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23.デート
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花火の日の後、私は心が自分のもので無くなったかの様な、寝ても覚めても尚君とつないだ左手の感触を思い出し、彼の事を考えていた。
相変わらず、何も無い日は図書館で過ごすしかなかったが、恋愛の事や、性についての本を、読む事がほとんどだ。読みたい本までも、ここまで心を変えてしまう。恋愛と言うのは麻薬に違いない。冷静な私は心の奥底に幽閉されている様だ。
尚君との関係性が劇的に変わった訳では無い。ただ1回花火を見行って、ほんの数秒手をつないだだけだ。悶々として過ごすある日、裕子から家に誘いの電話があった。
裕子、五月女さん、私と、男子3人で映画に行こうと言う。観る映画は『x-menアポカリプス』だと言う。
アクション映画は最近見ていないから、たまには刺激的な映画も楽しいだろう。
「尚からの誘いなんだ。さととそうちゃんのトリオ指定なんだよ。」
「えっ、そうなの?」
「他の2人の男子はね、やば、聞いてなかった。」
私は、他の男子は誰でもよくて、尚君との映画と聞きますますウキウキした。
映画は、いつものモールで上映される。何を着ていこう。女の子らしく、スカートかな?爽やかに白いワンピースはどうだろう。足元はサンダルか。色々悩みながら鏡を観る。
「あ~もっと可愛くなりたい。」
とため息が出る。目元ももっとはっきり大きくしたい。コンタクトもサークルレンズを着けてみたい。髪も明るい色にしてみたい。悩みは尽きないのだ。
当日、悩み抜いた私は、紺色のワンピースとサンダルを選んだ。少し、魔女の宅急便みたいな印象になってしまったが、今の私の全力だ。
五月女さんは髪をセットして、何時もより大人に見えた。裕子は素が良いので、お洒落をしなくてもそれがかえって飾らないナチュラル感が好印象に映る。そして、伊達眼鏡をかけるのが彼女のスタイルだ。
尚君は、ジーンズの上は、ポロシャツと言うスタイルだ。
尚君と一緒に来たのは、クラスの男子2人だった。
「あ~、女子は学校とは違うんだな。」
と、はしゃいでいる。1人は部活ジャージのセットアップで来たので、女性陣は閉口した。
「この間はありがとう。」
私は、ドキドキしながら尚君にお礼を言った。
「こちらこそ、今日も来てくれて。」
つい笑顔になる私。尚君は紳士だ。
「映画、xmenで大丈夫?」
「うん、アクション映画好きよ。」
「本当は、君の名はが公開してたらと思ったんだ。」
「あ~それ私も気になった。」
「じゃあ、また来ようか?」
えっ、これって次の約束?尚君から誘い?混乱する私。
「そうだね。ねえ、裕子。」
私はなんでイザとなるとビビるのか。2人でって雰囲気だったのに、わざわざ第三者を巻き込む。
「えっ、何?」
「君の名はも見に来ようよ。」
「そうだね。良いね来よう来よう。」
尚君は、微笑をたたえているままだった。
五月女さんが私の手を引いて、
「さとみちゃん、駄目よ勇気出しな。」
私に耳打ちした。いつもの口調じゃない。
私はそれで腹が座った気がする。
五月女さんは、私の様子を、ちゃんと、観察していたのだ。後で聞いたら、私がウジウジしてイライラしていたらしい。
映画館に着くと、私は勇気を出し尚君の座った隣に座った。横並びの1番奥側が私で、右に尚君だ。その隣にはジャージの彼だ。
「楽しみだね。」
尚君は、笑顔で話しかけてくれる。
「うん、ドキドキするよ。」
灯りが落ちて、予告が始まる。
私は肘掛けに右手を置いていた。尚君も。左手を肘掛けに置いた。たまたま触れた手をそのまま、お互い離さなかった。そして、手と手を握り合い肘掛けから2人で手を下ろした。顔を向け、アイコンタクトで一瞬口角を上げた後、皆に見えない様に繋いだ手を隠し、ずっと繋いだまま映画を見た。盛り上がるシーンは、目と目が合い笑顔を送り合う。凄く満ち足りた時間だった。あっという間に時間が経つ。
上映が終わると、5人は口々に感想を話し合った。まだ私は、夢の中にいた。幸せな気持が、止まらない。
「私ドーナツ食べたい。」
裕子が先導してドーナツ店へ歩き出した。
私は最後尾を歩き出す。
尚君が私の隣に来て歩きながら、
「次は、2人かな?」
と言った。私は笑顔で黙って頷いた。
その日は、6人でいた手前、尚君と2人きりにはなれず、他愛もない話を皆でして、帰った。
私は、部屋でベットに横になり、右手を、眺めて、ウットリしていた。
尚君がこの手を握って、2人の汗が混ざり合って2人は抱き合って、キスをして…そんな想像が波のように押し寄せる。
私は、もう早く寝てしまおうと、コンタクトを外し、部屋を暗くした。目をつぶりなんとか寝ようとするのだが、興奮が冷めない。寝付けない。
私は、興奮が収まるまで右手の薬指で〇〇をなぞりながら、彼を思い、いつしか眠りに落ちていた。
相変わらず、何も無い日は図書館で過ごすしかなかったが、恋愛の事や、性についての本を、読む事がほとんどだ。読みたい本までも、ここまで心を変えてしまう。恋愛と言うのは麻薬に違いない。冷静な私は心の奥底に幽閉されている様だ。
尚君との関係性が劇的に変わった訳では無い。ただ1回花火を見行って、ほんの数秒手をつないだだけだ。悶々として過ごすある日、裕子から家に誘いの電話があった。
裕子、五月女さん、私と、男子3人で映画に行こうと言う。観る映画は『x-menアポカリプス』だと言う。
アクション映画は最近見ていないから、たまには刺激的な映画も楽しいだろう。
「尚からの誘いなんだ。さととそうちゃんのトリオ指定なんだよ。」
「えっ、そうなの?」
「他の2人の男子はね、やば、聞いてなかった。」
私は、他の男子は誰でもよくて、尚君との映画と聞きますますウキウキした。
映画は、いつものモールで上映される。何を着ていこう。女の子らしく、スカートかな?爽やかに白いワンピースはどうだろう。足元はサンダルか。色々悩みながら鏡を観る。
「あ~もっと可愛くなりたい。」
とため息が出る。目元ももっとはっきり大きくしたい。コンタクトもサークルレンズを着けてみたい。髪も明るい色にしてみたい。悩みは尽きないのだ。
当日、悩み抜いた私は、紺色のワンピースとサンダルを選んだ。少し、魔女の宅急便みたいな印象になってしまったが、今の私の全力だ。
五月女さんは髪をセットして、何時もより大人に見えた。裕子は素が良いので、お洒落をしなくてもそれがかえって飾らないナチュラル感が好印象に映る。そして、伊達眼鏡をかけるのが彼女のスタイルだ。
尚君は、ジーンズの上は、ポロシャツと言うスタイルだ。
尚君と一緒に来たのは、クラスの男子2人だった。
「あ~、女子は学校とは違うんだな。」
と、はしゃいでいる。1人は部活ジャージのセットアップで来たので、女性陣は閉口した。
「この間はありがとう。」
私は、ドキドキしながら尚君にお礼を言った。
「こちらこそ、今日も来てくれて。」
つい笑顔になる私。尚君は紳士だ。
「映画、xmenで大丈夫?」
「うん、アクション映画好きよ。」
「本当は、君の名はが公開してたらと思ったんだ。」
「あ~それ私も気になった。」
「じゃあ、また来ようか?」
えっ、これって次の約束?尚君から誘い?混乱する私。
「そうだね。ねえ、裕子。」
私はなんでイザとなるとビビるのか。2人でって雰囲気だったのに、わざわざ第三者を巻き込む。
「えっ、何?」
「君の名はも見に来ようよ。」
「そうだね。良いね来よう来よう。」
尚君は、微笑をたたえているままだった。
五月女さんが私の手を引いて、
「さとみちゃん、駄目よ勇気出しな。」
私に耳打ちした。いつもの口調じゃない。
私はそれで腹が座った気がする。
五月女さんは、私の様子を、ちゃんと、観察していたのだ。後で聞いたら、私がウジウジしてイライラしていたらしい。
映画館に着くと、私は勇気を出し尚君の座った隣に座った。横並びの1番奥側が私で、右に尚君だ。その隣にはジャージの彼だ。
「楽しみだね。」
尚君は、笑顔で話しかけてくれる。
「うん、ドキドキするよ。」
灯りが落ちて、予告が始まる。
私は肘掛けに右手を置いていた。尚君も。左手を肘掛けに置いた。たまたま触れた手をそのまま、お互い離さなかった。そして、手と手を握り合い肘掛けから2人で手を下ろした。顔を向け、アイコンタクトで一瞬口角を上げた後、皆に見えない様に繋いだ手を隠し、ずっと繋いだまま映画を見た。盛り上がるシーンは、目と目が合い笑顔を送り合う。凄く満ち足りた時間だった。あっという間に時間が経つ。
上映が終わると、5人は口々に感想を話し合った。まだ私は、夢の中にいた。幸せな気持が、止まらない。
「私ドーナツ食べたい。」
裕子が先導してドーナツ店へ歩き出した。
私は最後尾を歩き出す。
尚君が私の隣に来て歩きながら、
「次は、2人かな?」
と言った。私は笑顔で黙って頷いた。
その日は、6人でいた手前、尚君と2人きりにはなれず、他愛もない話を皆でして、帰った。
私は、部屋でベットに横になり、右手を、眺めて、ウットリしていた。
尚君がこの手を握って、2人の汗が混ざり合って2人は抱き合って、キスをして…そんな想像が波のように押し寄せる。
私は、もう早く寝てしまおうと、コンタクトを外し、部屋を暗くした。目をつぶりなんとか寝ようとするのだが、興奮が冷めない。寝付けない。
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