ、犯される身体にヨナタンはすっかりと馴染んでしまっていたようだ。
「気持ちいいか?」
それに悦んでいたのは本人だけではなく、相手も同じだった。
「……言いたく、ないです」
「なら、言わせてあげるよッ!」
「……や、まって……あぁっ!」
奥を突かれた感覚に、上体を反らせてしまうヨナタン。大胆に擦れていく内部が快楽を拾い再びあの感覚に襲われ、触手が粘液を帯びだす。
「イっちゃうっ……!」
「出せばいい、一緒に達しよう、ヨナタン……」
相手の自身を握り、耳元で囁いたダーヴィド。両方から押し寄せる快楽の波に、ヨナタンは高く甘い声を上げ――果てる。
「……まずい、本当に虜になりそうだ」
想定外の相性に笑う、"上司"の彼を背後にして。
奥の戸棚からローションやらスキンやらを取り出したが、いらないなと放り投げてから行為の準備にとりかかるダーヴィド。
「からかわないでください。」
ヨナタンは口を噤んで不服な態度を示したが、彼には伝わらない。
「はは、悪いな。気にしていたか?」
テーブルに置かれたデジタル時計。表示された水色の数字は、深夜を指していた。
「そんなこと……!そもそも悪いなんて微塵も思ってないだろ……でしょう」
相変わらずむすっとした顔で横になっていたヨナタンの頭を撫でてダーヴィドは彼をからかい続けた。
「だいぶ丁寧な言葉遣いも様になってきたね」
「いつだって崩せますよ」
姿勢を元に戻したヨナタンの顔はダーヴィドの目に見えない。だが、不機嫌を"装っている"のは察していた。
「そんな事言わないでよ、折角ここまで来たのだから崩さないでほしいな」
まるで恋人に語りかけるように優しく彼は言った。ひくり、相手の身体が反応する。
「やだ」
「もう……言ったね?」
彼らはなんだかこの状況を楽しんでいるようにも見えた。まるで愛し合った初恋の彼氏と彼女が、初めて床を共にする夜のようだった。
実際がそれよりも、残酷だとしても。
「自分以外のを触るのは初めてだな……」
「俺も触られるのは初めてだ。ほら、君の手で慣らして」
ベッドに座ったダーヴィドの自身を、向かい合うように座ってから触手で扱いていくヨナタン。人のモノに自分の改造された腕を絡みつけるのが、彼をおかしな気持ちにさせる。
「興奮する?」
「こんな悪趣味な男、オレは軽蔑します」
さり気なく変態だと言ったヨナタンに、ダーヴィドは落ち込んだフリをして笑う。
「ひどいなぁ」
ぴちゃ、ぴちゃと水音が鳴る部屋。
「でも君はその変態に犯されたいって、自分で言っちゃったよね」
息を詰まらせるヨナタン。なんて自分は恥ずかしいことを言ってしまったんだろうと後悔の念に襲われた。思わず手が止まる。
「ほら動かして。しないならこっちから操っちゃうよ?」
また、脅される。ヨナタンは、はぁとため息をついて行為を再開した。
「あ……すごいな、」
彼は次第に動かすスピードを上げていくと、相手のモノが硬さを帯び始めたのが分かった。不思議と嫌悪感はなかった。代わりに、好奇心が芽生える。粘液の残った部分で、厭らしく撫で始めたのだ。
「……まて、っ!ヨナっ……そんなことをしたら」
ヨナタンにも分かる。熱いものが迸ろうとしていることが。
「ダーヴィドさん、まさかオレの手コキでイっちゃうんですか?」
軽蔑と、悦楽に歪んだ顔。二人は妙な高揚感に溺れていた。
「っ、出るって」
「出せばいいじゃないですか、オレの手に……」
行為によって触りもしないのに再び芯を持ち始めたヨナタンの自身を、彼は自分の左手で軽く撫でた。
「違うんだヨナ。今からこれを、」
自身を持ち、ヨナタンの尻を撫でるダーヴィド。
「君も夢中になってほしいんだ」
それが何を意味するのか分からないヨナタンではなかった。
「……っは、ダーヴィド、さん!」
触手で慣らされた腔内を膣代わりに使うのは、存外容易いことであった。淫靡な水音と共に背後から何度も穿たれ、犯される身体にヨナタンはすっかりと馴染んでしまっていたようだ。
「気持ちいいか?」
それに悦んでいたのは本人だけではなく、相手も同じだった。
「……言いたく、ないです」
「なら、言わせてあげるよッ!」
「……や、まって……あぁっ!」
奥を突かれた感覚に、上体を反らせてしまうヨナタン。大胆に擦れていく内部が快楽を拾い再びあの感覚に襲われ、触手が粘液を帯びだす。
「イっちゃうっ……!」
「出せばいい、一緒に達しよう、ヨナタン……」
相手の自身を握り、耳元で囁いたダーヴィド。両方から押し寄せる快楽の波に、ヨナタンは高く甘い声を上げ――果てる。
「……まずい、本当に虜になりそうだ」
想定外の相性に笑う、"上司"の彼を背後にして。
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