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香りを辿る
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クラーク男爵は香水の瓶を見せた。その香りはリアンがよく使用していた物だった。
「この香りのエキスはなかなか手に入りにくく、クラーク商会でしか取り扱ってません。それがハイロン王国から発注が来ました。これで居場所は確実です」
そう言って、ニヤッとした。楽しそうに話し出す。
「そう。リアンはそこに自分がいると知らせてきています。もちろん場所は仲間が、追いかけていますから、すでに知ってましたが、見失っていないかの確認と商人が中へ入り込みやすくするためにリアンが仕掛けてます。まぁ、そうせずともわれわれの仲間が入り込んでいますが、リアンには教えていません。まだ動ける段階ではないと言うことです」
この父娘の裏でしている、やり取りが怖い。何をしてるんだ。
「オレが行く。その者には……」
「リアンの身を最優先にするようにと命じてあります」
「ありがたい指示だ。クラーク男爵、助かる」
とんでもありませんとクラーク男爵は一礼して、そして顔を上げた時、あなどりがたい商人の顔をした。
「どうぞ、陛下のお友達によろしくお伝えください」
思わず苦笑してしまう。何も言っていないのに、そこまでわかっているとは。
「この件が終わった暁には、きちんと紹介しよう」
ありがとうございます!と礼を述べて去っていく。
「お友達?」
セオドアが首をかしげる。
「海上と陸上で待っている」
「は………?」
「おまえはオレの影武者をしてろ」
「陛下!だめです。長く国をあけるわけにはいきません。それになにかあったらどうするんですか!?」
セオドアが必死で止める。
「長くはならないし、三騎士を連れて行く。すぐ帰って来ると約束しよう。海を渡って、最短距離で行ってくるから、すぐに帰れる。船も機動力があって、早いしな」
「海?最短距離?まさか……」
にやりとオレは笑った。
「シザリア王がたまたま帰り道だって言うから、ついでにオレを乗せて海路から行ってくれるらしい」
シザリア王が協力してくれるんですか!?と驚く。
「コンラッドもいるぞ。今から帰るらしい。偶然って怖いよな」
「……ウィルバート様、人が悪いですね。わかっていて、頼んでいたんですね」
使えるものは使う。リアンは二人の王を手駒に入れていた。だから最大限に饗し、帰らないように引き止めていたんだ。このタイミングで使えるようにするためにだったわけだ。
「たまたま友人の王たちのが帰り道、ハイロン王国を通過する。それを見送りに行って来る」
「なんと言えばいいのか……いってらっしゃいませ。ご無事の帰還をお待ちしてます」
セオドアは苦笑した。そして言葉を続ける。
「陛下の代わりは誰もおらず、リアン様の代わりはいると皆は言うでしょう。しかし陛下にとって、リアン様の代わりはいない。それをずっと間近で見てきました。俺は昔のウィルバート様より今のウィルバート様が好きです」
ここで愛の告白か!?と冗談を飛ばそうとしたが、真面目なセオドアの表情に言葉が止まった。
「エイルシアの王と王妃はお二人以外おりません。エイルシアの民の一人としてそう思います」
「一番の褒め言葉だ。ありがとうセオドア」
オレが礼を言うと、セオドアは少し泣きそうになる。この男がこんな人間じみた感情を持ち始めたのもリアンが来てからだ。
エイルシア王国にはリアンが必要なんだ。
助けに行く。リアンの示した香りを辿り、必ず連れ戻す!
それまで、ハイロン王国の後宮で怠惰に大人しく過ごしてくれているといいんだが……。天才的な才能を持つ、怠惰な王妃はきっと怠惰に過ごしていないんだろうなぁとなんとなく思ったのだった。
「この香りのエキスはなかなか手に入りにくく、クラーク商会でしか取り扱ってません。それがハイロン王国から発注が来ました。これで居場所は確実です」
そう言って、ニヤッとした。楽しそうに話し出す。
「そう。リアンはそこに自分がいると知らせてきています。もちろん場所は仲間が、追いかけていますから、すでに知ってましたが、見失っていないかの確認と商人が中へ入り込みやすくするためにリアンが仕掛けてます。まぁ、そうせずともわれわれの仲間が入り込んでいますが、リアンには教えていません。まだ動ける段階ではないと言うことです」
この父娘の裏でしている、やり取りが怖い。何をしてるんだ。
「オレが行く。その者には……」
「リアンの身を最優先にするようにと命じてあります」
「ありがたい指示だ。クラーク男爵、助かる」
とんでもありませんとクラーク男爵は一礼して、そして顔を上げた時、あなどりがたい商人の顔をした。
「どうぞ、陛下のお友達によろしくお伝えください」
思わず苦笑してしまう。何も言っていないのに、そこまでわかっているとは。
「この件が終わった暁には、きちんと紹介しよう」
ありがとうございます!と礼を述べて去っていく。
「お友達?」
セオドアが首をかしげる。
「海上と陸上で待っている」
「は………?」
「おまえはオレの影武者をしてろ」
「陛下!だめです。長く国をあけるわけにはいきません。それになにかあったらどうするんですか!?」
セオドアが必死で止める。
「長くはならないし、三騎士を連れて行く。すぐ帰って来ると約束しよう。海を渡って、最短距離で行ってくるから、すぐに帰れる。船も機動力があって、早いしな」
「海?最短距離?まさか……」
にやりとオレは笑った。
「シザリア王がたまたま帰り道だって言うから、ついでにオレを乗せて海路から行ってくれるらしい」
シザリア王が協力してくれるんですか!?と驚く。
「コンラッドもいるぞ。今から帰るらしい。偶然って怖いよな」
「……ウィルバート様、人が悪いですね。わかっていて、頼んでいたんですね」
使えるものは使う。リアンは二人の王を手駒に入れていた。だから最大限に饗し、帰らないように引き止めていたんだ。このタイミングで使えるようにするためにだったわけだ。
「たまたま友人の王たちのが帰り道、ハイロン王国を通過する。それを見送りに行って来る」
「なんと言えばいいのか……いってらっしゃいませ。ご無事の帰還をお待ちしてます」
セオドアは苦笑した。そして言葉を続ける。
「陛下の代わりは誰もおらず、リアン様の代わりはいると皆は言うでしょう。しかし陛下にとって、リアン様の代わりはいない。それをずっと間近で見てきました。俺は昔のウィルバート様より今のウィルバート様が好きです」
ここで愛の告白か!?と冗談を飛ばそうとしたが、真面目なセオドアの表情に言葉が止まった。
「エイルシアの王と王妃はお二人以外おりません。エイルシアの民の一人としてそう思います」
「一番の褒め言葉だ。ありがとうセオドア」
オレが礼を言うと、セオドアは少し泣きそうになる。この男がこんな人間じみた感情を持ち始めたのもリアンが来てからだ。
エイルシア王国にはリアンが必要なんだ。
助けに行く。リアンの示した香りを辿り、必ず連れ戻す!
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