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花は自らを花と知らない
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歓迎の夜会が開かれ、リアンと共に出席する。エイルシア王国の二倍はあるダンスホールにユクドール王国自慢の芸術家による見事な天井絵、豪華すぎる食事や飲み物、そして人が多すぎるため、うろ覚えの招待客がいるのも仕方ないだろう。
「お久しぶりです。エイルシア王」
挨拶されたのは何人目だろうか?見たことはある顔だが、名前を思い出せそうで思い出せない。
「お久しぶりです。お会いできて嬉しいです」
ニコリと笑ってかわしておこう。無難な挨拶でとオレは思った。しかし隣のリアンが扇子の奥で優雅に微笑み、ドレスの裾を持ちお辞儀する。
「ダラス=アグ=イシャール=ラ=ダーン公爵様は奥様のご容態は良くなられまして?我が国に来てくださった時は季節の変わり目でしたが、今は過ごしやすいですから、奥様もいかがでしょうか?」
「ええ!今回は国王も老齢で来れないため代名で参りました。妻のことを気に留めてくださっていたとは!嬉しい限りです!体調は良くなり、今は保養地でのんびりしております。ありがとうございます」
そうだ。やけに長い名前の人だとは思っていたんだ。にこやかに去っていく。
「リアンは名前を覚えてるのか?」
「お会いした人はだいたい覚えてるわよ」
すごいなとオレは感心する。しかしリアンはなぜか今日はやけにキョロキョロと視線を動かしていて、周囲を警戒しているように感じる。何か気になることでもあるんだろうか?
「どうしたんだ?落ち着きない気がするんだが?」
「えっ!?えええっと……なんでもないわ……なんとなく、他の方の視線を感じちゃって……」
「視線?それはリアンが綺麗だからじゃないかな」
「ウィル!?さらっとそういうこと、いきなり言うのやめて!私のこと見ているんじゃないと思うのよ!気づかないの!?もう……あなたって、ほんとに鈍感なんだからっ!」
顔を赤くして恥ずかしそうにしている。照れ隠しに怒ってるのか?オレは首を傾げる。
「自覚がないのもある意味罪よね。なんなのかしら?こういうボーッとしているのは昔から変わらないんだから……会場に来てから女性達がこっち見て話してるの気づかないの?」
ブツブツ言っているけど、なんのことなのか、さっぱりだ。オレとリアンが会話をしていると、そこへコンラッドがやってきた。
「こんばんは。良い夜を過ごしていますか?」
「コンラッド、良いパーティーに招待してくれてありがとう」
「コンラッド殿下、ありがとうございます」
挨拶をかわし、オレとコンラッドが並ぶとリアンがさらに憂鬱そうになった。扇子の奥ではぁ……とため息をついた。
「二人揃ってしまったわ。さらに視線が痛いわ。美しい花は花とは知らないのかしら?」
さっきからリアンがなにを言ってるのかわからない。
「リアン?」
オレが声を掛けるとなんでもないわと肩を竦める。コンラッドがリアンをみつめて、ニッコリ微笑む。
「今宵、王子である最後のダンスの機会になります。どうか一曲踊ってくれませんか?」
そう言ってリアンに手を伸ばす。オレの方をチラリと見て、リアンは良いの?と確認する。
まあ、ダンスくらいは良いだろうと苦笑して頷いた。リアンは嬉しそうなコンラッドに手をとられ、ダンスホールの中央へと行く。コンラッドのダンスの参加にざわめく周囲。
余裕のあるところを見せておこう。なにせオレはコンラッドの兄的な存在なのだから。酒の入ったグラスを手に持ち、二人のダンスを眺めることにしたのだった。
「お久しぶりです。エイルシア王」
挨拶されたのは何人目だろうか?見たことはある顔だが、名前を思い出せそうで思い出せない。
「お久しぶりです。お会いできて嬉しいです」
ニコリと笑ってかわしておこう。無難な挨拶でとオレは思った。しかし隣のリアンが扇子の奥で優雅に微笑み、ドレスの裾を持ちお辞儀する。
「ダラス=アグ=イシャール=ラ=ダーン公爵様は奥様のご容態は良くなられまして?我が国に来てくださった時は季節の変わり目でしたが、今は過ごしやすいですから、奥様もいかがでしょうか?」
「ええ!今回は国王も老齢で来れないため代名で参りました。妻のことを気に留めてくださっていたとは!嬉しい限りです!体調は良くなり、今は保養地でのんびりしております。ありがとうございます」
そうだ。やけに長い名前の人だとは思っていたんだ。にこやかに去っていく。
「リアンは名前を覚えてるのか?」
「お会いした人はだいたい覚えてるわよ」
すごいなとオレは感心する。しかしリアンはなぜか今日はやけにキョロキョロと視線を動かしていて、周囲を警戒しているように感じる。何か気になることでもあるんだろうか?
「どうしたんだ?落ち着きない気がするんだが?」
「えっ!?えええっと……なんでもないわ……なんとなく、他の方の視線を感じちゃって……」
「視線?それはリアンが綺麗だからじゃないかな」
「ウィル!?さらっとそういうこと、いきなり言うのやめて!私のこと見ているんじゃないと思うのよ!気づかないの!?もう……あなたって、ほんとに鈍感なんだからっ!」
顔を赤くして恥ずかしそうにしている。照れ隠しに怒ってるのか?オレは首を傾げる。
「自覚がないのもある意味罪よね。なんなのかしら?こういうボーッとしているのは昔から変わらないんだから……会場に来てから女性達がこっち見て話してるの気づかないの?」
ブツブツ言っているけど、なんのことなのか、さっぱりだ。オレとリアンが会話をしていると、そこへコンラッドがやってきた。
「こんばんは。良い夜を過ごしていますか?」
「コンラッド、良いパーティーに招待してくれてありがとう」
「コンラッド殿下、ありがとうございます」
挨拶をかわし、オレとコンラッドが並ぶとリアンがさらに憂鬱そうになった。扇子の奥ではぁ……とため息をついた。
「二人揃ってしまったわ。さらに視線が痛いわ。美しい花は花とは知らないのかしら?」
さっきからリアンがなにを言ってるのかわからない。
「リアン?」
オレが声を掛けるとなんでもないわと肩を竦める。コンラッドがリアンをみつめて、ニッコリ微笑む。
「今宵、王子である最後のダンスの機会になります。どうか一曲踊ってくれませんか?」
そう言ってリアンに手を伸ばす。オレの方をチラリと見て、リアンは良いの?と確認する。
まあ、ダンスくらいは良いだろうと苦笑して頷いた。リアンは嬉しそうなコンラッドに手をとられ、ダンスホールの中央へと行く。コンラッドのダンスの参加にざわめく周囲。
余裕のあるところを見せておこう。なにせオレはコンラッドの兄的な存在なのだから。酒の入ったグラスを手に持ち、二人のダンスを眺めることにしたのだった。
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