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閉ざされる道
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「なんですってーーっ!」
火急の知らせと聞いて、急遽クラーク家当主である父に会う。これ以上は無いほどの苦い顔をしている。
「エキドナ公爵領の道をクラーク家の商人が通行することを禁じられた。リアン、彼のことを少し前に調べていたな?それから夜会でなにやら失礼なことをしたとか?」
さすが情報をしっかり把握してる父。一代で商売の才能を発揮し、男爵の称号まで手に入れただけはある。クラーク家の商人はエキドナ侯爵領で商売すること、通行することを禁じると通告がきたらしい。この国の中でも広大な領地を保有する彼にそれをされては商売も痛手を受ける。
「まぁ、そのとおりだけど、世間の認識と娘とどっちを信用されるのかしら?私がそんな娘だと思うの?」
「思う」
……即答。
「お父様、早すぎます」
服の襟をキュツと正す。
「良いか?おまえがなにをしたいのかはわからん。だけど、クラーク家に迷惑はかけるなっ!商人達を利用することを禁じるぞ!」
「それは困ります!私はここから動けないし……」
「そもそもなんで、おまえが暗躍してる!?陛下に任せておけばいいだろうがっ!それとも頼りない男なのか?獅子王と呼ばれるエイルシア王はそんな男ではないだろう?」
……外面はすごく凛々しいウィルバートなんだけど、本当は優しいウィルなのよっ!力になりたくなるのよ!そう言いたいけど、言えず、まぁ、そうなんだけど……と濁すしかない。
ガチャッとドアを開けて入ってきたのはウィルだった。今の話聞こえた!?
「聞いてしまって……どうだろう?王家の船を貸すから海運の方を動かしてみないか?」
えっ!?と父は驚くと同時に頭で算盤を弾いている音がする。そして数十秒後、ニッコリ微笑んだ。早い……計算早すぎる。
「陛下!いいのでしょうか!?」
「もちろん。いずれ海運の方も本格的にしたいと思っていた。クラーク家には随分と世話になっている……王妃の智謀に欠かせない」
一瞬、ギクッと父はしたが、ウィルは構わず続ける。
「これからもよろしく頼むよ」
……そう。忘れかけるが、ウィルバートとも私と共にウィルとして師匠に学んだ身であり、私のライバルでもあったほどの実力を持つ。
『獅子王』と呼ばれ、戦の手腕ばかり目がいくけど、内政もなかなかのものなのだ。
「陛下のためであれば、どんなことでもいたします!ほんとに不肖の娘で申し訳ない」
父はそう言ってから私をチラッと見る。
「いいや。リアンは良くしてくれている。本来、もっと違う場所で才能を発揮する道もあっただろう。それなのに後宮に入ってくれ、オレの傍にいてくれる。感謝している」
ウィルの優しい声音に『本気で!?そう思ってるのか!?』と父が驚愕の顔をした。相変わらず娘に失礼な父ね……私は半眼になった。
「商売は時間との勝負。クラーク家には申し訳ないことをした。エキドナ公爵に働きかけ、通行と商売ができるようにする」
近いうちに必ずと言う若き王。私はその言葉を聞いて安心よりも不安が大きくなった。ありがとうございますと父は嬉しそうに帰って行った。
だけど……と私はウィルの顔をじっと見た。
火急の知らせと聞いて、急遽クラーク家当主である父に会う。これ以上は無いほどの苦い顔をしている。
「エキドナ公爵領の道をクラーク家の商人が通行することを禁じられた。リアン、彼のことを少し前に調べていたな?それから夜会でなにやら失礼なことをしたとか?」
さすが情報をしっかり把握してる父。一代で商売の才能を発揮し、男爵の称号まで手に入れただけはある。クラーク家の商人はエキドナ侯爵領で商売すること、通行することを禁じると通告がきたらしい。この国の中でも広大な領地を保有する彼にそれをされては商売も痛手を受ける。
「まぁ、そのとおりだけど、世間の認識と娘とどっちを信用されるのかしら?私がそんな娘だと思うの?」
「思う」
……即答。
「お父様、早すぎます」
服の襟をキュツと正す。
「良いか?おまえがなにをしたいのかはわからん。だけど、クラーク家に迷惑はかけるなっ!商人達を利用することを禁じるぞ!」
「それは困ります!私はここから動けないし……」
「そもそもなんで、おまえが暗躍してる!?陛下に任せておけばいいだろうがっ!それとも頼りない男なのか?獅子王と呼ばれるエイルシア王はそんな男ではないだろう?」
……外面はすごく凛々しいウィルバートなんだけど、本当は優しいウィルなのよっ!力になりたくなるのよ!そう言いたいけど、言えず、まぁ、そうなんだけど……と濁すしかない。
ガチャッとドアを開けて入ってきたのはウィルだった。今の話聞こえた!?
「聞いてしまって……どうだろう?王家の船を貸すから海運の方を動かしてみないか?」
えっ!?と父は驚くと同時に頭で算盤を弾いている音がする。そして数十秒後、ニッコリ微笑んだ。早い……計算早すぎる。
「陛下!いいのでしょうか!?」
「もちろん。いずれ海運の方も本格的にしたいと思っていた。クラーク家には随分と世話になっている……王妃の智謀に欠かせない」
一瞬、ギクッと父はしたが、ウィルは構わず続ける。
「これからもよろしく頼むよ」
……そう。忘れかけるが、ウィルバートとも私と共にウィルとして師匠に学んだ身であり、私のライバルでもあったほどの実力を持つ。
『獅子王』と呼ばれ、戦の手腕ばかり目がいくけど、内政もなかなかのものなのだ。
「陛下のためであれば、どんなことでもいたします!ほんとに不肖の娘で申し訳ない」
父はそう言ってから私をチラッと見る。
「いいや。リアンは良くしてくれている。本来、もっと違う場所で才能を発揮する道もあっただろう。それなのに後宮に入ってくれ、オレの傍にいてくれる。感謝している」
ウィルの優しい声音に『本気で!?そう思ってるのか!?』と父が驚愕の顔をした。相変わらず娘に失礼な父ね……私は半眼になった。
「商売は時間との勝負。クラーク家には申し訳ないことをした。エキドナ公爵に働きかけ、通行と商売ができるようにする」
近いうちに必ずと言う若き王。私はその言葉を聞いて安心よりも不安が大きくなった。ありがとうございますと父は嬉しそうに帰って行った。
だけど……と私はウィルの顔をじっと見た。
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