転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ

文字の大きさ
276 / 319

心の鏡の迷宮

しおりを挟む
「ずっと自分の姿を見ながら歩くなんて気持ち悪いのだ」

「双子が四つ子になったりしてるのだー」

 まだ二人には冗談をとばす余裕がある。

 突然、声が迷宮の中に反響する。

『トトはいつもずるいのだ』

 トトがテテに今のは、なんなのだ!?と振り返って睨む。テテは何も言ってないのだ!と首を傾げる。

『テテは掃除当番なのに、さぼったのだ!いつもこうなのだ!』

 テテが、今のはなんなのだ!?とトトに問う。トトもまた首を横に振る。

『我の方が発明の才能があると思うのだ』

『さっさと家に帰ればいいのに、なんで一緒にいるのだ』

 トトとテテは顔を見合わせる。

「声が反響しているのだ。我らは何も話してはいないのだ」

「心の声が出ているのだ!?」

 それも嫌な気持ちにさせる声が、どんどん大きくなっていき、二人を囲むように悪口が出てくる。

『テテの方が1cm身長が高いのだ』

「……これは心底どうでも良い話なのだ」

『トトの方が今月は太っていたのだ』

「……黙るのだ!」

 二人はイライラとしてくる。お互いの顔を見て、プイッとそっぽを向きだす。そんな姿が球体のモニターに映し出された。

「あの絆が深い双子でもこーんなつまらない言葉に惑わされるなんてねぇ。アタシの塔にほしいと思ったけど、たいしたことないね」

 そう賢者ブリジットは言う。

「トトとテテはもともと喧嘩は多いの。喧嘩だけが不安要素だけど……双子ちゃんを甘くみない方が良いわよ。絆は確かに深いわ」

 セイラがモニターを見つめる。そこには喧嘩寸前のトトとテテしか見えない。

『おまえなんかどっかいっちゃえばいいのだー!』

 そう叫んだ声がした時だった。

「トト、ほんとにそう思っているのだ?」

「テテも我のことをほんとにそう思っているのだ?」

 二人が互いそう言うと、フッと笑う。

『そんなわけないのだー!!』

 アハハハと楽しそうなトトとテテの笑い声が響きだす。

「こんなうるさくて嘘の声を出すものは邪魔なのだ!破壊なのだ!」

「我らの心は我らが一番よく知っているのだー!」

 懐から工具箱が出てきて、パーツとパーツが素早く組み立てられた。きゅいーんとからくり人形が飛び出す。空中を舞う。

「声の発生源の鏡を割るのだー!!」

「ゆくのだ!からくり人形!!」

 青白い光の鏡の中に一枚だけあった紫色に光る鏡が、からくり人形のビュンっという風を切る音のパンチとともにガシャンっと割れた。

 静けさが戻る。そしてトトとテテの迷宮の道が開く。道はまっすぐになり、ゴールを示す。二人は簡単にゴールした。

「楽勝なのだ!」

「我らの勝ちなのだーっ!」
 
 ガッツポーズをする双子ちゃん。

『我らの心は我ら自身が一番よく知っているのだーーっ!』

 そう空に向かって言い放った。

 モニターの前ではがっくりとうなだれているブリジットがいた。

「それでこそ、フォスター家の天才発明家だけど、早い。早すぎる。この心の鏡の迷宮を作るのにどれだけ時間をかけたと思う!?まったく楽しめなかったじゃないかいっ!」

 セイラがフフッと笑って言った。

「天才の心を測ることはできないわ」

 



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

処理中です...