私は絶対間違った

Asagi

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19.慣れ

コンタクトデビューの初日、朝起きると直ぐにコンタクトを着用した。着けた直後から、目が重い。
食事を、しようにも、ご飯粒の形が曖昧になる。頑張ってピントを合わせご飯粒の一つ一つが見えたと思ったら、一瞬テレビに目をやり、また近くを見ると、ピント合わせが振り出しに戻るのだ。

佳奈との待ち合わせ場所に、着くと、
「おっ!コンタクト?ずるいぞさとみ!」
「えヘヘ、何だか恥ずかしいね。素顔は。」
「よく見えるの?」
「うん、視野が広いのは良いね。」
度数のことは佳奈にも秘密だ。

学校に、着くと五月女さんと裕子が寄ってきて、
「あれ、メガネは?素顔可愛い!」
「コンタクトですか?痛くないですか?」
と興味津々で質問攻めだ。
隣の尚君は、チラチラこちらを見ていたが、メガネが無い私にふれてくれない。君に気付いてもらいたいのに。
それにしても、1時間目の前なのに、目が重い。強烈な眠気がある時のように、目を明けてられない。自然と瞬きが多くなり、眉間に力が入りっぱなしだ。目薬を挿して目の周りの骨に沿ってなぞる様にマッサージをした。

授業が始まると、黒板の文字については問題が無い。良く見えるのだが、これまでの様に、ノートに書き込む字が小さく薄くでは見えにくい事を実感する。この時から文字が大きく、濃いのを好む様になった気がする。

午後の授業では、段々目を動かすのが辛くなる。一点を凝視する様な目の使い方をしたり、目を見開いたり、細めたりを自然と繰り返していた。

何時もの様に、放課後は図書室に向かい、本を読んだ。文字を読むのが相当辛い。文庫本は読めなかった。大きめの文字の本を手に取り、50cmの距離で読めばなんとか読める。
でも、一冊で読む気を無くし、帰宅した。
初日の目の疲れは相当堪えた。コンタクトを外して、仮眠をするつもりが、夕飯も食べず、朝まで寝てしまった。

2日目以降も、起きて直ぐにコンタクトを装着した。メガネに戻る事も頭をよぎるが、日が経つに連れて、装用時の違和感も薄れて行く。
不快が和らげば、コンタクトの楽さはやはり魅力だ。
コンタクト生活も1週間位経過した5月の連休前だっただろうか、健康診断があり身長、体重、座高、内科検診、聴力、視力と測る機会があった。
特に視力である。他のクラスで先に測定を終えた佳奈が
「さとみ、なんとか1.0見えたよ。」
と報告してくれた。
五月女さんが測定している様子を見る。
目を細め、計測器を覗き、時折メガネと計測器が当たりカチャカチャ音を立てている。
裕子は、その様子を見て、
「いいな五月女ちゃん。私わざと間違えようかな。」
と言っていた。
私の番だ、計測の担当の先生に、
「矯正してますか?」
と聞かれ、
「コンタクトしてます。」
と答えた。
いざ計測がスタート。0.5からスタートし、0.8まではクリア。1.0は、コンタクト以前より小さく見える感じがする。目を凝らすと、ギリギリ見えた。
「上です。」
「はい、OK 1.0です。」
五月女さんがその様子を見ていたらしく、
「良く見えますね。私もコンタクトにしようかな。」
「五月女さんいくつだった?」
「0.5です。メガネまた分厚くなる。」
と嘆いている。不謹慎にも萌えてしまう私。
裕子は、安定の1.0だったらしい。

この様な調子でコンタクト生活を続けて、1ヶ月もすると、強烈な目の疲れも麻痺してくる。なんとか、朝起きて、夜寝る前まで装着に耐えられる様になった。
一方でこの慣れの影響か、人生始めて肩こりを体験する。佳奈からは、
「ねえ、目が最近座ってない?」
と言われたり、母からも、
「眉間に力が入っている。」
と言われたり、裕子から、
「五月女さんとさとみは目を見開くのが似てる」と言われたり、外にも分かる形になって変化が出始めていた。

コンタクトを外した後は意識して、直ぐに眠った。過調節を解放して、本来の近視度数に戻るともう一度コンタクトに目が合わせる為に目が混乱して、疲労感が出そうで怖いからだ。


ある日、佳奈と電車で、出かける事になった。お洒落な街に洋服を見に行こうと言うことになった。佳奈はこの頃、ショートカットから、少し髪を伸ばしてショートボブにして、タイトジーンズが良く似合っていた。そして、なんとメガネを掛けていない。
「あれ~佳奈!コンタクト?」
「そうで~す。遂に買いました。」
「へ~メガネも好きだけど、素顔も素敵だよ。」
「ありがとう、さとみに影響されたよ。」
「これからは、何時もコンタクト?」
「水泳が無い時はね」
一方の私は、髪はセミロングをお団子にして少したらし、タイツにホットパンツ上はTシャツと言う感じだ。
街を2人して歩くと、何かウキウキする。大人になった気分がした。
すると、「あっ!」と言う声。
なんと尚君だ。
「さとみさん、偶然…あっお友達?」
佳奈を見て明らかに意識している、美人オーラが出ているから、モテモテの尚君でさえ態度に出る。また、同じ学校の佳奈に気付いていない様子。
「私、同じ中学だよ。」
「えっ!そうなの?」
「尚君、佳奈だよ。知らない?」
「え~。何時もメガネだから違う人かと思った。ごめんごめん。」
尚君は、サッカーのスパイクを買いに来たそうだ。その帰りらしい。
私は、少し複雑。憧れの男子が、親友に興味を持った現場に遭遇した。
その場で尚君は帰って行ったが、佳奈は、
「尚君って、さとみの同じクラスなんだね。」
「尚君ってどんな人?イケメンだね。」
と、好意を持った様子。
私は、尚君には全然見向きもされないのかと思うと、泣きたくなる。

その後、洋服を見て、帰った。暗い気持になった。

























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